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北極振動って何?エルニーニョ現象との関係・南方振動との違い

はれの
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晴野の個人的なまとめノートですが、公開しています。

誤りなどのご指摘は、ありがたいので遠慮なくご連絡ください。

ここでは気象予報士試験に出題されることのある北極振動(AO:Arctic Oscillation)についてまとめています。

北極振動とは、北極域と中緯度地域の気圧が相反するように変動する大気現象のことです。

地球規模の気候、特に日本を含む北半球の冬の寒さに巨大な影響を与えます。

北極振動(Arctic Oscillation:AO)とは

北極振動とは、北極付近の気圧と、その周囲の中緯度(日本など)の気圧が、シーソーのように逆の動きをする大気変動のことです。この変動には「正の位相(プラス)」と「負の位相(マイナス)」の2つの状態があります。

仕組みと2つのモード

北極振動には、気圧のパターンによって「正(プラス)」と「負(マイナス)」の2つの状態(モード)があります。

正のモード(暖冬傾向)
  • 気圧:北極域で低気圧、中緯度(日本など)で高気圧。
  • 偏西風:北極を囲む風(寒帯前線ジェット気流)が強まる。
    ジェット気流の高度は対流圏。緯度は60度くらい。
  • 影響:寒気が北極域に閉じ込められ、日本は暖冬になりやすい。
負のモード(厳冬傾向)
  • 気圧:北極域で高気圧、中緯度で低気圧。
  • 偏西風:北極を囲む風が弱まり、南北に大きく蛇行する。
  • 影響:閉じ込められていた寒気が南下し、日本に寒波や大雪をもたらす。

主な特徴

北極振動には、以下のような特徴があります。

  • 周期がない:数週間から数ヶ月単位で不規則に変動し、正確な予測が難しい。
  • 環状モード:北極を中心に同心円状の気圧パターンを描くため「北半球環状モード(NAM)」とも呼ばれる。
  • AOインデックス:変動の強さは数値化されており、気象庁や海外の気象機関で毎日監視されている。

北極振動はどこで起きるのか

北極振動は、北半球の大気全体(特に北極域と中緯度地域)で見られる振動です。

またその高度は、対流圏から成層圏(地上から上空十数キロメートルの大気層)です。

北極振動で何が起きるのか

北極振動によって、どのようなことが起きるのか、以下にまとめました。

  • 気圧の逆転:北極と中緯度の気圧がシーソーのように交互に上下します。
  • 風の風速変化:北極を取り囲む強い西風(ジェット気流)が強まったり弱まったりします。
  • 寒気の移動:風の壁が崩れると、北極に溜まっていたマイナス数十度の寒気が中緯度(日本、欧州、米国など)へ一気に流れ出します。

北極振動の原因は何か

北極振動の原因は、基本的に「大気の自発的な変動」と考えられています。

海面水温の変化などが引き金になることもありますが、基本は大気自身の流れの乱れ(波)が相互作用して自然に発生します。

また、明確な周期はありません。
数週間〜数ヶ月単位で突発的・不規則に変動するため、数ヶ月以上前の正確な予測は困難です。

日本人が注意すべき点(「負のモード」の時)

日本に住んでいる場合、この北極振動はどのように影響するのでしょうか?
注意すべき点などまとめました。

  • 大雪と猛吹雪:日本海側を中心に、交通インフラが麻痺するレベルの豪雪に見舞われます。
  • 極端な低温:太平洋側も含めた全国的な冷え込みにより、水道管の凍結や路面凍結が発生します。
  • 電力逼迫:全国的な暖房需要の急増により、電気代の高騰や電力供給不足の恐れが生じます。
  • 農作物の被害:事前の予測が難しいため、突然の低温による農作物への凍枯死被害が出やすくなります。

北極振動とエルニーニョ現象の関係

エルニーニョ現象と北極振動は、「南(熱帯)」と「北(極域)」という異なる場所で発生しながらも、大気を通じて互いに影響を及ぼし合う関係にあります

気象学では、これら2つを「日本の冬の気候を左右する2大主役」として同時に分析することが非常に重要です。

1. 発生場所と仕組みの違い(基本の比較)

特徴エルニーニョ現象北極振動(AO)
発生する場所熱帯(赤道太平洋の海面水温)極域(北極と中緯度の気圧)
主導する要素海洋(海と大気の相互作用)大気(大気自体の流れの乱れ)
日本への基本影響暖冬になりやすい負のモードで厳冬・豪雪

2. 2つの現象の相互作用(連動するメカニズム)

熱帯で発生したエルニーニョ現象のエネルギーは、プラネタリー波(超長波)と呼ばれる地球規模の大気の大波を発生させ、上空(成層圏)へ伝わります。

  • エルニーニョが「負の北極振動」を誘発する
    エルニーニョ現象が発生すると、大気の波が北極上空の「極渦(寒気の渦)」を揺さぶり、弱めてしまうことがあります。その結果、北極振動が「負のモード(寒気放出型)」に傾きやすくなります。
  • 逆に北極振動がエルニーニョを駆動することも
    近年の研究では、逆に北極振動(負のモード)によってアジア大陸から吹き出す強力な寒風(寒冷サージ)が、赤道付近の風向きを変え、エルニーニョ現象を引き起こす引き金になるという逆のルート(北から南への影響)も指摘されています。

3. 日本の冬の天候はどう決まるか?

「エルニーニョだから必ず暖冬」「北極振動がマイナスだから必ず大雪」とは一概に言えません。これらが「足し算・引き算」のように組み合わさることで、実際の天気が決まります。

  • パターンA:暖冬(相殺、またはエルニーニョ勝利)
    エルニーニョ現象で日本付近の気温がベースアップし、さらに北極振動が「正(寒気閉じ込め型)」であれば、記録的な大暖冬になります。
  • パターンB:エルニーニョ下の「厳冬・豪雪」(要注意パターン)
    「エルニーニョの冬だから暖冬になるだろう」と油断していると、突発的に「負の北極振動」が非常に強く発達することがあります。この場合、熱帯からの暖かく湿った空気と、北極から南下した強力な寒気が日本付近で激しく衝突し、大荒れの天気や局地的なドカ雪(平成22年豪雪など)をもたらします。

北極振動と南方振動の違い

北極振動とよく似た名前の「南方振動(ENSO:El Niño-Southern Oscillation)」という現象もあります。

南方振動は、「エルニーニョ現象」とまったく同じ現象の「大気側」の表現です。

気象学において非常に重要なこの南方振動について、分かりやすく3つのポイントで解説します。

1. 南方振動とは何か?(大気のシーソー現象)

南方振動とは、太平洋の東部(タヒチなど)と西部(インドネシアの大陸付近)の間で、地上の気圧が交互に高くなったり低くなったりする現象です。

  • エルニーニョの時:東部(タヒチ)の気圧が低くなり、西部(インドネシア)の気圧が高くなります。
  • ラニーニャの時:東部(タヒチ)の気圧が高くなり、西部(インドネシア)の気圧が低くなります。

このように、太平洋を挟んで気圧がシーソーのように連動して変化することから「振動」と呼ばれています。

2. 南方振動とエルニーニョは「同じ現象」

かつて気象学者たちは、南方振動とエルニーニョ現象を別々に研究していました。

  • 海洋学者:「南米ペルー沖の海面水温が上がる現象(エルニーニョ)」を発見した。
  • 気象学者:「太平洋の東西で気圧が連動して変わる現象(南方振動)」を発見した。

のちに研究が進み、「海洋の水温変化(エルニーニョ)」と「大気の気圧変化(南方振動)」は、互いに原因であり結果でもある「表裏一体の現象」であることが判明しました。

そのため、現在の気象学ではこれらをセットにして、双方の頭文字を取った「ENSO(エンソ)」という学術名で呼ぶのが一般的です。

3. 北極振動(AO)と南方振動の違い

名前にどちらも「振動」とつきますが、揺れる方向が違います。

  • 北極振動(AO)「南北」の振動(北極 vs 中緯度)。周期がなく突発的。
  • 南方振動(SO)「東西」の振動(太平洋の東 vs 西)。数年周期で変動。

まとめ

これまでに学んだ「北極振動(AO)」「南方振動(ENSO)」、そしてその仕組みについて、分かりやすく一覧でまとめました。

1. 2つの大振動の基本比較

項目北極振動(AO)南方振動(SO)/ エルニーニョ現象(ENSO)
振動の方向南北の振動(北極 ↔ 中緯度)東西の振動(太平洋の東部 ↔ 西部)
発生する場所主に北半球の高緯度〜中緯度赤道付近の熱帯太平洋
主導する要素大気のみ(大気自身の流れの乱れ)海洋と大気(海面水温と気圧の相互作用)
周期性なし(数週間〜数ヶ月で不規則に変動)あり(数年周期で不規則に変遷)
主な風の変化北緯60度付近の寒帯前線ジェット気流赤道付近の貿易風(東風)

2. 各モードの特徴と日本への影響

① 北極振動(AO)の2つのモード

  • 正(プラス)のモード:【暖冬傾向】
    • 北極の気圧が低く、中緯度の気圧が高い。
    • 寒帯前線ジェット気流(対流圏・北緯60度付近)が北に寄り、風速が強まる。
    • 強い風の「壁」により寒気が北極に閉じ込められ、日本は暖冬になりやすい。
  • 負(マイナス)のモード:【厳冬・豪雪傾向】
    • 北極の気圧が高く、中緯度の気圧が低い。
    • ジェット気流の壁が弱まり、南北に大きく蛇行する。
    • 閉じ込められていた北極の寒気が南下し、日本に寒波や大雪、低温をもたらす。
    • 注意点:水道管凍結、路面凍結、電力逼迫、農作物の凍枯死。

② 南方振動(SO / ENSO)の2つのモード

  • エルニーニョ現象(南方振動が負の時期)
    • 太平洋東部(ペルー沖)の海面水温が上がり、大気側では東部(タヒチ)の気圧が下がる。
    • 日本はベースとして暖冬になりやすい。
  • ラニーニャ現象(南方振動が正の時期)
    • 太平洋東部の海面水温が下がり、西部(インドネシア付近)の気圧が下がる。
    • 日本は厳冬になりやすい。

3. 現象どうしの「横のつながり」

  • 熱帯から極域への波及:エルニーニョ現象が起きると、発生した大気の巨大な波(プラネタリー波)が北極上空を揺さぶり、「負の北極振動」を引き起こす引き金になることがあります。
  • 天気の足し算・引き算:「エルニーニョだから暖冬」と油断していると、突発的に「負の北極振動」が重なり、暖かい空気と強力な寒気がぶつかって日本付近で大荒れの天気やドカ雪(局地的な大雪)になるケースがあります。

一見ややこしいけど、学科の知識の基礎ができていれば、理解できるはず!