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問8:前線・温帯低気圧
日本付近に現れる前線や温帯低気圧について述べた次の文(a)〜(d)の正誤について、下記の①〜⑤の中から正しいものを1つ選べ。
(a)寒冷前線がある地点を通過する場合、一般にその地点では、風向は時計回りに変化し、気温や露点温度は下降する。
(b)温暖前線と寒冷前線の間の暖域に寒冷前線と平行に積乱雲の雲列が見られることがあり、これが通過すると寒冷前線が通過した時と似た風向変化をすることがある。
(c)発達中の温帯低気圧の進行方向後面では、下層への強い寒気の流入に伴って層厚が減少し、500hPa面など中層における等圧面高度が下降する一方、地上の気圧は上昇する。
(d)一般に、温帯低気圧に閉塞前線が形成され始めたときは、低気圧の一生の中で中心気圧が最も低く、最盛期の段階にあたる。
⑤ すべて正しい または ④(d)のみ誤り
寒冷前線が通過する時、教科書的には「風向は南西から北西に変化する」ので
(a)の「寒冷前線がある地点を通過する場合、一般にその地点では、風向は時計回りに変化し、気温や露点温度は下降する。」は正しい。
温帯低気圧の暖域に、寒冷前線に沿って発生する積乱雲の雲列…「ロープクラウド」のことでしょうか。
ロープクラウドは、寒冷前線の進行方向で前線に沿って発生する、衛星画像で見たらロープのように見える雲列です。
このロープクラウドは寒冷前線の対流雲から出た冷気が、下層の風と収束して発生する下層のミニ寒冷前線のような雲です。(参照:今月の気象衛星(2004年4月))
寒冷前線のようなスケールではないですが、現象としては寒冷前線と同じなので、通過時の現象は寒冷前線と似ています。
というわけで、(b)の「温暖前線と寒冷前線の間の暖域に寒冷前線と平行に積乱雲の雲列が見られることがあり、これが通過すると寒冷前線が通過した時と似た風向変化をすることがある。」は正しい。
発達中の温帯低気圧の進行方向後面…しっかりした寒気が南下していそうですね。
気温が低いと密度が高くなるので、層厚は減りますよね。
500hPa面など中層における等圧面高度が下降する一方、地上の気圧は上昇するのは、2023年1月28日00UTCの12時間予想天気図を見るとわかりやすいです。↓
だから(c)の「発達中の温帯低気圧の進行方向後面では、下層への強い寒気の流入に伴って層厚が減少し、500hPa面など中層における等圧面高度が下降する一方、地上の気圧は上昇する。」は正しい。
温帯低気圧の最盛期は、低気圧中心に寒気が入り込み、地上では閉塞前線が形成されます。
閉塞前線が形成した後も、さらに発達し、中心気圧が下がる低気圧もありますが、おおむね「閉塞前線形成」=「最盛期」=「最も中心気圧が低い期間」であるので…
(d)の「一般に、温帯低気圧に閉塞前線が形成され始めたときは、低気圧の一生の中で中心気圧が最も低く、最盛期の段階にあたる。」は、私だったら「正しい」とすると思います。
閉塞前線が形成され始めたときの「とき」が曖昧な表現だということで、④でも⑤でも正解になるようです。
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