学科専門~過去問私的解説&ヒント~第52回気象予報士試験

問3:知らないと解けない!地上から成層圏までの鉛直分布´д` ;

はれの
はれの

ダウンロードした問3の図を見ながら考えますよ〜

問題主文

図は南鳥島において,ある日の 9 時にラジオゾンデで観測した気温,湿度,風速, 風向の鉛直分布である。この図の特徴について述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組 み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から一つ選べ。

図を見ると、高度は10hPaまでなので、地上から成層圏の上端までの

  • 気温
  • 湿度
  • 風速
  • 風向

の鉛直分布から、何がわかるのかが試されます。

(a)問題文

(a) 800hPa付近には気温の逆転層がある。これは,下層の冷たい空気層の上を暖かい 空気が滑昇することにより起きる前線性の逆転層である。

下線部の内容は「間違い」です。

確かに気温のグラフを見ると、800hPaあたりに段が見られますが、「前線性の逆転層」ってところが違います。

逆転層には

  • 接地逆転(放射逆転)
  • 沈降性逆転
  • 前線性逆転

があるけれど、まずは地面にとちょっと離れたところだから「接地逆転」じゃないよね。

じゃあ、「沈降性逆転」と「前線性逆転」を見分けるには・・・

はれの
はれの

見分けるポイントは湿度の鉛直分布!

  • 前線性の逆転層なら、逆転層の上は湿度が高くなる
  • 沈降性の逆転層なら、逆転層の底で一番湿度が高くて、その上はガクンと湿度が下がる。

湿度のグラフを見ると、沈降性逆転層の特徴がそのまんま当てはまるので

はれの
はれの

この800hPaあたりの逆転層は
「沈降性逆転層」!

(b)問題文

(b) 気温の鉛直分布のみから対流圏界面を推定すると,80hPa付近は対流圏界面の可 能性がある。しかし風向・風速はその上下で目立った変化がないことから,圏界面 とはしない。

下線部の内容は「間違い」です。

はれの
はれの

「圏界面」の定義は、「高さ」と「温度変化」なのです!

圏界面の定義
  • 500hPa面以上の高さ。
  • 2km以内の面間で、平均気温減率がすべて2.0℃/kmを超えない部分の一番下の面が圏界面(第1圏界面)。

※圏界面は「第〇圏界面」と、いくつもある。→気象庁【圏界面】

つまり、圏界面の条件は「500hPa」ってことと、温度変化にあるのであって、風速や風向は関係ない。

イラスト図解よくわかる気象学 専門知識編

82ページ〜「GPSゾンデ観測での圏界面の観測」

(c)問題文

(c) 湿度の観測データは300hPa付近までしかない。これは,気温と湿度の分布の特徴 から,雷によって湿度センサーが故障したためと考えられる。

下線部の内容は「間違い」です。

ラジオゾンデは気温ー40℃以下(だいたい300hPa以下)では、正確な値を観測できないので、湿度を観測していません。

だから雷説は間違い。笑

a,b,c、全部間違いだったので、答えは④ですね。

イラスト図解よくわかる気象学 専門知識編

82ページ〜「GPSゾンデ観測での湿度の観測」

はれの
はれの
  • 逆転層と湿度の関係
  • 圏界面の定義
  • 湿度観測の限界高度

隅々まで勉強していれば解けるけど・・・ちょっと難易度高め!

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