学科専門~過去問私的解説&ヒント~第53回気象予報士試験

第53回気象予報士試験学科専門知識解説

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問7:北半球の寒冷低気圧について

【問題文】

北半球の寒冷低気圧の一般的な特徴について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わ せとして正しいものを,下記の1〜5の中から 1 つ選べ。

(a) 寒冷低気圧は強い温度傾度をもつ温暖前線と寒冷前線を伴うことが多い。

(b) 寒冷低気圧は,地上では低気圧性循環は弱く,低気圧が解析されないこともあるが,対流圏中層や上層の天気図では低気圧性循環が明瞭である。

(c) 寒冷低気圧の中心付近では,対流圏界面が大きく下がり,その上では周囲に比べて 気温が低くなっている。

(d) 夏季に寒冷低気圧が日本付近に東進してくると,その東側から南東側にかけて成 層が不安定になり,積乱雲が発達することが多い。

⑤ (a)誤,(b)正,(c)誤,(d)正

寒冷低気圧は、寒冷渦とも言われますよね。

偏西風から切り離されて生まれる、地上天気図では見つけにくい低気圧。

上空に寒気の塊を持ってるので、高層天気図だと見つけることができます。

はれの
はれの

前線はないことが多いですよ。

(a)寒冷低気圧の前線はない

NHKの「気象ハンドブック」には、「寒冷低気圧は前線を伴わない」と書いてありますが…「一般気象学」には、「温帯低気圧の衰退期に見られる」&「地上の低気圧はいわゆる閉塞前線を伴う」と書かれています。(183ページ)

(b)寒冷低気圧は地上で観測されにくい

寒冷低気圧は、上空では低気圧なんです。

でも上空に寒気(重い空気)を持ってるので、地上での気圧は周りより低くならないという特徴があります。

寒冷低気圧の断面イメージ図

(c)寒冷低気圧の中心の上空はどうなってるか?

寒冷低気圧の上空でえは、対流圏界面も下に凹んでいます。

寒冷低気圧の断面イメージ図

対流圏界面が凹んでいるので、その上の空気が穴に落ちるように下がります。

すると断熱圧縮されて、周囲の空気より温度が高くなるのです。

はれの
はれの

寒冷低気圧、上空に暖気を持ち、その下には寒気を持つなんて・・・なんて不思議な低気圧なんでしょう〜

(d)寒冷低気圧の南東側では収束帯ができる

夏の高温多湿の日本へ、西から寒冷低気圧が来たら・・・南東側は下のイラストのような状態ですね!

寒冷低気圧の南東側では

  • 低気圧の風の回転で空気が収束する位置であり
  • 南から太平洋からの暖湿気が入ってくる
  • 上空には寒気がある

となったら大気の成層は不安定で、積乱雲の大好物ですよね。

だから(d)は〇!

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