令和元年8月の第52回気象予報士試験の学科・予報業務に関する専門知識を、晴野(はれの)だったらこう解く!という私の「考え方や知っていること」を共有します。
おすすめテキスト「イラスト図解 よくわかる気象学 専門知識編」の何ページに書かれているかもメモしているので、勉強の際に役立ちます。

令和元年8月の第52回気象予報士試験の学科・予報業務に関する専門知識の問題と解答を持っている人向けの内容です。
※私個人の試験問題を解く時の思考例です。(気象業務支援センターとは関係ございません。)
もし第53回気象予報士試験の学科一般の問題と解答を持っていなければ、まずこちらでダウンロードしてください。
\ まずは過去問と解答をダウンロードしてね! /
目次
問1:電気式温度計についての基本!
気象庁が行う気温の観測について述べた次の文章の空欄(a)〜(c)に入る適切な語句の 組み合わせを,下記の1〜5の中から一つ選べ。
電気式温度計の感部は,通風筒と呼ばれる筒の中に収容されている。通風筒は断熱 材を挟む金属製の二重の円筒容器で,その上部にはファンが取り付けられており,円筒内を(a)に通風することにより,(b)がないようにしている。また,通風筒下部 に取り付けられた遮へい板により,(c)の影響を防ぐ構造になっている。
この問題は、電気式温度計について知識を問うものです。

観測機器については、気象庁や気象台のHPを見るのが一番勉強になる!(最新情報だし♪)
電気式温度計の外観はこんなの。↓
引用:福岡管区気象台
電気式温度計の入った通風筒では(a)上向きに通風するし
通風筒が電動で強制的にしたから上に風を送っている理由は、(b)外気との温度差がないようにするためです。
「通風筒下部に取り付けられた遮へい板」は、(c)地表面で反射した日射を防ぐ効果があります。
気象庁のHPにも記載されてます。
通風筒の下部には、地面で反射した日射が直接当たるのを防ぐための遮へい板も付いています。
引用:気象庁
だから答えは②!

41〜42ページに関連情報が書かれています。
よく読んでおこう!
問2:サービス問題!気象レーダー観測の基本
よくある〇X問題です。
問題文の下線部が正しいかどうか?!
(a) 気象レーダーは,発射した電波と戻ってきた電波の周波数のずれ(ドップラー効果) を利用して降水強度を観測する。
(a)は、間違いですね
気象レーダーのドップラー効果は、対象物の移動方向や移動速度を観測しているので、降水強度を観測しているわけじゃあありません〜

178ページ〜「気象ドップラーレーダーについて」
(b) 水平に発射された電波はほぼ直進するが,地表面が曲率をもっているため,気象 レーダーからの距離が遠くなるにつれて低い高度の降水粒子を観測できなくなる。
(b)は〇!
地球は丸いので、発射されたレーダーは距離が遠くなるにつれ、観測できる高度は高くなるんですよね。


168ページ〜「気象レーダービームの高度のよる誤差」
(c) 気象レーダーから発射された電波の伝搬経路上に山岳があるときは,他のレーダー データとの合成等を行わなければ,ほとんどの場合山岳の向こう側を観測できない。
(c)は〇!

気象レーダーの非降水エコーの中には、地形エコーってのがあって、山があると向こう側にレーダーは届かないのです。

172ページ〜「地形エコー」
(d) 気象レーダーで降水エコーが観測されていても,降水粒子が落下する途中で蒸発 したり下層の風に流されたりして,直下の地上で降水が観測されないことがある。
(d)は〇!
(b)でもあったように、気象レーダーは遠くにいくほど高いところを観測することになるので、蒸発前の降水粒子を観測しちゃうこともあるんですよ〜


169ページ〜「気象レーダービームの高度による誤差」
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問3:知らないと解けない!地上から成層圏までの鉛直分布´д` ;

ダウンロードした問3の図を見ながら考えますよ〜
図は南鳥島において,ある日の 9 時にラジオゾンデで観測した気温,湿度,風速, 風向の鉛直分布である。この図の特徴について述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組 み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から一つ選べ。
図を見ると、高度は10hPaまでなので、地上から成層圏の上端までの
- 気温
- 湿度
- 風速
- 風向
の鉛直分布から、何がわかるのかが試されます。
(a) 800hPa付近には気温の逆転層がある。これは,下層の冷たい空気層の上を暖かい 空気が滑昇することにより起きる前線性の逆転層である。
下線部の内容は「間違い」です。
確かに気温のグラフを見ると、800hPaあたりに段が見られますが、「前線性の逆転層」ってところが違います。
逆転層には
- 接地逆転(放射逆転)
- 沈降性逆転
- 前線性逆転
があるけれど、まずは地面にとちょっと離れたところだから「接地逆転」じゃないよね。
じゃあ、「沈降性逆転」と「前線性逆転」を見分けるには・・・

見分けるポイントは湿度の鉛直分布!
- 前線性の逆転層なら、逆転層の上は湿度が高くなる
- 沈降性の逆転層なら、逆転層の底で一番湿度が高くて、その上はガクンと湿度が下がる。

湿度のグラフを見ると、沈降性逆転層の特徴がそのまんま当てはまるので

この800hPaあたりの逆転層は
「沈降性逆転層」!
(b) 気温の鉛直分布のみから対流圏界面を推定すると,80hPa付近は対流圏界面の可 能性がある。しかし風向・風速はその上下で目立った変化がないことから,圏界面 とはしない。
下線部の内容は「間違い」です。

「圏界面」の定義は、「高さ」と「温度変化」なのです!
- 500hPa面以上の高さ。
- 2km以内の面間で、平均気温減率がすべて2.0℃/kmを超えない部分の一番下の面が圏界面(第1圏界面)。
※圏界面は「第〇圏界面」と、いくつもある。→気象庁【圏界面】
つまり、圏界面の条件は「500hPa」ってことと、温度変化にあるのであって、風速や風向は関係ない。

82ページ〜「GPSゾンデ観測での圏界面の観測」
(c) 湿度の観測データは300hPa付近までしかない。これは,気温と湿度の分布の特徴 から,雷によって湿度センサーが故障したためと考えられる。
下線部の内容は「間違い」です。
ラジオゾンデは気温ー40℃以下(だいたい300hPa以下)では、正確な値を観測できないので、湿度を観測していません。
だから雷説は間違い。笑
a,b,c、全部間違いだったので、答えは④ですね。

82ページ〜「GPSゾンデ観測での湿度の観測」

- 逆転層と湿度の関係
- 圏界面の定義
- 湿度観測の限界高度
隅々まで勉強していれば解けるけど・・・ちょっと難易度高め!
問4:数値予報の運動方程式(水平方向)
「数値予報で用いられる水平方向の運動方程式の気象庁のモデルにおける取り扱いについて」の問題です。
(a),(b),(c)の下線部が正しいことを書いてるかどうか?!
集中してやっていきましょうー!
水平速度の時間変化
= (第1項)移流による変化
+ (第2項)コリオリ力による変化
+(第3項)気圧傾度力による変化
+ (第4項)物理過程による変化
(a) 総観規模の現象に対しては,コリオリ力と気圧傾度力がつりあう地衡風平衡近似 がよい精度で成り立つことから,それらの現象を主な予測対象とする全球モデルで は,上式の右辺の第 2 項と第 3 項を計算していない。
(a)の下線部は間違い!
全球モデルでは、(第2項)コリオリ力による変化と(第3項)気圧傾度力による変化を計算してます!

気圧傾度力、重要。
「総観規模の現象に対しては,コリオリ力と気圧傾度力がつりあう地衡風平衡近似 がよい精度で成り立つ」とはいえ、それは理論上の話。

本当のところ、コリオリ力と気圧傾度力が完全に釣り合ってるから計算しなくてOKよ!な〜んてことはありません!!!
気象庁のPDFにも記載されてます。→「全球モデルの改良と展望」
スケールの小さい現象ではコリオリ力の効果は小さいことから,それらの現象を 主な予測対象とする局地モデルでは,上式の右辺の第 2 項を計算していない。
(b)の下線部は間違い!
局地モデルで「コリオリ力による変化」を計算してないだと?!
局地予報と言っても、格子点の間隔2kmですからね!
表現するのは格子点間隔の5倍の10kmくらいですからね!
コリオリ力を無視できるはずもありません〜
地表面付近における乱流の効果などの,格子間隔より小さいスケールの現象の効果は,上式の右辺の第 4 項の中で計算されている。
(c)の下線部は〇!
第4項っていうのは「物理過程による変化」のこと。
「物理過程による変化」ってなんのことかというと・・・

格子点間隔よりも小さな現象の効果のこと。
だからそう言ってるじゃないか!ってことで、〇ですね。(о´∀`о)
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問5:数値予報モデルの特性について!
数値予報モデルについて、〇Xで答える問題です!
サクサクいっちゃいましょ〜
(a)全球モデルとメソモデルの降水予測結果が異なるとき,その要因は,水平格子間隔 の違いによる地形性降水の違いや,データ同化に用いられる観測データの違いによる ものであり,積雲対流過程などの物理過程の違いが要因となる割合は非常に小さい。
(a)は間違い!
積雲対流過程などの物理過程の違いも「パラメタリゼーション」として見積もられているので

降水予測結果が異なる場合の要因として、「割合は非常に小さい」ってことはない!
だから間違いです。
(b) メソモデルでは,領域外の情報を得るために全球モデルの予測結果を使っているため, 全球モデルに予測誤差がある場合,メソモデルの予測はその誤差の影響を受ける。
(b)は〇!
その通りでございます〜
メソモデルは全球モデルの予測結果を使ってる!
だから全球モデルの予測が外れちゃうと、メソモデルも影響を受けちゃう。
(c) 全球モデルでは静力学平衡の近似を用いていることから,鉛直 p 速度は水平方向 の運動方程式と連続の式を用いて求めている。
(c)は〇!
鉛直 p 速度は気圧の時間変化率のことで
- 水平方向 の運動方程式
- 連続の式(質量保存の式)
を使って計算します。
問6:天気予報ガイダンスについて!簡単な〇X問題♪
〇X問題は時間かけるべからず。(本番では、知らない内容なら飛ばします)
ちゃっちゃと問題文の要点をつかみましょう!
(a) 天気予報ガイダンスは,数値予報モデルの系統誤差を統計的に補正することがで きるが,初期値の誤差に起因するランダム誤差を補正することは困難である。
(a)は〇!
天気予報ガイダンスは
- 数値予報モデルの系統誤差を統計的に補正することができる
- 初期値の誤差に起因するランダム誤差を補正することは困難
「数値予報モデルの系統誤差」っていうのは、数値予報のくせみたいなもので、例えば地形のモデルが実際とはちょっと違うことだったりします。

ランダム誤差っていうのは、例えば「数値予報の前線の位置ずれ」とか。
他には、「数値予報の天気(晴れ、曇り、雨)が外れてる」、はたまた「数値予報が短時間強雨をまったく表現していない」とか。
そもそも初期値に誤差があると、そりゃあ「くせ」の問題でもないんだし、修正は難しいですよね。
(b) カルマンフィルターを用いたガイダンスでは,実況の観測データを用いて予測式 の係数を逐次更新しており,局地的な大雨など発生頻度の低い現象でも適切に予測 することができる。
(b)は間違い!
簡単に言うと、カルマンフィルターを使うガイダンスでは
- 発生頻度の高い現象を予測するのが得意(実況の観測データを用いて予測式 の係数を逐次更新するから)
- 発生頻度の低い大雨や強風などは苦手(たまに大きな数値が組み込まれると、その後の予測の精度が悪くなる)
ややこしいけど、昔から度々出題されてることなので、頑張って覚えましょう!
(c) ニューラルネットワークを用いたガイダンスは,目的変数と説明変数が非線形関係 をもつ場合にも適用できる一方で,予測結果の根拠を把握することは困難である。
(c)は〇!
ニューラルネットワークを用いたガイダンス
ニューラルネットワークは、説明変数(数値予報モデルの予測要素)と目的変数(予測したい天気要素)の関係が線形じゃなくてもOK。
また、予測式が複雑なせいで、説明変数と予測結果との関係を把握することが難しいんです。

このへんの説明をきっちり書いてる参考書が少ない・・・
というより、試験が参考書の穴をついてくるみたい。
このへんの勉強は難しいけど、過去問を有効に使って頑張ろー!
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問7:サービス問題!気象衛星可視画像の見方
各問題文の下線部のところが〇かXかで答えます。

この問題文にある「走向」が「走行」だったら答えが変わってしまうので、出題者のミス・・・ですかね。

(a) 領域Aの雲パターンはLモードと呼ばれる。大気下層の風向とほぼ平行な走向を もつ筋状雲である。
この問題ね、「走行」だったら〇です!
「走向」だったら間違いです。

地学で「走向」って言ったら、「傾斜に直角な向き」のことなので、「走行」と90度ちがいますね。
問題文は「走向」なので、(a)は間違いって思っても仕方ないです。
(b) 領域Bの帯状に広がる発達した雲域はJPCZに伴うものであり,積乱雲などを伴っ て顕著な降雪・雷・突風などを引き起こすことがある。
(b)は〇!
JPCZは「Japan sea Polar air mass Convergence Zone」の略で、日本語では「日本海寒帯気団収束帯」です。

中国大陸の山のせいで、二手に別れた寒気の流れが、日本海上で再び出会ってこんにちは→帯状にできる収束域のことです。
このJPCZがあると、特に荒れた天気になるので(b)は〇です。
(c) 領域Cの雲パターンはTモードと呼ばれる。大気下層の風向とほぼ直交する走向 をもつ筋状雲である。
また出た「走向」。
気を取り直して〜「Tモード」とは、Transverse-modeのことで、「季節風の吹き出し方向に対してほぽ直交する方向にロ一ル軸をもつ大規模な雪雲のことです。


いわゆる冬の筋状の雲と、90度違うシマシマ模様に見える雲域のことですね。
これ、「走向」「走行」でも〇かと思うし、問題文作った人はおそらく「走行」のつもりで書いたと思うんですよね。
そんなわけで、ややこしいですが
問7は①が正解で良いと思う。
問8:サービス問題!温暖前線と寒冷前線について
(a) 温暖前線面の傾きは寒冷前線面より緩やかで気塊がゆっくり上昇するので,温暖 前線上とその直近では積乱雲は発生しない。
(a)は間違い!
温暖前線は
- 寒冷前線より穏やかに気塊が上昇する。
- 一般的には穏やかに雨が降るけど、積乱雲が発生しないとは断言できない。
温暖前線にも色々あるというか、積乱雲が発生する条件が揃う温暖前線もあるのです〜
(b) 寒冷前線に伴う降水域は温暖前線の降水域に比べて幅が広いことが多く,積乱雲 が発生して雷や突風などの現象を伴うことがある。
(b)は間違い!
寒冷前線の降水域は、教科書的には「温暖前線より幅が狭い」です。
積乱雲が発生して突風などの現象が〜は〇で良いと思うんですが。
(c) ⻄日本以⻄の梅雨前線では,一般に,下層の南北方向の温度傾度が大きく,水蒸気 量の傾度も大きい。
(c)は間違い!
西日本より西側の梅雨前線では
- 南北の温度傾度は小さく
- 南北の水蒸気量の傾度が大きい

南北の温度傾度が大きいのは、オホーツク海の冷たい気団と太平洋の南から来る暖かい気団でできる「東側の梅雨前線」ですね。
(d) 梅雨前線に伴う大雨の際には,前線の南側にしばしば下層ジェットと呼ばれる強 風帯がみられる。
(d)は〇!
下層ジェットは、梅雨前線などの対流活動が活発で大雨が降っている近くに観測されます。

700hPaくらいの対流圏下層みられます。
下層ジェットができる理由の一つに、「激しい対流活動による水蒸気の凝結で大気が加熱されて、気圧傾度力が強まること」があると考えられています。
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問9:サービス問題!ダウンバーストの基本+α
ダウンバーストにより家屋や樹木の倒壊などの災害がもたらされる。その被害地域 は多くの場合,(a)円形や楕円形となる特徴がある。ダウンバーストにより吹き出した 風が水平方向に広がる範囲は,(b)最大で約 1km に達する。
積乱雲内で形成された降水粒子の荷重に加えて,その蒸発や融解に伴う大気の冷却 により,ダウンバーストを引き起こす下降気流が強化される。特に,積乱雲の雲底が 高く,(c)雲底の下の大気が湿っているほど,下降気流が強くなり,ダウンバーストの 発生に好都合となる。
これはどの参考書にもかいてあるレベルのことなんですが・・・
ダウンバーストは、冷たい空気が上から下に落ちてきて、横に広がる(バーストする)現象なので、基本的に円形から楕円形の被害があるって、納得ですよね。

ダウンバーストにより吹き出した 風が水平方向に広がる範囲は、数百m〜数十kmくらいです。
積乱雲の下の空気って、乾燥している方が
という風に、下降気流が強まるんです。
だから「ダウンバーストの発生に好都合」なのは、「下層の空気が乾燥している時」です。

ちなみに下層の空気が湿っていると、雹が降るなど、別の被害が心配なのです〜
問10:500hPa 高度・渦度解析図をマスターしてるか?!
問題にある図と文の「正しい組み合わせ」は、どれでしょう?って問題です。
- 図ア、イ、ウは、それぞれ違う日の天気図
- 文(a)、(b)、(c)は、図ア、イ、ウのどれかの日の地上での状況

問題文にどの図が当てはまるのかで考えます。
(a) 低気圧が日本海中部にほぼ停滞しており,北日本から西日本にかけての日本海側 で雪が降っている。
低気圧が日本海中部にほぼ停滞→切離低気圧→日本海の西に深いトラフがありそう。
北日本から西日本にかけての日本海側 で雪→北日本から西日本にかけて正渦度?

切離低気圧できるほどトラフが深いのは、図ウかな。
(b) 梅雨前線が山陰沖から北日本に停滞しており,前線の活動は活発になっている。
梅雨前線が山陰沖から北日本に停滞→6月〜7月くらいの暖かい季節で、梅雨前線の北側に比べて、南側は等高度線がスカスカ(言い方w)

前線の活動は活発→正渦度でわかるかな?

北側に比べて、南側の等高度線がスカスカなのは、図アですね。
(c) 九州の南に発達中の低気圧があり,北日本の一部を除き全国的に雨や雪が降っている。
九州の南に発達中の低気圧→九州の南西にトラフがあるはず。
北日本の一部を除き全国的に雨や雪→北日本の一部をのぞいて正渦度じゃないかな?

九州の西側に、緩めのトラフがあって、北日本の一部以外が正渦度なのは、図イですね。
というわけで、答えは④ですね!
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問11:台風情報問題は高頻出!
(a) 台風の暴風域とは,台風の直接の影響を受ける範囲の中で,10 分間平均風速が 25m/s 以上の暴風が吹いているか,地形の影響などがない場合に吹く可能性のある 領域のことである。
(a)は〇!
台風の暴風域の定義は
台風の周辺で、平均風速が25m/s以上の風が吹いているか、地形の影響などがない場合に、吹く可能性のある領域。通常、その範囲を円で示す。
引用:気象庁
「風速」というのは、そもそも「10分間平均風速」のことです。
(b) 台風が予報円の中心を通りながら接近しているときは,台風の暴風域に入る確率 は,時間が経過しても変わらないと考えてよい。
(b)は間違い!
台風が予報円の中心を通ってるとして・・・
「台風の暴風域に入る確率」は「時間が経過しても変わらない」???
「台風の暴風域に入る確率」は「暴風警戒域に入る確率」のことかな?
「時間が経過しても変わらない」って、台風の発達や衰退を無視?

ものすごく違和感あるので、この問題文は間違いだと思います!
(c) 台風の「上陸」とは,台風の中心が北海道,本州,四国,九州の四つの島の海岸 に達した場合をいう。ただし,半島などを横切って短時間で再び海に出る場合やそ の他の島の海岸に達した場合は「通過」という。
(c)は〇!
そのまんまです。
暗唱して覚えちゃいましょう!
「台風上陸」の定義 | 台風の中心が 北海道,本州,四国,九州の四つの島の海岸に 達した場合 |
「台風通過」の定義 | 半島などを横切って 短時間で再び海に出る場合や その他の島の海岸に達した場合 |
問12:熱中症への注意を促す高温注意情報
高温注意情報についての〇Xクイズです〜!
先に高温注意情報の詳細をまとめておきますね。↓
高温注意情報 | 詳細 |
---|---|
発表単位 | 関東甲信地方以外は、都道府県別で発表される |
発表時期 | 4月第四水曜日から10月第四水曜日 |
対象となる地域内の 翌日または当日の最高気温 | 35°C以上 北日本や南西諸島では33℃や31℃ |
ではサクサク解いていきます!
(a) 高温注意情報は,市町村単位で発表される。
(a)は間違い!
高温注意情報は関東甲信地方以外は、都道府県別で発表されるので、「市町村単位」ってのは間違いです。
(b) 高温注意情報が発表された場合,北日本等の一部地域を除き,対象となる地域内の翌日または当日の最高気温が 35°C以上になると予想される。
(b)は〇!
高温注意情報は、35°C以上の猛暑日が予想される時に発表されます。

ただし、北日本や南西諸島では33℃や31℃でも高温注意情報が発表されます。
(c) 高温注意情報は,季節あるいは地域を問わず発表される。
(c)は間違い!
高温注意情報はは、4月第四水曜日から10月第四水曜日を対象とした期間に発表されます。
「季節・地域を問わず」じゃないです。
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問13:注意報・警報の基準
(a)、(b)、(c)の問題文が、表の基準のどれに当てはまるか?って問題ですね。
では「A市の洪水警報・注意報の発表基準」と問題文を見て考えますよ〜
↓横スライドで見れます。
流域雨量指数基準 | 複合基準 | 指定河川洪水予報に関する基準(※1) | |
---|---|---|---|
洪水警報基準 | M川流域雨量指数=30 | ー | P川【Q橋】での水位 |
洪水注意報基準 | M川流域雨量指数=20 | M川流域雨量指数=15かつ 表面雨量指数=20 | P川【Q橋】での水位 |
※1:「P 川の Q 橋における水位予測等を基準にして,A 市を流れる P 川に対して指定河川洪 水予報が発表される」ことを意味する。なお,指定河川洪水予報の種類に連動して,A 市 に洪水警報・注意報が発表される。
(a) 2 時間後に,A 市の M 川流域で,流域雨量指数が 20 に達することが予想され,その後も流域雨量指数が 20〜25 で推移する予想となっている。
洪水注意報ですね。
理由は
- M 川流域で,流域雨量指数が 20
- その後も流域雨量指数が 20〜25
だから!
(b) 2 時間後に,A市で表面雨量指数が 25 となり,A市のM川流域で流域雨量指数が 30 となる予想となっている。
洪水警報ですね。
理由は、「M川流域で流域雨量指数が 30」だから。
(c) P 川の Q 橋における水位予測から「P 川氾濫警戒情報」が発表された。
洪水警報です!
洪水警報と洪水注意報は
- ○○川氾濫警戒情報が出ると→洪水警報
- ○○川氾濫注意情報が出ると→洪水注意報
という関係にあります。

この部分は問題の表には記載されていないので、知っていないと自信持って答えられないですね。
問14:海上警報と台風の関係について!
この問題は、海上警報と台風についての数字をどれだけ覚えているかが試されます!
覚えてないなら答えれないので、本番なら次の問題に進みましょう!
(a) 熱帯低気圧(TD)に対して海上強風警報が発表された場合,その TD は今後台風に なる可能性がある。
(a)は〇!

海上強風警報は、「最大風速34ノット以上48ノット未満」が予想される時に出るもので
台風は、最大風速(10分間平均)が、およそ17m/s(34ノット、風力8)になったものなので・・・
そりゃあ台風になる可能性もあるよね。
(b) 海上濃霧警報は,視程がおおむね1km以下の状態に既になっているか,または24 時間以内にその状態になると予想される状況のときに発表される。
(b)は間違い!

海上濃霧警報は、視程(水平方向に見通せる距離)0.3海里(約500m)以下(瀬戸内海は0.5海里(約1km以下)だからね!
(c) 台風が温帯低気圧に変わった後でも,風速64ノット以上が予想される場合は海上台風警報が発表される。
(c)は間違い!
そもそも「海上台風警報」は、台風による風が最大風速64ノット以上が予想される時。

台風じゃなくなったんだから
「台風による風」じゃないよな!
(d) 階級が「TS」の台風に対して,海上台風警報が発表されることはない。
(d)は間違い!
TSっていうのは、Tropical Stormのことで、風の強さは「およそ17m/s(34ノット)以上 25m/s(48ノット)未満」なわけですよ。
海上台風警報は、「台風による風が最大風速64ノット以上」が予想される時に発表されるので、一見ちょっと無理なんじゃね?と思うかもしれません〜
でも海上警報は、「日本近海について既定の現象が発生しているか、24時間以内に発生すると予想される場合」に発表できるので

TSランクの台風が、24時間以内に発達してTランク(33m/s(64ノット)以上になる可能性もあるわけで!
「発表されることはない」なんて決めつけないでよねーというわけで間違い!
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問15:500hPa・地上天気図の平年偏差
問題の舞台は1月。

北半球が冬の時期ですね!
与えられた資料は
- 月平均の500hPaの高度と平年差
- 月平均の海面気圧と平年差
この2つの天気図からわかることは・・・
- 日本付近は平年より気温が低いこと。(500hPaの高度が不偏差)
- 日本の東側に気圧の谷がある東谷の流れ。
- 平年より西高東低の冬型の気圧配置が強まっている。
では各問題を読んでみましょう!
(a) 東日本太平洋側では,平年に比べ降水量が多くなりやすい。
(a)は間違い!

西高東低での冬型が強まってるんだから、日本海側で降水量は増えるけど、東日本の太平洋側でで降水量が多くなるのは間違いだと思います。
(b) 西日本では,平年より気温が低くなりやすい。
(b)は〇!
日本の東側に気圧の谷がある東谷の流れなので、北西風が吹きやすく、平年より気温は低くなりやすい推測できます。
から〇。
(c) 沖縄・奄美では,平年に比べて晴れの日が多くなりやすい。
(c)は間違い!
沖縄・奄美は、冬季に曇りや雨の日が多くなります。

西高東低の冬型の警告が強まるってことは、冬の特徴がより現れやすくなるってことですよね。
ということは、より曇りや雨の日が増えて、降水量が増える・・・ってことかと思います。
だから(c)は間違い!
さいごに
第52回の気象予報士試験の学科試験の「予報業務に関する専門知識」を私・晴野の解き方を紹介しました!
試験の内容も、気象業務支援センターに一報入れて、書かせてもらってます。
※解説内容は気象業務支援センターとは関係ないです。
この過去問解説は、どの機関のチェックも受けていないので、もしかしたら間違った内容になっているものもあるかもしれません。
もし「ここおかしいよ!」というのを見つけたら、遠慮せずに「お問い合わせ」からご連絡いただけたら嬉しいです。m(*_ _)m
第54回気象予報士試験【学科・一般知識】の過去問解説はこちら

第52回気象予報士試験【学科・一般知識】の過去問解説はこちら

第53回気象予報士試験【実技試験1】の過去問解説はこちら(noteにて、当分無料で公開しておく予定です。)

第53回気象予報士試験【学科・専門知識】の過去問解説はこちら

第53回気象予報士試験【学科・一般知識】の過去問解説はこちら
