学科専門~過去問私的解説&考察~第61回気象予報士試験・問4

4:数値予報のモデル

気象庁が運用している数値予報の全球モデルやメソモデルについて述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a)数値予報モデルでは、格子点法やスペクトル法を用いて水平方向の離散化が行われている。全球モデルでは、水平方向の物理量の空間分布を様々な波長の波の重ね合わせとして表現するスペクトル法が用いられている。

(b)全球モデルの水平格子間隔は約 13km であり、それより小さいスケールの現象である積雲や乱流等の効果は、パラメタリゼーションにより格子点の値に反映されている。

(c)全球モデルの予測値はメソモデルの予測における境界条件としても用いられているが、全球モデルが改良され、その予測特性が変化しても、一般にメソモデルの予測特性は変化しない。

② (a)正,(b)正,(c)誤

(a)スペクトル法

数値予報モデルでは、連続した数値を離散させるために「格子点法」と「スペクトル法」を使います。

はれの
はれの

全球モデルでは「スペクトル法」、

メソモデルでは「格子点法」を採用しています。

よって、(a)の「全球モデルでは、水平方向の物理量の空間分布を様々な波長の波の重ね合わせとして表現するスペクトル法が用いられている。」は正しい!

(b)パラメタリゼーション

スケールの小さな現象でも、数値シミュレーションに関係する現象の物理的効果を表現して、数値モデルなどの方程式に加えることを、パラメタリゼーションといいます。

積雲や乱流はスケールの小さい現象ですが、周囲の現象に与える効果は大きいのでパラメタリゼーションで格子点の値に反映させます。

よって、(b)の「全球モデルの水平格子間隔は約 13km であり、それより小さいスケールの現象である積雲や乱流等の効果は、パラメタリゼーションにより格子点の値に反映されている。」は正しい。

(c)親モデルの影響

親モデルの予測特性が変化すれば、境界値として利用しているモデルの予測特定も変化します。

よって(c)の「全球モデルが改良され、その予測特性が変化しても、一般にメソモデルの予測特性は変化しない。」は誤り!

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