令和 4 年 8 月の第 58 回気象予報士試験の学科一般知識の問題を、
あなたが次に似たような問題を解く時、「ヒント」となるような内容を目指してます!!!

この記事は、令和 4 年 8 月の第 58 回気象予報士試験の学科一般の問題と解答を持っている人向けの内容です。
※私個人の試験問題を解く時の思考例です。(気象業務支援センターとは関係ございません。)
もし第 58 回気象予報士試験の学科一般の問題と解答を持っていなければ、まずこちらでダウンロードしてください。
\ まずはダウンロード! /
目次
問1:大気の鉛直構造
地球大気の鉛直構造や化学組成について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a)対流圏の気温の鉛直分布は放射収支によって決まり、気温は平均的に高度が1km高くなると約6.5℃低下する。
(b)対流圏界面の高度は平均的には低緯度で高く、高緯度で低くなっている。
(c)乾燥空気の化学組成は成層圏界面までは高度によらずほぼ一定であるが、それにより上空では重力の影響によって分子量の大きい気体と小さい気体の分離が起こるため、高度によって異なる。
(d)1月や7月の中間圏界面付近の気温は、夏極付近が低く、冬極付近の方が高い。

④ (a)誤, (b)正, (c)誤, (d)正
「高度が1km高くなると約6.5℃低下する」はその通りですが・・・
対流の多い対流圏の気温分布が放射収支で決まるのはおかしいですね。
だって対流が多いんだから。
対流の他は、水蒸気の潜熱の影響もあります。
だから(a)の「対流圏の気温の鉛直分布は放射収支によって決まり、気温は平均的に高度が1km高くなると約6.5℃低下する。」は誤り。

対流圏界面は低緯度が一番高く、高緯度に向かって低くなっています。
だから(b)の「対流圏界面の高度は平均的には低緯度で高く、高緯度で低くなっている。」は正しい。


正しくは約80kmなので中間圏界面付近です。
成層圏圏界面付近は高度50kmくらいだから違いますね。
だから(c)の「乾燥空気の化学組成は成層圏界面までは高度によらずほぼ一定であるが、それにより上空では重力の影響によって分子量の大きい気体と小さい気体の分離が起こるため、高度によって異なる。」は誤り。

中間圏界面付近では、夏半球で上昇流があり、冬半球で下降流があることから・・・
上昇流の夏極で、断熱膨張により気温は下がり
下降流の冬極では断熱圧縮により気温は上がり
「夏半球で気温が低く・冬半球で気温が高い」のです。
だから(d)の「1月や7月の中間圏界面付近の気温は、夏極付近が低く、冬極付近の方が高い。」は正しい!


問2:湿潤空気における気体定数と水蒸気量
湿潤空気における気体定数や水蒸気量について述べた次の文章の空欄(a)、(b) に入る数値の組み合わせとして適切なものを、 次の①から⑤の中から1つ選べ。ただし、乾燥空気の平均分子量及び水蒸気の分子量はそれぞれ29と18であり、乾燥空気の気体定数は287Jkg-1K-1、27°cの飽和水蒸気圧は36hPaとする。
理想気体における一般気体定数と乾燥空気及び水蒸気の気体定数の関係から、 水蒸気の気体定数の値は約(a)Jkg-1K-1である。 ある湿潤空気の温度が27°c、 相対湿度が50%とすると、 水蒸気の状態方程式から、 この湿潤空気1m3あたりの水蒸気の質量は約(b)kgである。

③ (a)462, (b)0.013
問題文より・・・
平均分子量 | 気体定数 | |
乾燥空気 | 29 | 287Jkg-1K-1 |
水蒸気 | 18 | ? |
分子量Mの気体の気体定数Rは
MR=pV/T=一定
だから・・・
乾燥空気の場合↓
MR = 29 × 287
水蒸気の場合↓
MR = 18 × ?
「分子量M × 気体定数R」は一定なので

だから、水蒸気の気体定数は、462Jkg-1K-1。

「一般気象学」の 302 ページに載ってますね。
気体の状態方程式を使います。
問題文より、27℃の飽和水蒸気圧36hPa, 相対湿度は50%なので・・・

だから(b)は、0.013!

問3:混合比
気圧と温度の等しい二つの未飽和空気塊A、Bがあり、 空気塊Aの水蒸気の混合比はqである。空気塊Bに含まれる乾燥空気の質量は空気塊Aに含まれる乾燥空気の質量の2倍で、空気塊Bの水蒸気の混合比は2qである。これら2つの空気塊を混合した空気塊の水蒸気の混合比として正しいものを下記の①〜⑤の中から1つ選べ。ただし、2つの空気塊を混合した後も気圧と温度は変わらず、空気塊は未飽和であったとする。

③ (5/3)q
空気塊Aの乾燥空気の質量を「a」とすると、問題文から以下のことがわかる。
空気塊 | 水蒸気の混合比 | 乾燥空気の質量 |
A | q | a |
B | 2q | 2a |
空気塊AとBを混合した場合、乾燥空気の質量は、「 a + 2a = 3a 」。
※水蒸気の混合比がわからない方はこちらをチェック→「混合比」

空気塊AとBを混合した空気塊の混合比は、次のようになる。


だから答えは( 5/3 )q!

▼問4以降は次のページをご覧ください。