学科一般~過去問私的解説&ヒント~第55回気象予報士試験

問9:大気境界層の特徴

問題文

一般風の弱い晴れた日中における,平坦で地表面状態が一様な陸上の大気境界層の 一般的な特徴について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組合せとして正しいものを,下記 の1〜5の中から 1 つ選べ。

(a) 接地境界層を除く大気境界層内では,大気が上下によく混合されているので,風 速は鉛直方向にほぼ一様になる。

(b) 水蒸気は地表面から大気に供給されるので,相対湿度は接地境界層の上端から大 気境界層の上端まで高度とともに次第に減少する。

(c) 接地境界層内では,温位が高度とともに減少する絶対不安定な状態が持続するこ とがある。

(d) 大気境界層内の気温は日の出から午後にかけて上昇するが,大気境界層の上端の 高度は,この間ほとんど変化しない。

③ (a)正, (b)誤, (c)正, (c)誤

(a)大気境界層内の鉛直分布「風速」

はれの
はれの

大気境界層での風速の変化を思い出してみよう!

この大気境界層内で晴天日の正午、風速の鉛直分布はどんなだったか覚えていますか?

晴天日の正午における大気境界層内の風速

だから(a)の「 接地境界層を除く大気境界層内では,大気が上下によく混合されているので,風速は鉛直方向にほぼ一様になる。」は正しい!

(b)「相対湿度」=「混合比」

※用語解説「混合比

大気境界層内の湿度(混合比)は、下のように混合層では一様。

晴天日の正午における大気境界層内の混合比

そして気温は上層ほど低くなるので、飽和水蒸気圧は上層ほど減少します。

ってことは相対湿度は高度とともに増加するってことですよね。

だから(b)の「 水蒸気は地表面から大気に供給されるので,相対湿度は接地境界層の上端から大気境界層の上端まで高度とともに次第に減少する。」は誤り!

(c)大気境界層内の鉛直分布「温位」

晴天日の正午における大気境界層内の温位

混合層内は、空気がよくかき混ぜられていて、温位はほぼ一様です。

はれの
はれの

でも接地層では、暖かくなった地表面によって暖められ続けるために、接地層内での下層と上層で温度差が大きくなっています。

下層から上層まで熱が伝わるのが間に合ってないイメージです。

だから(c)の「 接地境界層内では,温位が高度とともに減少する絶対不安定な状態が持続することがある。」は正しい!

(d)大気境界層内の鉛直分布「気温」

大気境界層の上端の「高度が変わるんかい・変わらんのかい」問題。

はれの
はれの

移行層は、上にある自由大気に押しつぶされたり、下から混合層の対流が入り込んだり、さまざまな変化が見られます。

だから(d)の「 大気境界層内の気温は日の出から午後にかけて上昇するが,大気境界層の上端の 高度は,この間ほとんど変化しない。」は誤り!

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