学科専門~過去問私的解説&ヒント~第53回気象予報士試験

第53回気象予報士試験学科専門知識解説

問10:温位・相当温位・飽和相当温位について

【問題文】

図ア~ウは,3 つの地点における異なる日の 9 時の温位(太線),相当温位(破線),飽 和相当温位(細線)の鉛直分布を示している。これらの地点付近の大気の状態について述 べた次の文(a)~(c)に対応する図の組み合わせとして適切なものを,下記の1~5の中か ら 1 つ選べ。なお,横軸の目盛間隔は各図とも 10K であるが,各図の左端の温位は同じ ではない。

(a) 観測地点は日本海を東進する低気圧の東側にあり,およそ 6 時間後に周辺でダウンバーストと思われる突風が観測されている。

(b) 観測地点は日本海側に位置し,強い寒気が流入している領域にあり,周辺では雪 やみぞれが観測されている。

(c) 観測地点は移動性高気圧に覆われた内陸部にあり,周辺は広く晴れている。

④ (a)ウ,(b)ア,(c)イ

はれの
はれの

まず用語をまとめますね。

用語意味すること
温位その空気塊を断熱的に1000hPaまで変化させた時の絶対温度
相当温位その空気塊に含まれている水蒸気の潜熱と温位
飽和相当温位その空気塊が飽和していると仮定した時の相当温位

次に「それぞれの値が近い・遠いとどういうことを意味するのか」を整理します。

温位と相当温位の値が近いその空気塊はそこそこ乾燥している
(ほとんど水蒸気を含んでいない)
温位と相当温位の値が遠いその空気塊は潤っている
(たくさん水蒸気を含んでいる)
相当温位と飽和相当温位の値が近いその空気塊は飽和に近い
(あと少ししか水蒸気を含めない)
相当温位と飽和相当温位の値が遠いその空気塊は乾燥気味
(まだまだ水蒸気を含むことができる)

上の表から・・・

  • ア:下層から上空まで、水蒸気は少ないけど、これ以上の水蒸気を含むのは難しい。→気温が低い?
  • イ:下層は水蒸気を含んでいるけど、もっと含むことができる。
    上層は乾燥している。
  • ウ:下層は湿潤だけど、もう少し水蒸気を含むことができる。
    中層は乾燥していて、もっと水蒸気を含むことができる。
    上層は湿潤で飽和に近い。

ということが言えますよね。

それと、a,b,cの成層を想像してみます!

aダウンバーストが発生する前の成層
→発達した積乱雲ができていたはず。
→大気の成層は不安定(上空に寒気&下層に暖湿気)
b寒気の流入&雪やみぞれが降った
→気温は低い&空気中に水蒸気は少ないけど、これ以上水蒸気を含むのは難しい。
c移動性高気圧が来てる&内陸部
→夜のうちにできた夜露が蒸発して、朝9時では地上の湿度は高いかも。
→上空は高気圧に覆われて乾燥している。

ということは〜

記号成層の状態記号グラフから読み取れること
a上空に寒気&下層に暖湿気.
上層は湿潤で飽和に近い。
中層は乾燥していて、もっと水蒸気を含むことができる。
下層は湿潤だけど、もう少し水蒸気を含むことができる。
b気温は低い&空気中に水蒸気は少ないけど、これ以上水蒸気を含むのは難しい。下層から上空まで、水蒸気は少ないけど、これ以上の水蒸気を含むのは難しい。→気温が低い?
c夜のうちにできた夜露が蒸発して、朝9時では地上の湿度は高いかも。
上空は高気圧に覆われて乾燥している。
上層は乾燥している。
下層は水蒸気を含んでいるけど、もっと含むことができる。

ですね!

だから答えは④なのです。

だから答えは④なのです。

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