学科専門~過去問私的解説&考察~第61回気象予報士試験・問5

5:アンサンブル予報

気象庁の数値予報モデルを用いたアンサンブル予報について述べた次の文(a)~(d)の下線部の正誤について、下記の①~⑤の中から正しいものを1つ選べ。

(a)局地的な強雨など、位置ずれの影響が大きい局所的な現象の予想において、アンサンブル平均は、降水などの気象要素の分布が平滑化され、実際に現れる気象要素の極値などが表現されるとは限らないため、個々のメンバーの予想にも留意する必要がある。

(b)予報結果のアンサンブル平均をとることで、数値予報モデルが持つランダム誤差を低減することはできるが、系統的な誤差を除去することはできない。

(c)局地的な大雨のように、メソモデルで表現することは可能だが予測することが難しい現象は、メソアンサンブル予報でも予測は難しいが、複数のメンバーの予測結果を用いることにより現象の発生を確率的に捉えることができるようになる。

(d)アンサンブル予報のスプレッドが大きい場合は、スプレッドが小さい場合に比べて、一般に予報の信頼度が高い。

① (a)のみ誤り

② (b)のみ誤り

③ (c)のみ誤り

④ (d)のみ誤り

⑤  すべて正しい

④ (d)のみ誤り

(a)アンサンブル予報の留意事項

アンサンブル平均は、各メンバーの予測値が平滑化されるので、強い降水の分布などは表現されにくいので、各メンバーの予想に留意が必要です。

だから(a)の「局地的な強雨など、位置ずれの影響が大きい局所的な現象の予想において、アンサンブル平均は、降水などの気象要素の分布が平滑化され、実際に現れる気象要素の極値などが表現されるとは限らないため、個々のメンバーの予想にも留意する必要がある。」は正しい。

(b)誤差の除去

アンサンブル予報では、各メンバーの平均を取るわけなので、ランダム誤差を低減できます。

一方、実際の地形を完璧に表現できていないため、予測値と実測値の差である系統的誤差は残ります。

よって、(b)の「予報結果のアンサンブル平均をとることで、数値予報モデルが持つランダム誤差を低減することはできるが、系統的な誤差を除去することはできない。」は正しいです。

(c)局地的な現象

局地的な現象はメソアンサンブル予報でも的確な予測はできないのはわかりますよね。

でも各メンバーの「ばらつき具合」から、確率的に現象の発生を予測することも可能。

よって(c)の「局地的な大雨のように、メソモデルで表現することは可能だが予測することが難しい現象は、メソアンサンブル予報でも予測は難しいが、複数のメンバーの予測結果を用いることにより現象の発生を確率的に捉えることができるようになる。」は正しい。

(d)スプレッドと信頼度の関係

アンサンブルメンバーのばらつきが大きい場合は、それぞれの現象の発生確率が小さいわけなので…

(d)の「アンサンブル予報のスプレッドが大きい場合は、スプレッドが小さい場合に比べて、一般に予報の信頼度が高い。」は誤り。

はれの
はれの

これはスプレッドが大きい=信頼度は低い

って感覚でわかるよね?

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