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問10:梅雨時期の気象
梅雨期の気象について述べた次の文(a)~(d)の正誤について、下記の①〜⑤の中から正しいものを1つ選べ。
(a)梅雨前線を維持している水蒸気輸送には、太平洋高気圧の縁に沿う南よりの気流とチベット高原の南縁を通る西寄りの気流が密接に関連している。
(b)梅雨前線上には、数百km程度の水平間隔で形成される低気圧が見られるが、この低気圧は上層ほど強い低気圧循環を持ち、しばしば激しい雷雨を引き起こす。
(c)梅雨気にオホーツク海付近に形成され、「やませ」をもたらすオホーツク海高気圧は、中心付近の寒気層が下層から上層にまで達している。
(d)一般的に、西日本以西の梅雨前線では、東日本以東の梅雨前線に比べて下層での南北方向の温度傾度が大きいため、降水量が多い傾向がある。
① (a)のみ正しい
② (b)のみ正しい
③ (c)のみ正しい
④ (d)のみ正しい
⑤ すべて誤り
① (a)のみ正しい
梅雨前線への水蒸気輸送は、南西からのチベット高原の南縁経由のモンスーンと、南からの太平洋高気圧の縁辺からの気流が関わっていますよね。
だから(a)の「梅雨前線を維持している水蒸気輸送には、太平洋高気圧の縁に沿う南よりの気流とチベット高原の南縁を通る西寄りの気流が密接に関連している。」は正しい。
梅雨前線上に発生する小低気圧は普通の温帯低気圧より小さめで「小低気圧」とも表現されます。
水平スケールはメソαスケールです。
で、それらの小低気圧が形成される水平間隔は、数百kmじゃなくて 1000 km 〜 1500 kmくらいの間隔です。
それと、いくつかの書籍に「梅雨前線上には地上天気図で小低気圧が見られる。」などの表現で書かれております。
だから私は「地上では明瞭でも上層では不明瞭な低気圧」=「上層ほど低気圧循環が弱い」と理解しています。
そんなわけで(b)の「梅雨前線上には、数百km程度の水平間隔で形成される低気圧が見られるが、この低気圧は上層ほど強い低気圧循環を持ち、しばしば激しい雷雨を引き起こす。」は誤り。
オホーツク海高気圧は冷たい海によって発生する寒冷&湿潤な特徴がある高気圧です。
海面付近で形成され、主に下層に寒気をもっています。
だから、(c)の「梅雨気にオホーツク海付近に形成され、「やませ」をもたらすオホーツク海高気圧は、中心付近の寒気層が下層から上層にまで達している。」は誤り。
梅雨前線の特徴として、西日本以西では温度の傾度は少ないことが多く、水蒸気密度の傾度は高い傾向がありますよね。
だから(d)の「一般的に、西日本以西の梅雨前線では、東日本以東の梅雨前線に比べて下層での南北方向の温度傾度が大きいため、降水量が多い傾向がある。」は誤り!
問11:台風の特徴
台風の一般的な特徴について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a)台風の中心付近は、ほぼ海面から対流圏界面までの周囲の大気より気温が高い。
(b)台風は、温度傾度に伴う有効位置エネルギーが、運動エネルギーに変換されることを主な要因として発生・発達する。
(c)台風の通過に伴う海面水温の変化は、台風がゆっくり移動して強い風が長時間吹く時ほど、海面下の冷たい海水が湧昇したり、海水をかき混ぜる効果が大きいため、海面水温の低下が大きくなる。
(d)台風の風を傾度風で近似する場合、緯度と気圧傾度力が同じならば、台風中心からの距離が近い方が強い風が吹くことになる。
③ (a)正,(b)誤,(c)正,(d)誤
(a)の「台風の中心付近は、ほぼ海面から対流圏界面までの周囲の大気より気温が高い。」はその通りですね〜。正しい(о´∀`о)
台風の発生・発達のエネルギーは水蒸気の潜熱なので、(b)の「台風は、温度傾度に伴う有効位置エネルギーが、運動エネルギーに変換されることを主な要因として発生・発達する。」は誤り。
(c)はその通りですね。
「台風の通過に伴う海面水温の変化は、台風がゆっくり移動して強い風が長時間吹く時ほど、海面下の冷たい海水が湧昇したり、海水をかき混ぜる効果が大きいため、海面水温の低下が大きくなる。」は正しい。
台風の風を傾度風で近似した場合、傾度力とコリオリ力に加えて遠心力も考慮しないとね。
だから台風の中心からの距離が近くなって強い風になればなるほど遠心力も強くなりますから(d)の「台風の風を傾度風で近似する場合、緯度と気圧傾度力が同じならば、台風中心からの距離が近い方が強い風が吹くことになる。」はこの理屈では誤りですよね。
実際は気圧傾度が台風の中心に向かって大きくなってるので、風速も大きくなってますけどね。
問12:雷ナウキャスト
気象庁が発表している雷ナウキャストについて述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a)雷ナウキャストは雷監視システムで雷の発生が確認されたときに発表され、雷の発生状況の解析と1時間先までの推移を予報する。
(b)雷雲の移動予測のほか、盛衰傾向は統計的手法によりある程度予測しているが、予測時刻の途中で新たに発生する雷雲は予測できない。
(c)雷の激しさや雷の可能性は活動度1〜4の4つの階級で表される。活動度2〜4は、既に積乱雲が発生しており、いつ落雷があってもおかしくない状況を表す。
③ (a)誤,(b)正,(c)正
雷ナウキャストは雷の激しさと発生の可能性を予測して発表するものなので、発生が確認された時だけに発表されるわけではないです。
だから(a)の「雷ナウキャストは雷監視システムで雷の発生が確認されたときに発表され、雷の発生状況の解析と1時間先までの推移を予報する。」は誤り。
雷雲の盛衰傾向は統計的手法により作成した関係式を用いて予測していますが、雷雲は急な変化をすることも多いです。
だから予測時刻途中で発生した雷雲の予測はできません。
というわけで(b)の「雷雲の移動予測のほか、盛衰傾向は統計的手法によりある程度予測しているが、予測時刻の途中で新たに発生する雷雲は予測できない。」は正しい。
活動度2はすでに雷が確認されているので、(c)の「雷の激しさや雷の可能性は活動度1〜4の4つの階級で表される。活動度2〜4は、既に積乱雲が発生しており、いつ落雷があってもおかしくない状況を表す。」は正しい。
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