学科専門~過去問私的解説&ヒント~第56回気象予報士試験

問15:500hPa平年偏差と日本の天候

問題文

図 A, B, C は異なる年の1月の月平均500ヘクトパスカルコードと平年偏差である。これらの図における大規模な大気循環と日本の天候の関係について述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)図Aでは、極域が正偏差で極渦が弱く、東アジアから北西大西洋にかけての中緯度ではほとんど不偏差となっている。このような偏差パターンは負の北極振動と呼ばれ、これが卓越するときは、日本付近では低温となりやすい。

(b)図Bでは、ヨーロッパに負偏差、東経90度付近に正偏差、極東域に負偏差と、ユーラシア大陸を中心とする領域に、偏差パターンが見られる。このような偏差パターンは正のユーラシアパターンと呼ばれ、これが卓越するときは、日本付近では高温となりやすい。

(c)図Cでは、日本付近で亜熱帯ジェット気流が平年より北側に偏って流れている。このようなパターンが卓越するときは、降水量(雪を含む)が日本海側で多くなりやすく、太平洋側で少なくなりやすい。

③ (a)正,(b)誤,(c)誤

北極振動は、テレコネクションの一つで、北極域と中緯度域のあいだが逆符号となるほぼ同心円状の偏差パターンで、日本の天候を左右する要因の一つと考えられています。

北極振動どうなる?
  • 北極域の気圧が平年より高いとき、中緯度域で平年より気圧が低くなる。
  • 北極域の気圧が平年より低いとき、中緯度域で平年より気圧が高くなる。

図Aは北極域の高度の平年偏差が高くて中緯度域は低いので、(a)の「図Aでは、日本付近では低温となりやすい。」は正しいです。

図Bを見たら日本付近が負偏差なんで、普通に気温が低くなると思いますが・・・ユーラシアパターンについてちょっと書きますと・・・。

ユーラシア(EU)パターンは、冬の日本の天候に影響を与えるテレコネクションパターンの一つ。

ユーラシアパターン

ヨーロッパと東アジアで負偏差

西シベリアで は正偏差

日本付近で偏西風が南に蛇行

寒気の流れ込み

日本付近で低温&大雪

だから(b)の図Bは、日本付近では高温となりやすい。」は誤りです。

図Cを見たら日本付近が正偏差なんで、普通に気温が高くなるって答えでいいように思いますが・・・亜熱帯ジェット気流からも考えてみましょう。

亜熱帯ジェット気流の北偏

日本付近で亜熱帯ジェット気流が北側へ偏って流れる。

偏西風も北偏する。

日本では北日本を中心に暖冬になりやすい。

西高東低の気圧配置になり難い。

日本海側で雪を含む降水量が少なくなる傾向。

だから(c)の「図Cでは、降水量(雪を含む)が日本海側で多くなりやすく、太平洋側で少なくなりやすい。」は誤りです。

さいごに

「予報業務に関する一般知識」に続きまして、私・ 晴野 はれの の第56回の気象予報士試験の学科試験「予報業務に関する専門知識」を解答する場合の考え方を紹介しました。

試験の内容も、気象業務支援センターに一報入れて、書かせてもらってます。
※解説内容は気象業務支援センターとは関係ありません。晴野独自のものです。

こんな考え方もあるのか〜と、あなたの参考になれば嬉しいです。

またこの記事の内容は、どの機関のチェックも受けておりません。

ですから、もしかしたら間違っている可能性もあります。

「ここおかしいよ!」と思う箇所があれば、遠慮せずに「お問い合わせ」からご連絡いただけましたら、ありがたく修正させていただきます。m(*_ _)m

はれの
はれの

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます(о´∀`о)♡

次は実技の方を解いてみようかな〜♪

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