この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
問5:気象庁の数値予報モデル
気象庁の数値予報モデルについて述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a)メソモデルは非静力学モデルであるが、用いられている格子間隔では、個々の積雲の振る舞いを十分表現することができないため、積雲対流パラメタリゼーションを用いている。
(b)メソモデルは全球モデルに比べ分解能が高いが、大気境界層中の様々な渦の振る舞いを充分表現することができないため、大気境界層過程のパラメタリゼーションを用いている。
(c)局地モデルは非静力学モデルであり、メソモデルに比べ格子間隔が小さいため、水平スケールが数kmの個々の積乱雲の予測が可能であり、集中豪雨などの局地的な激しい現象を主な予測対象としている。
② (a)正,(b)正,(c)誤
メソモデルの格子点間隔(5km)では、個々の積雲の振る舞いを表現できません。
でも「積雲対流パラメタリゼーション」として見積もられているので、全く考慮されてないわけではないんですよね。
だから(a)の「メソモデルは非静力学モデルであるが、用いられている格子間隔では、個々の積雲の振る舞いを十分表現することができないため、積雲対流パラメタリゼーションを用いている。」は正しい。
大気境界層で起きている現象のスケールは、メソモデルだけではなく現在の数値予報モデルの分解能よりもかなり小さいです。
だから大気境界層内の様々な渦による効果はパラメタリゼーションの対象となっています。
もちろんメソモデルでもパラメタリゼーションで大気境界層内の効果を見積もっています。
そんなわけで(b)の「メソモデルは全球モデルに比べ分解能が高いが、大気境界層中の様々な渦の振る舞いを充分表現することができないため、大気境界層過程のパラメタリゼーションを用いている。」は正しい。
局地モデルはメソモデルより格子点間隔が小さいですが、水平スケール 10km以上の現象でないと表現できません。
個々の積乱雲の水平スケールは、大きくても水平スケール 10kmくらいなので、局地モデルでも表現するのは難しいです。
だから(c)の「局地モデルは非静力学モデルであり、メソモデルに比べ格子間隔が小さいため、水平スケールが数kmの個々の積乱雲の予測が可能であり、集中豪雨などの局地的な激しい現象を主な予測対象としている。」は誤り。
イラスト図解 よくわかる気象学【専門知識編】p 241〜