学科一般~過去問私的解説&ヒント~第53回気象予報士試験

気象予報士試験過去問解説

問2:大気の熱力学(温位と相当温位は知ってるよね?問題)

問題文

大気中の空気塊の温位と相当温位について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせ として正しいものを,下記の1~5の中から 1 つ選べ。なお,空気塊の温度,温位, 相当温位の単位は K であり,温位及び相当温位の基準気圧は 1000hPa である。

(a) 乾燥空気塊の温位は,どのような気圧においてもその空気塊の温度よりも高い。

(b) 湿潤空気塊の温位は,その空気塊の相当温位よりも常に低い。

(c) 乾燥空気塊が断熱的に上昇するとき,その空気塊の温位は高度にかかわらず一定 である。

(d) 飽和した空気塊が水蒸気を凝結させながら断熱的に上昇するとき,その空気塊の 温位は上昇するとともに高くなる。

③ (a)誤,(b)正,(c)正,(d)正

大気の熱力学で登場する「温位」と「相当温位」についての問題です。

  • 温位→その空気を1000hPaまで断熱的に移動させた時の絶対温度(K:ケルビン)。
    エマグラムで乾燥断熱線に沿って1000hPaまで移動すると値が出ますよね。
  • 相当温位→その空気の温位と、その空気に含まれる水蒸気の潜熱を足した絶対温度(K:ケルビン)。

温位について考える時のポイントは、1000hPaってところ。

それと、「相当温位=温位+水蒸気の潜熱」って覚えてればOK!

(a)乾燥空気の温位ってどう変わる?

乾燥空気塊の「乾燥」って言葉に騙されそうになりますが!

温位は「1000hPaに断熱変化させた時の絶対温度」なので、「1000hPa限定」です。

(b)湿潤空気の温位と相当温位ってどうなる?

乾燥した空気だろうと、水蒸気を含む湿潤空気だろうと、「温位」と「相当温位」の定義は変わりません〜

だから 相当温位=温位+水蒸気の潜熱 なので、相当温位は温位以上!

湿潤空気は水蒸気を持ってるので、相当温位が温位より高くなるのはわかりますよね。

(c)温位と高度、関係ないよね?

温位っていうのは「1000hPaでの絶対温度」って決まってるので、空気塊のが高いところに行こうが、低いところに行こうが変わりませんね!

(d)水蒸気が凝結すると潜熱で空気を温めるよね!

空気塊の水蒸気が凝結する時、気体だった水は液体の水になります。

気体から液体に変わる時、持っていたエネルギー(潜熱)を手放して空気を温めます。

ということは、空気の温度が上昇→そのまま1000hPaまで移動させたら、温位も上がってる!

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