学科専門~過去問私的解説&考察~第64回気象予報士試験・問12

問12:予報の評価

ある民間会社が「日最大1時間降水量が20mm以上となる強い雨」の発生を予測するための指標(日最大1時間降水量と正の相関がある)を作成した。

図は、夏のある10日間における、翌日を対象とした指標の予値と実況(●:対象となる強い雨が発生、X:対象となる強い雨の発生なし)の経過を示したものである。

この図について述べた次の文章の下線部(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

ただし、空振り率、見逃し率は、全予報数に対する割合とする。

 図に示された10日間について、日最大1時間降水量が20mm以上となる強い雨が発生するか・しないかを、翌日を対象とした指標の予測値を判定に用いて予想することとし、判定基準を変更した場合の予想精度の変化について調べた。

 判定基準を指標の予測値50以上から40以上に変更した場合、変更前と比べて、スレットスコアは(a)0.125低くなり、空振り率は(b)0.2高くなる

 また、見逃し率を下げることを期待するならば、判定基準を(c)高くすればよい。

⑤ (a)誤, (b)正, (c)誤

はれの
はれの

さ、順番にやってみるよ!

ある民間会社が「日最大1時間降水量が20mm以上となる強い雨」の発生を予測するための指標(日最大1時間降水量と正の相関がある)を作成。

図は、夏のある10日間における、翌日を対象とした指標の予値と実況(●:対象となる強い雨が発生、X:対象となる強い雨の発生なし)の経過を示したもの。


空振り率、見逃し率は、全予報数に対する割合とする。

図に示された10日間について、日最大1時間降水量が20mm以上となる強い雨が発生するか・しないかを、翌日を対象とした指標の予測値を判定に用いて予想することとし、判定基準を変更した場合の予想精度の変化について調べたわけです。

(a)スレットスコア

判定基準を指標の予測値50以上から40以上に変更した場合、変更前と比べて、スレットスコアの値はどうなるのか。(▶︎用語集「スレット・スコア」

予報値50以上予報あり予報なし
実況あり325
実況なし145
4610
予報値40以上予報あり予報なし
実況あり505
実況なし325
8210

予測値50以上の場合のスレット・スコアは、3 / ( 3 + 2 + 1 ) = 0.5

予報値40以上の場合のスレット・スコアは、5 / ( 5 + 0 + 3 ) = 0.625

上記より、判定基準を指標の予測値50以上から40以上に変更した場合、変更前と比べて、スレットスコアは 0.125 高くなります。

よって(a)は誤り!

(b)空振り率

次は空振り率の変化です。(▶︎用語集「空振り率」

予測値50以上の場合の空振り率は、1 / 10 = 0.1

予測値40以上の場合の空振り率は、3 / 10 = 0.3

上記より、判定基準を指標の予測値50以上から40以上に変更した場合、変更前と比べて、空振り率は 0.2 高くなります。

よって(b)は正しい!

(c)見逃し率

最後は見逃し率について。(▶︎用語集「見逃し率」

この問題に対して計算は不要だけど、一応しておきます。

予測値50以上の場合の見逃し率は、2 / 10 = 0.2

予測値40以上の場合の見逃し率は、0 / 10 = 0

見逃し率を下げることを期待するならば、判定基準を低くすれば良いので・・・(c)は誤り!

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