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問9:偏西風帯におけるジェット気流
北半球の偏西風帯におけるジェット気流について述べた次の文(a)~(c)の正解の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a) 寒帯前線ジェット気流は、亜熱帯ジェット気流に比べて、一般に、風速が極大となる高度が低く、冬季に最も強くなる。
(b) ジェット気流の風速が下流の方ほど大きくなっている領域では、ジェット気流は等圧面上で等高度線を高度の高い側から低い側に横切ることが多い。
(c) ジェット気流の南北への蛇行が大きくなると、偏西風帯から低緯度側に切り離された上層の寒冷低気圧が形成されることがある。

① (a)正, (b)正, (c)正
出題頻度2
寒帯前線ジェット気流は、亜熱帯ジェット気流に比べて、一般的に風速が極大となる高度が低いです。↓
引用元:羽田空港WEATHER TOPICS
寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流を比較します。↓
- 高度:約7〜12km
- 発生要因:中緯度帯で発生する寒帯前線に伴う強い温度傾度(温度差)によって形成されます。
- 季節変動:冬季に南北の温度差が大きくなるため、最も強くなります。
- 高度:約12〜16km
- 発生要因:亜熱帯高圧帯から赤道低圧帯へ向かう、大規模な南北循環(ハドレー循環)によって形成されます。
- 季節変動:冬季に循環が強まるため、寒帯前線ジェット気流と同様に強くなりますが、一年を通して比較的安定しています。
よって(a)の「寒帯前線ジェット気流は、亜熱帯ジェット気流に比べて、一般に、風速が極大となる高度が低く、冬季に最も強くなる。」は正しい!
出題頻度2
ジェット気流の風速が下流の方ほど大きくなっている領域では、ジェット気流は等圧面上で等高度線を高度の高い側から低い側に横切ることが多くなります。
これは、風が加速するために、気圧傾度力の作用が必要となるからです。

「坂道を転がるボール」のイメージです。
よって(b)の「ジェット気流の風速が下流の方ほど大きくなっている領域では、ジェット気流は等圧面上で等高度線を高度の高い側から低い側に横切ることが多い。」は正しい!
補足
気圧傾度力は、等圧面上で等高度線が高い側から低い側へと向かう向きに働きます。
風が等高度線を横切らずに平行に吹いている場合(地衡風)、この力は風と直角に働き、風速を変化させることはありません。
しかし、風が加速するためには、気圧傾度力の一部が風と同じ向きに作用する必要があります。
そのため、ジェット気流は等高度線をわずかに、そして継続的に高高度側から低高度側へと横切ります。
これにより、風は気圧傾度力からエネルギーを受け取り、下流に向かって風速を増大させることができるのです。
出題頻度1
ジェット気流の南北への蛇行が大きくなると、偏西風帯から切り離された上層の寒冷低気圧が形成されることがあります。

これは「切離低気圧」とか「カットオフ・ロウ」と呼ばれる現象です。
よって(c)の「ジェット気流の南北への蛇行が大きくなると、偏西風帯から低緯度側に切り離された上層の寒冷低気圧が形成されることがある。」は正しい!
補足
切離低気圧(カットオフロウ)は、偏西風の蛇行が強まったときにトラフの一部が分離して生じるもので、上層に冷たい空気を伴います。
そのため、中層(500hPa付近)では周囲より気温が低く、強い寒気を伴い、
大気下層との気温差が大きくなり、不安定が増します。
そして結果として 「寒冷低気圧」としての性質を持つ場合がある、つまり下層の天気に影響する寒冷渦を形成します。
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