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問4:雲の中の水晶・雪の結晶について(降水過程)
雲の中の氷晶や雪の結晶について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして 正しいものを,下記の1〜5の中から 1 つ選べ。
(a) 大気中の氷晶のほとんどは,−40°C前後の低温の雲の中で不純物を含まない水滴 が凍結して生成される。
(b) 過冷却の雲の中で水滴よりも氷晶の方が速やかに成⻑する要因は,0°C以下では氷 の表面に対する飽和水蒸気圧が水の表面に対するそれよりも小さいからである。
(c) 氷粒子が落下しながら過冷却雲粒を捕捉して成⻑する過程では,氷粒子の質量が 増加するほど,氷粒子の単位時間あたりの質量増加量は減少する。
(d) 雲内で氷晶が成⻑して雪の結晶となるとき,結晶の形は,周囲の気温に依存する が空気の過飽和度には依存しない。
④ (a)誤, (b)正, (c)誤, (d)誤
純粋な過冷却水滴は、温度が – 33 〜 – 41℃ の範囲で自ら凍結して氷晶となります。(不純物がない状態)
でも不純物を含まない純粋な氷晶を有する雲って、現実には巻雲などの一部の雲だけなんですよね。
一般的な雲では、- 33 〜 – 41℃みたいに温度が低くなくても、氷晶核のおかげで氷晶ができます。
だから(a)の「 大気中の氷晶のほとんどは,−40°C前後の低温の雲の中で不純物を含まない水滴 が凍結して生成される。」は誤り!
「一般気象学(第2版)」 p93
水に対する飽和水蒸気圧と氷に対する飽和水蒸気圧では、同じ温度の場合
氷に対する飽和水蒸気圧の方がやや小さいです。
水に対する飽和水蒸気圧 > 氷に対する飽和水蒸気圧
飽和水蒸気圧が小さい方の氷が、先に成長するんですね。
だから(b)の「 過冷却の雲の中で水滴よりも氷晶の方が速やかに成⻑する要因は,0°C以下では氷の表面に対する飽和水蒸気圧が水の表面に対するそれよりも小さいからである。」は正しい!
氷粒子は落下しながら過冷却雲粒(水滴)を取り込み成長するとき、氷粒子の質量は大きくなります。
つまり重くなるわけなので、重力の影響で落下スピードが増すんです。
落下スピードが増していくと、過冷却雲粒(水滴)を取り込む数も増えます。
その結果、時間当たりの質量増加量は増える・・・というわけです。
だから(c)の「 氷粒子が落下しながら過冷却雲粒を捕捉して成⻑する過程では,氷粒子の質量が 増加するほど,氷粒子の単位時間あたりの質量増加量は減少する。」は誤り!
「一般気象学(第2版)」 p98
結晶の形は、気温と氷過飽和水蒸気密度に依存します。
「一般気象学」の図4.11がわかりやすいよ!
例えば、水について飽和しているときは
- 0 ~ ー4 ℃:板状
- ー4〜ー10℃:柱状
- ー10〜ー22℃:板状
だから(d)の「 雲内で氷晶が成⻑して雪の結晶となるとき,結晶の形は,周囲の気温に依存する が空気の過飽和度には依存しない。」は誤り!
「一般気象学(第2版)」 p96