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目次 非表示
- 問1:地上観測・風の観測について
- 問2:地上観測・観測機器と項目について
- 問3:地上観測・ウィンドプロファイラについて
- 問4:数値予報の計算手法CFL条件
- 問5:天気予報ガイダンスについて
- 問6:数値予報プロダクトの利用について
- 問7:北半球の寒冷低気圧について
- 問8:積乱雲とそれに伴う現象について
- 問9:気象衛星の可視画像と赤外画像の見方
- 問10:温位・相当温位・飽和相当温位について
- 問11:台風に伴う風について
- (c)【台風の風】等圧線の接線成分を鉛直断面図で見ると・・・
- 問12:降水短時間予報について
- 問13:竜巻発生確度ナウキャスト&竜巻注意情報について
- 問14:降水予報の的中率・見逃し率
- 問15:大気と海洋の特徴について
- 参考書籍
- 最後に・・・
問6:数値予報プロダクトの利用について
気象庁の数値予報プロダクトの利用にあたって留意すべき事項について述べた次の文 (a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1〜5の中から 1 つ選べ。
(a) 数値予報モデルで計算される地上気温は,水平解像度にあわせたモデルの地形に 応じて算出されるため,実際の気温に対して系統的な誤差をもつ場合がある。
(b) 水平解像度2kmの局地モデルは,発達した積乱雲による大雨などの局地的な現象 をある程度表現できるが,予測結果については,位置のずれや時間のずれを考慮す る必要がある。
(c) アンサンブル予報におけるすべてのメンバーの予報を平均した予報結果は,個々の メンバーのどの予報結果よりも常に精度が良い。
② (a)正,(b)正,(c)誤
数値予報プロダクトっていうのは、「数値予報の結果できあがったもの」ってことです。
例えば
- 週間予報ガイダンス
- 降水ガイダンス
- 気温ガイダンス
などのことを「プロダクト」だと思ってOK。
問題をわかりやすい言葉に変えると
色々ある数値予報ガイダンスについて、留意すべき事項→気にした方が良いことって何でしょうか?
ですね。
数値予報は、実際の地形に近い…でも実際の地形とは違うモデルを使って計算するので、どうしても実際に観測される気温とは違ってきますよねー。
答えは気象庁の資料の中にある!→局地モデルの特性と利用上の留意点
アンサンブル予報は、初期値の少しずつ違う予報をたくさん集めて、結果と統計的に処理した予報のことです。
問題で問われているのは、たくさんある予報結果の平均値は、個々の予報値より「いつも精度の良い予報ができる!」というのが正しいのか?ってことです。
平均値は、たくさんある予報値の誤差を修正して予報としての精度が向上したとしても、必ず実際の観測値に近くなるわけではないです。
212ページ〜
241ページ, 328ページ
問7:北半球の寒冷低気圧について
北半球の寒冷低気圧の一般的な特徴について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わ せとして正しいものを,下記の1〜5の中から 1 つ選べ。
(a) 寒冷低気圧は強い温度傾度をもつ温暖前線と寒冷前線を伴うことが多い。
(b) 寒冷低気圧は,地上では低気圧性循環は弱く,低気圧が解析されないこともあるが,対流圏中層や上層の天気図では低気圧性循環が明瞭である。
(c) 寒冷低気圧の中心付近では,対流圏界面が大きく下がり,その上では周囲に比べて 気温が低くなっている。
(d) 夏季に寒冷低気圧が日本付近に東進してくると,その東側から南東側にかけて成 層が不安定になり,積乱雲が発達することが多い。
⑤ (a)誤,(b)正,(c)誤,(d)正
寒冷低気圧は、寒冷渦とも言われますよね。
偏西風から切り離されて生まれる、地上天気図では見つけにくい低気圧。
上空に寒気の塊を持ってるので、高層天気図だと見つけることができます。
前線はないことが多いですよ。
NHKの「気象ハンドブック」には、「寒冷低気圧は前線を伴わない」と書いてあります。
「一般気象学」には、「温帯低気圧の衰退期に見られる」&「地上の低気圧はいわゆる閉塞前線を伴う」と書かれています。(183ページ)
寒冷低気圧は、上空では低気圧なんです。
でも上空に寒気(重い空気)を持ってるので、地上での気圧は周りより低くならないという特徴があります。
寒冷低気圧の上空でえは、対流圏界面も下に凹んでいます。
対流圏界面が凹んでいるので、その上の空気が穴に落ちるように下がります。
すると断熱圧縮されて、周囲の空気より温度が高くなるのです。
寒冷低気圧、上空に暖気を持ち、その下には寒気を持つなんて・・・なんて不思議な低気圧なんでしょう〜
夏の高温多湿の日本へ、西から寒冷低気圧が来たら・・・南東側は下のイラストのような状態ですね!
寒冷低気圧の南東側では
- 低気圧の風の回転で空気が収束する位置であり
- 南から太平洋からの暖湿気が入ってくる
- 上空には寒気がある
となったら大気の成層は不安定で、積乱雲の大好物ですよね。
だから(d)は〇!
問8:積乱雲とそれに伴う現象について
積乱雲およびそれに伴う現象について述べた次の文(a)〜(c)の下線部の正誤の組み合 わせとして正しいものを,下記の1〜5の中から 1 つ選べ。
(a) 日本において,発達した積乱雲がもたらす⻯巻やダウンバースト,ガストフロント は,いずれも沿岸部で多く発生する傾向がある。
(b) 発達した積乱雲に伴う冷たい下降気流が地表面にぶつかり周辺に吹き出すとき, その先端部で地表付近の湿った暖かい空気が持ち上げられて,新たな積乱雲が発生 することがある。
(c) 衛星画像で,対流圏中・上層の一般風の風上側に向かって,次第に細く毛筆状ある いはにんじん状になっている雲域をにんじん状雲と呼び,特に先の細くなった部分 で激しい雨,突風 ,雷,降ひょうなどの顕著現象を伴うことが多い。
④ (a)誤(b)正(c)正
積乱雲は激しい気象現象を連れてくるから、深掘りして知っておく必要がある・・・と思っています。
気象庁の分布図を見てみましょう。
まず竜巻分布図
引用:気象庁
次は突風分布図です。
引用:気象庁
続いてダウンバーストとガストフロント分布図です。
引用:気象庁
ダウンバーストとガストフロントは、明らかに沿岸部じゃないですね。
だから答えは誤り!
(b)は全くその通り!
マルチセル型の積乱雲を想像してもらうとわかりやすいです。
養分(暖湿気)があると、次々に増えてしまうという・・・まるで単細胞生物のようです。
というわけで、(b)は〇!
衛生画像で見た時、人参のような形の「テーパリングクラウド」は、発達した積乱雲です。
上からみると・・・
横から見ると・・・
金床雲の上部が、ウエディングベールみたいに広がって見えるのが、「テーパリングクラウド(人参状雲域)」だと覚えておけばOKですね!
だから(c)も〇!
132ページ
352ページ
「イラスト図解 よくわかる気象学 第2版」の338ページ
一般気象学213ページ
問9:気象衛星の可視画像と赤外画像の見方
次ページの図は,3 月のある日の同じ時刻に観測された気象衛星の可視画像(上)と赤 外画像(下)である。図に A〜D で示した各領域に見られる現象について述べた次の文(a) 〜(d)の下線部の正誤について,下記の1〜5の中から正しいものを 1 つ選べ。
(a) 領域Aでは霧または下層雲が発生しており,大気下層には安定層があると考えら れる。
(b) 領域Bでは地形性の巻雲が発生しており,奥羽山脈の山頂付近の高度から対流圏上 部まで,大気は安定した成層を成し,風向はほぼ一定であると考えられる。
(c) 領域Cには薄い巻雲を透かしてその下に波状の雲が見られる。波状の雲の生成に は山岳波が関係していると考えられる。
(d) ⻄日本から南⻄諸島にかけて発達中の低気圧に伴う雲域がかかり,低気圧の中心 付近に対応する領域 D には積乱雲を含む雲域が存在している。
⑤ すべて正しい
さて私の大好物!(知らんがな)
衛星画像の問題です♪
それぞれ貧相な表現で申し訳ないですが、パッと見てわかる雲の特徴はこちら
雲域 | 可視画像 | 赤外画像 | こんな雲じゃないかな? |
---|---|---|---|
A | 薄い白 →鉛直方向に薄い | 薄い白 →雲長高度が低い | 低い層雲 霧 |
B | 薄い白 →鉛直方向に薄い | 白い →雲頂高度は高め | 巻雲系の雲 |
C | 白い波状 →鉛直方向に厚みがある | 白い&波状ではない →雲長高度は高め | 波状の積雲の上に 薄い巻雲系の雲 |
D | 真っ白 →しっかりした厚みがある | 真っ白 →かなり雲長高度は高い | 積乱雲! |
98ページ〜113ページ
問10:温位・相当温位・飽和相当温位について
図ア~ウは,3 つの地点における異なる日の 9 時の温位(太線),相当温位(破線),飽 和相当温位(細線)の鉛直分布を示している。これらの地点付近の大気の状態について述 べた次の文(a)~(c)に対応する図の組み合わせとして適切なものを,下記の1~5の中か ら 1 つ選べ。なお,横軸の目盛間隔は各図とも 10K であるが,各図の左端の温位は同じ ではない。
(a) 観測地点は日本海を東進する低気圧の東側にあり,およそ 6 時間後に周辺でダウ ンバーストと思われる突風が観測されている。
(b) 観測地点は日本海側に位置し,強い寒気が流入している領域にあり,周辺では雪 やみぞれが観測されている。
(c) 観測地点は移動性高気圧に覆われた内陸部にあり,周辺は広く晴れている。
④ (a)ウ,(b)ア,(c)イ
まず用語をまとめますね。
用語 | 意味すること |
---|---|
温位 | その空気塊を断熱的に1000hPaまで変化させた時の絶対温度 |
相当温位 | その空気塊に含まれている水蒸気の潜熱と温位 |
飽和相当温位 | その空気塊が飽和していると仮定した時の相当温位 |
次に「それぞれの値が近い・遠いとどういうことを意味するのか」を整理します。
温位と相当温位の値が近い | その空気塊はそこそこ乾燥している (ほとんど水蒸気を含んでいない) |
温位と相当温位の値が遠い | その空気塊は潤っている (たくさん水蒸気を含んでいる) |
相当温位と飽和相当温位の値が近い | その空気塊は飽和に近い (あと少ししか水蒸気を含めない) |
相当温位と飽和相当温位の値が遠い | その空気塊は乾燥気味 (まだまだ水蒸気を含むことができる) |
上の表から・・・
- ア:下層から上空まで、水蒸気は少ないけど、これ以上の水蒸気を含むのは難しい。→気温が低い?
- イ:下層は水蒸気を含んでいるけど、もっと含むことができる。
上層は乾燥している。 - ウ:下層は湿潤だけど、もう少し水蒸気を含むことができる。
中層は乾燥していて、もっと水蒸気を含むことができる。
上層は湿潤で飽和に近い。
ということが言えますよね。
それと、a,b,cの成層を想像してみます!
a | ダウンバーストが発生する前の成層 →発達した積乱雲ができていたはず。 →大気の成層は不安定(上空に寒気&下層に暖湿気) |
b | 寒気の流入&雪やみぞれが降った →気温は低い&空気中に水蒸気は少ないけど、これ以上水蒸気を含むのは難しい。 |
c | 移動性高気圧が来てる&内陸部 →夜のうちにできた夜露が蒸発して、朝9時では地上の湿度は高いかも。 →上空は高気圧に覆われて乾燥している。 |
ということは〜
記号 | 成層の状態 | 記号 | グラフから読み取れること |
---|---|---|---|
a | 上空に寒気&下層に暖湿気. | ウ | 上層は湿潤で飽和に近い。 中層は乾燥していて、もっと水蒸気を含むことができる。 下層は湿潤だけど、もう少し水蒸気を含むことができる。 |
b | 気温は低い&空気中に水蒸気は少ないけど、これ以上水蒸気を含むのは難しい。 | ア | 下層から上空まで、水蒸気は少ないけど、これ以上の水蒸気を含むのは難しい。→気温が低い? |
c | 夜のうちにできた夜露が蒸発して、朝9時では地上の湿度は高いかも。 上空は高気圧に覆われて乾燥している。 | イ | 上層は乾燥している。 下層は水蒸気を含んでいるけど、もっと含むことができる。 |
ですね!
だから答えは④なのです。
だから答えは④なのです。
▶︎問11以降は次のページをご覧ください。