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問14:台風によって発生する災害
台風によって発生する災害に関連する事項について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a) 台風に伴う強い風により、海水の飛沫が陸上の植物や送電施設に付着して塩害が発生することがある。このとき、一般に、降水量が多いほど塩害の被害も大きくなる。
(b)気象庁では、高潮による災害が発生するおそれがある場合には、天文潮位からの偏差を発表基準として高潮警報・注意報を発表している。
(c) 台風が温帯低気圧に変わる過程では、中心から離れた地域で風が強くなったり、強風域が広がったりすることがある。

⑤ (a)誤, (b)誤, (c)正,
出題頻度1
台風による塩害は、一般に降水量が多い方が少ないです。
これは、雨が植物や建物に付着した塩分を洗い流す「洗浄効果」を持つためです。
よって(a)の「台風に伴う強い風により、海水の飛沫が陸上の植物や送電施設に付着して塩害が発生することがある。このとき、一般に、降水量が多いほど塩害の被害も大きくなる。」は誤り!
台風が接近しても雨が少ない地域では、強い風によって運ばれた塩分がそのまま付着し続けるため、被害が大きくなります。

一方で、多量の雨が降る地域では、その雨が塩分を洗い流してくれるため、塩害が軽減される傾向にあります。
出題頻度2
高潮モデルは潮位偏差のみの計算を行っていおり、潮位基準には、TP(東京湾平均海面)が用いられています。
よって(b)の「気象庁では、高潮による災害が発生するおそれがある場合には、天文潮位からの偏差を発表基準として高潮警報・注意報を発表している。」は誤り!
高潮警報・注意報の基準
高潮警報・注意報は、台風や低気圧によって海面が異常に上昇し、災害が発生するおそれがある場合に発表されます。
この「海面の上昇」を判断する際の基準となるのは、天文潮位ではなく、気象の影響を含まない海抜高度の基準面です。
日本本土では、この基準面としてTP(Tokyo Peil:東京湾平均海面)が採用されています。
これにより、潮の満ち引き(天文潮位)による海面変動とは別に、台風や低気圧による潮位偏差がどれだけ大きいかを正確に判断することができます。
TP(東京湾平均海面)とは?
TPは、日本の高さ(標高)の基準となる海水面の高さで、標高0mと定められています。
離島など一部の地域では、現地の平均潮位(MSL)が用いられることもありますが、日本のほとんどの地域ではTPを基準としています。
出題頻度3
台風が温帯低気圧に変わる過程では、中心から離れた地域で風が強くなったり、強風域が広がったりすることがあります。
これは、台風が持つ熱帯低気圧としての性質と、温帯低気圧としての性質が混じり合うためです。
よって(c)の「台風が温帯低気圧に変わる過程では、中心から離れた地域で風が強くなったり、強風域が広がったりすることがある。」は正しい!
温帯低気圧化による風の変化
- 温暖前線と寒冷前線の形成: 台風が北上して暖かい空気と冷たい空気の境目(前線帯)に差し掛かると、温帯低気圧の特徴である温暖前線と寒冷前線が形成されます。
- 気圧傾度力の変化: 台風は中心付近の気圧傾度(気圧の変化の度合い)が非常に大きいですが、温帯低気圧は中心から離れた場所でも気圧傾度が大きくなることがあります。
- 風の再編成: 台風の熱帯低気圧としての対称的な風の構造が崩れ、前線に沿って風が強まったり、強風域が中心から遠い場所まで広がったりします。特に温暖前線の前面などでは、台風本体の風と温帯低気圧としての風が組み合わさり、風が強まることがあります。
このため、台風が温帯低気圧に変わった後も、勢力が弱まったと安易に判断せず、広範囲にわたる暴風や強風に警戒する必要があります。
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