学科一般~過去問私的解説&ヒント~第58回気象予報士試験・問4

4:氷粒子の成長

問題文

雲中における氷粒子の成長について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)氷晶が雪の結晶に成長するとき、柱状と板状のどちらの形状の結晶になるかは、空気の過飽和度によって決まる。

(b)雪結晶どうしが衝突したとき、温度が低いほど付着して雪片となりやすい。

(c)あられは、水滴と氷粒子が共存している過冷却雲内で、昇華により氷粒子が急成長して形成される。

(d)ひょうは、積乱雲の内部に多数の過冷却水滴があり、強い上昇流が存在するときに、雲の中に保持されながら成長する。

⑤ (a)誤, (b)誤, (c)誤, (d)正

(a)柱状と板状の氷晶

氷晶が柱状と板状、どちらになるかは気温と空気の過飽和度に影響されます。

過飽和度だけではないんですね。

だから(a)の「氷晶が雪の結晶に成長するとき、柱状と板状のどちらの形状の結晶になるかは、空気の過飽和度によって決まる。」は誤り。

ここに書いてあるよ

(b)凝集過程

雪結晶どうしが衝突して大きな雪片となる過程は、凝集過程と言うんですが・・・氷粒子どうしが衝突して互いに付着する割合は、互いの形によります。

枝状の雪結晶が衝突すると、付着しやすいのは想像できますよね。

さらに気温が比較的高い方が、付着しやすいです。(雪結晶の表面が融けていれば更に付着しやすい。)

よって、(b)の「雪結晶どうしが衝突したとき、温度が低いほど付着して雪片となりやすい。」は誤り。

ここに書いてあるよ

(c)ライミング

雲粒が凍結し、氷粒子の質量が増加すると、その落下速度も大きくなる。

そしてますます多くの雲粒を補足してあられとなる。(ライミング)

昇華じゃないので(c)の「あられは、水滴と氷粒子が共存している過冷却雲内で、昇華により氷粒子が急成長して形成される。」は誤り。

ライミングのイメージ
ここに書いてあるよ

(d)ひょうの成長

「あられ」がさらに成長したものが「ひょう」なので・・・

強い上昇流により、あられが地上に落ちて来るまでの時間が長くなり、大きく成長します。

そしてあられが成長し、直径5mmを超すと「ひょう」とよびます。

だから(d)の「ひょうは、積乱雲の内部に多数の過冷却水滴があり、強い上昇流が存在するときに、雲の中に保持されながら成長する。」は正しい。

ここに書いてあるよ

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