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気象予報士試験・学科試験「予報業務に関する専門知識」の過去問の中から、最も高頻度で出題される科目「予報」についての問題のみを集めました。
今回は第48回と第47回の試験に出題された問題をまとめています。
ここでは気象予報士試験の学科試験・専門知識で出題される科目「予報」についての過去問(第48回の試験〜第47回の試験)をまとめておさらいできるようになっています。
「予報」に関する問題は、毎回4〜6問出題されます!
だからこの科目の過去問は、ぜひ集中してインプットしていきたいところ。
過去問を通して似たような問題を繰り返し解くことで、学習効率も上がりますよ〜
過去に出題された「予報」に関るる問題をまとめて解くことで、予報に関する知識を更に深めましょう!
※「予報」についてのその他の試験回の過去問まとめはこちらからどうぞ
【学科・専門】「予報」に関する過去問&解説総まとめ!
第48回出題:数値予報図に示されている物理量
数値予報図に示されている物理量について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせ として正しいものを,下記の1〜5の中から一つ選べ。
(a) 700hPa 付近の高度において,鉛直 p 速度は保存量とみなすことができるため,総 観規模の擾乱の追跡に利用できる。
(b) 低気圧性循環の渦度の鉛直成分は,北半球,南半球ともに正の値となる。
(c) 湿数0°Cは,相対湿度が100%であることを示す。
⑤ (a)誤, (b)誤, (c)正
(a)では2点チェックします。
まず、鉛直P速度は保存量じゃないですね。
保存量とみなせるのは「絶対渦度」ですー。
ちなみに、鉛直P速度は、上昇流の強さや風の収束をチェックするときに注目する値。
- 前線の場所
- 閉塞点の位置
- 低気圧が今後発達するか
だから(a)の「700hPa 付近の高度において,鉛直 p 速度は保存量とみなすことができるため,総 観規模の擾乱の追跡に利用できる。」は誤り!
渦度は「正の値」か「負の値」かであらわします。
- 正の渦度:反時計回り
- 負の渦度:時計回り
コリオリの力の向きが違うので、北半球と南半球で低気圧と高気圧の渦の向きが違うのは知ってますよね!
北半球 | 南半球 | |
---|---|---|
低気圧 | ||
高気圧 |
だから(b)の「低気圧性循環の渦度の鉛直成分は,北半球,南半球ともに正の値となる。」は誤り!
湿数 | 気温から露点温度を引いたもの。 |
相対湿度 | その温度における飽和水蒸気圧に対する、その空気の水蒸気圧を百聞率(%)で表現したもの。 |
つまり「湿数0℃」というのは、気温と露点温度が同じってこと。
「気温と露点温度が同じ」ということは、露点温度まで気温が下がっているわけなので、空気の中にこれ以上水蒸気を含むことはできませんね。
つまりシケシケ度100% ← 相対湿度100%!(笑)
だから(c)の「湿数0°Cは,相対湿度が100%であることを示す。」は正しい!
ポイントをまとめよう
鉛直P速度でわかること | 上昇流か下降流か 鉛直流の強さ |
正の渦度 | |
負の渦度 | |
湿数 | 気温から露点温度を引いたもの。 |
相対湿度 | その温度における飽和水蒸気圧に対する、その空気の水蒸気圧を百聞率(%)で表現したもの。 |
第48回出題:数値予報における客観解析について
気象庁の数値予報における客観解析について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わ せとして正しいものを,下記の1〜5の中から一つ選べ。
(a) 客観解析は解析値の第一推定値を観測データによって修正する処理であり,第一 推定値には,通常,気候値が用いられる。
(b) 観測データは第一推定値と比較され,その差が定められた基準を越える場合は解 析に用いられない。
(c) 観測点の位置がモデルの格子点の位置と同じ場合には,その観測値が格子点の解 析値となる。
③ (a)誤, (b)正, (c)誤
客観解析とは、数値予報において、第一推定値を観測値で修正して解析値を求めることを言う。
「第一推定値」と「観測値」の意味を整理しましょうか。
第一推定値 | 数値予報モデルの予報値 |
観測値 | 周囲の観測所で観測された値を格子展の位置に内挿した値 |
第一推定値に用いられるのは「数値予報モデルの予報値」なので・・・
(a)の「 客観解析は解析値の第一推定値を観測データによって修正する処理であり,第一 推定値には,通常,気候値が用いられる。」は誤り!
観測データにも誤差はつきもので、客観解析では誤差の大きさに応じて「観測データ」と「第一推定値」の重みを変えて解析しています。
ということは、当然「これは明らかに正確な観測データとは言えないよね!」という場合は、品質管理(データを取り除く処理)をします。
堅い言い回しだとこうなるよ
「誤データやモデルとの乖離が大きなデータは、品質管理(データを取り除く処理)される。」
だから「(b) 観測データは第一推定値と比較され,その差が定められた基準を越える場合は解析に用いられない。」は正しい!
〇×形式の過去問で、昔からよく見たネタ(問題)ですねー。
「観測点の位置」と「モデルの格子点の位置」が、もし全く同じ位置にあったら、観測地をそのまま使う?って問題。
そのままは使いません!
そのままの値を使わない大きな理由として、次のようなことが言えますね。
- 周囲の地点のデータも合わせて内挿している。
- 品質管理している。
だから「(c) 観測点の位置がモデルの格子点の位置と同じ場合には,その観測値が格子点の解析値となる。」は誤り!
ポイントをまとめよう
第一推定値 | 数値予報モデルの予報値。 |
観測値 | 周囲の観測所で観測された値を格子展の位置に内挿した値。 |
品質管理 | 誤データやモデルとの乖離が大きなデータは、品質管理(データを取り除く処理)される。 |
観測値が格子点の解析値 | 周囲の地点のデータも合わせて内挿している。 品質管理している。 |
第48回出題:発雷確率ガイダンス
発雷確率ガイダンスは,予報対象領域内の少なくとも1地点で発雷する確率を示した ものである。この発雷確率ガイダンスについて述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせ として正しいものを,下記の1〜5の中から一つ選べ。
(a) 発雷確率が大きいほど,対象領域内で発生する雷の強度が強いことを示す。
(b) 発雷確率が大きいほど,対象領域内での発雷数が多いことを示す。
(c) 発雷確率が大きいほど,予報対象期間内で発雷が継続する時間が⻑いことを示す。
⑤ (a)誤, (b)誤, (c)誤
「発雷確率ガイダンス」は、降水確率と同じで、発雷数が多いか少ないかではなく、発雷するかどうかの確率を予測するガイダンスです。
だから(a)の「 発雷確率が大きいほど,対象領域内で発生する雷の強度が強いことを示す。」は誤り!
降水確率だと思って読んでみて。
発雷確率(降水確率)が大きいほど、どうなる?
「発雷1回はあるって確率」が高くなるってこと!
発雷数については、ひとっことも言ってません!
だから(b)の「発雷確率が大きいほど,対象領域内での発雷数が多いことを示す。」は誤り!
発雷確率(降水確率)が大きいほど、「発雷が継続する時間」はどうなる?
発雷確率ガイダンスは、20km格子毎に前3時間に発雷する確率を予測するガイダンスであるけれど〜
「発雷が継続する時間」について予報しているガイダンスじゃない。
だから(c)の「発雷確率が大きいほど,予報対象期間内で発雷が継続する時間が⻑いことを示す。」は誤り!
ポイントをまとめよう
- 雷の強度
- 発雷数の多さ
- 発雷が継続する時間
第48回出題:高解像度降水ナウキャストについて
気象庁の高解像度降水ナウキャストについて述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わ せとして正しいものを,下記の1〜5の中から一つ選べ。
(a) 速報性を考慮しレーダーの観測結果をそのまま予測の初期値としており,雨量計 の値による補正は行っていない。
(b) 陸上と海岸近くの海上では,予測時間30分までは解像度250mの降水分布を予測 している。
(c) 降水域の発達・衰弱は予測するが,降水域の発生は予測しない。
③ (a)誤, (b)正, (c)誤
高解像度降水ナウキャストの初期値の求め方は・・・
レーダーの観測データを雨量計の観測データで補正します。
だからレーダーの観測値をそのまま使ってるわけじゃ
というわけで、(a)の「 速報性を考慮しレーダーの観測結果をそのまま予測の初期値としており,雨量計 の値による補正は行っていない。」は誤り!
高解像度降水ナウキャストは場所により解像度が違います。
場所 | 解像度(~30分先) | 解像度(35~60分先) |
---|---|---|
陸上 | 250m格子 | 1km格子 |
海岸近くの海上 | 250m格子 | 1km格子 |
その他の海上 | 1km格子 | 1km格子 |
「30分まで」と「35分〜60分先まで」は解像度が違います。
だから(b)の「 陸上と海岸近くの海上では,予測時間30分までは解像度250mの降水分布を予測 している。」は正しい!
高解像度降水ナウキャストは、積乱雲の発生予測にも取り組んでいます。
- 地表付近の風・気温・水蒸気量から積乱雲の発生を推定する手法
- 微弱なレーダーエコーの位置と動きを検出して、微弱なエコーが交差するときに積乱雲の発生を予測する手法
さらに「対流予測モデル」を使って降水量も予測します。
だから(c)の「降水域の発達・衰弱は予測するが,降水域の発生は予測しない。」は誤り!
ポイントをまとめよう
初期値 | レーダーの観測結果を雨量計の観測結果で補正している。 |
解像度(〜30分先) | 250m格子 (陸上と陸上に近い海上) |
解像度(35〜60分先) | 1km格子 |
降水域発生の予想 | やってる! 積乱雲の発生も予測・提供しています。 |
第48回出題:府県週間天気予報について
気象庁が発表する府県週間天気予報について述べた次の文(a)〜(c)の下線部の正誤の 組み合わせとして正しいものを,下記の1〜5の中から一つ選べ。
(a) 予報区内の向こう一週間の天気,風,波浪,降水確率,最高・最低気温の各要素 について,一日単位で予報している。
(b) 原則として府県予報区ごとに予報している。しかし,一部の府県予報区では,常時あるいは季節を限定して区域を細分し,予報している。
(c) 「予報が適中しやすい」ことと「予報が変わりにくい」ことを表す情報として,発 表日の 3 日先から 7 日先までの予報に信頼度を付して発表している。信頼度は三つ の段階で表される。
③ (a)誤, (b)正, (c)正
府県週間天気予報では、向こう一週間の次の項目を予報しています。(1日ごと)
- 天気
- 最高・最低気温(1℃単位)
- 降水確率(10%単位)
- 予報の信頼度
- 期間における平年値(降水量1㎜単位と気温0.1℃単位)
「波浪」や「風」の予報はしていません。
だから(a)の「予報区内の向こう一週間の天気,風,波浪,降水確率,最高・最低気温の各要素 について,一日単位で予報している。」は誤り!
「府県週間天気予報」は常時・または季節限定で予報区域を細分化して予報しています。
だから(b)「原則として府県予報区ごとに予報している。しかし,一部の府県予報区では,常時あるいは季節を限定して区域を細分し,予報している。」は正しい!
細分化して予報する理由は、特定の季節に数日以上にわたって予報区域内で異なる天気が持続する府県があるから〜
海辺や内陸では全然天気が違ったりするし、細分化しないとね。
府県週間天気予報の信頼度は、A、B、Cの3段階で表します。
信頼度 | 内容 |
---|---|
A | 確度が高い ・適中率が明日予報並みに高い ・降水の有無の予報が翌日に変わる可能性がほとんどない |
B | 確度がやや高い ・適中率が4日先の予報と同程度 ・降水の有無の予報が翌日に変わる可能性が低い |
C | 確度がやや低い予報 ・適中率が信頼度Bよりも低い ・降水の有無の予報が翌日に変わる可能性が信頼度Bよりも高い |
2日目までの表示はなくて、3日目以降の降水の有無の予報について発表されます。
信頼度の中身は次の2つ。
- 予報が適中しやすいこと
- 予報が変わりにくいこと
だから(c)の「予報が適中しやすい」ことと「予報が変わりにくい」ことを表す情報として,発 表日の 3 日先から 7 日先までの予報に信頼度を付して発表している。信頼度は三つ の段階で表される。」は正しい!
ポイントをまとめよう
予報している項目 | 天気 最高・最低気温(1℃単位) 降水確率(10%単位) 予報の信頼度 期間における平年値(降水量1㎜単位と気温0.1℃単位) |
常時・または季節限定で予報区域を細分化して予報している? | その通り! |
予報の信頼度表示 | 3段階 |
第48回出題:気象庁が発表する台風に関する情報等
気象庁が発表する,台風に関する情報等について述べた次の文(a)〜(d)の下線部の正 誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1〜5の中から一つ選べ。
(a) 台風については,5日先までの予報が発表されている。この予報には,5日先まで の各予報時刻の台風の中心位置(予報円),中心気圧,最大風速,最大瞬間風速,暴 風警戒域が含まれている。
(b) 5 日先までの台風の予報において,これまでの知見から台風ではなくなる可能性が 高い時には,4 日(96 時間)先以降または 5 日(120 時間)先の予報を行わないことが ある。
(c) 熱帯低気圧が24時間以内に台風になり,日本に影響を及ぼすおそれがある場合に は,「発達する熱帯低気圧に関する情報」が発表される。
(d) 台風のおおよその勢力を示す目安として,台風の「大きさ」と「強さ」がある。 「大きさ」は暴風域(風速 25m/s 以上の風が吹いているか,吹く可能性がある範囲) の半径で,「強さ」は最大風速で,階級を区分している。
④ (a)誤, (b)正, (c)正, (d)誤
台風情報の「予報」では、次の情報を提供しています。
- 台風の中心位置(予報円の中心と半径)
- 進行方向と速度
- 中心気圧
- 最大風速
- 最大瞬間風速
- 暴風警戒域
問題文には「進行方向と速度」が入ってないですね。
だから(a) の下線部「台風の中心位置(予報円),中心気圧,最大風速,最大瞬間風速,暴 風警戒域が含まれている。」は誤り!
3日(72時間)先も引き続き台風であると予想される時には、5日(120時間)先までの台風の進路を予報します。
ということは〜
3日(72時間)先以降に引き続き台風であると予想されない時には、4日〜5日(120時間)先までの台風の進路を予報しないってこと!
3日(72時間)先も引き続き台風であると予想される | 5日(120時間)先までの台風の進路を予報する。 |
3日(72時間)先には台風でないと予想されるとき | 4日〜5日(120時間)先までの台風の進路を予報しない。 |
だから(b) の「5日先までの台風の予報において,これまでの知見から台風ではなくなる可能性が 高い時には,4 日(96 時間)先以降または 5 日(120 時間)先の予報を行わないことが ある。」は正しい!
今後台風に発達すると予想される熱帯低気圧が日本に影響するおそれがある場合には、「発達する熱帯低気圧に関する情報」という標題で情報を発表します。
引用元:気象庁
だから「(c) 熱帯低気圧が24時間以内に台風になり,日本に影響を及ぼすおそれがある場合に は,「発達する熱帯低気圧に関する情報」が発表される。」は正しい!
台風の大きさと強さの階級は次の通り。
階級 | 風速15m/s以上の半径 |
---|---|
大型(大きい) | 500km以上~800km未満 |
超大型(非常に大きい) | 800km以上 |
階級 | 最大風速 |
---|---|
強い | 33m/s(64ノット)以上~44m/s(85ノット)未満 |
非常に強い | 44m/s(85ノット)以上~54m/s(105ノット)未満 |
猛烈な | 54m/s(105ノット)以上 |
だから(d)の「台風のおおよその勢力を示す目安として,台風の「大きさ」と「強さ」がある。 「大きさ」は暴風域(風速 25m/s 以上の風が吹いているか,吹く可能性がある範囲) の半径で,「強さ」は最大風速で,階級を区分している。」は誤り!
※暴風域=風速(10分間平均)が25m/s以上
ポイントをまとめよう
台風情報で予報される内容は? | 台風の中心位置(予報円の中心と半径) 進行方向と速度 中心気圧 最大風速 最大瞬間風速 暴風警戒域 |
今後台風に発達すると予想される熱帯低気圧が日本に影響するおそれがある場合の予報のタイトルは? | 「発達する熱帯低気圧に関する情報」という標題で情報が発表される。 |
暴風域とは? | 風速(10分間平均)が25m/s以上のところ |
3日(72時間)先までの間に次のどれかが当てはまる場合
- 気象庁の担当領域(赤道~北緯60度、東経100度~東経180度)の外に出る。
- 中国やベトナムなどに上陸して、その後も陸上にとどまる。
- 朝鮮半島を通過する。
- 北緯40度以北に達しさらに北上する。
- これまでの知見から台風ではなくなる可能性が高い。
階級 | 風速15m/s以上の半径 |
---|---|
大型(大きい) | 500km以上~800km未満 |
超大型(非常に大きい) | 800km以上 |
階級 | 最大風速 |
---|---|
強い | 33m/s(64ノット)以上~44m/s(85ノット)未満 |
非常に強い | 44m/s(85ノット)以上~54m/s(105ノット)未満 |
猛烈な | 54m/s(105ノット)以上 |
第47回出題:数値予報モデルについて
気象庁が運用している数値予報モデルについて述べた次の文章の下線部 (a) 〜 (d) の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1〜5の中から一つ選べ。
全球モデルは,(a) 格子間隔が大きく日本の脊梁山脈の地形を十分に表現でき ないため,日本海側斜面の冬季の降水を予測するのが困難である。
一方,日本周辺の領域を計算するメソモデルと局地モデルでは,格子間隔が 全球モデルよりも小さく設定されている。格子間隔の最も小さい (b) 局地モデ ルでは個々の積乱雲の予測が可能である。なお,小さな水平スケールの現象 の予測精度向上のため,メソモデルと局地モデルは (c) 静力学方程式を使用している。
これらの特性を活かし,(d) メソモデルは 48 時間先までの大雨や暴風などの予 報に,局地モデルは 24 時間先までのより細かな現象の予報に用いられている。
⑤ (a)誤, (b)誤, (c)誤, (d)誤
問題文にある「格子間隔が大きく日本の脊梁山脈の地形を十分に表現できない」それはそうなんだど。
十分じゃないけど脊梁山脈の地形は表現してます。
次、「日本海側斜面の冬季の降水を予測するのが困難である」ざっくりとは予測できるんですよ〜
十分じゃないけど脊梁山脈の地形は表現してるので、冬型の気圧配置の時など、日本海側に降水を予測することはできます。
だから(a)の「格子間隔が大きく日本の脊梁山脈の地形を十分に表現できないため,日本海側斜面の冬季の降水を予測するのが困難である。」は誤り!
局地モデルの格子間隔は2km。
表現できる現象は水平方向に5〜8倍以上。
つまり小さくとも水平方向に10kmくらいの大きさがある現象でないと、表現するのは難しいです。
一方、一つの積乱雲の水平方向の広がりは数km~十数kmです。
だから(b) の「局地モデルでは個々の積乱雲の予測が可能である。」は誤り!
数値予報で用いる物理学の方程式の内、鉛直方向の運動方程式に静力学方程式を用いる数値予報モデルと、用いないモデルをまとめると下の表のようになります。
全球モデル(GSM) | プリミティブモデル(静力学方程式を使う) |
メソモデル(MSM) | 非静力学モデル |
局地モデル(LFM) | 非静力学モデル |
だから(c) の「静力学方程式を使用している。」は誤り!
メソモデルと局地モデルがどのように利用されているのか、表にまとめました。
メソモデル | 1日8回(3時間ごと)、51時間先(00,12UTC初期値のみ)または39時間先までの予測計算。 数時間から1日先の大雨や暴風などの災害をもたらす現象を予測することを主要な目的としている。 |
局地モデル | メソモデルより細かい水平格子間隔(2km)と高い頻度(1日24回(毎時))で10時間先までの予測計算。 目先数時間程度の局地的な大雨の発生ポテンシャルの把握に利用。 |
だから(d)の「メソモデルは 48 時間先までの大雨や暴風などの予報に,局地モデルは 24 時間先までのより細かな現象の予報に用いられている。」は誤り!
ポイントをまとめよう
全球モデルは冬の日本海側の降水を予測できる? | できる。 |
局地モデルは積乱雲単体を予測できる? | できない。 |
プリミティブモデル(静力学方程式を使う) | 全球モデル(GSM) |
非静力学モデル | メソモデル(MSM) 局地モデル(LFM) |
メソモデルの利用 | 1日8回(3時間ごと)、51時間先(00,12UTC初期値のみ)または39時間先までの予測計算。 数時間から1日先の大雨や暴風などの災害をもたらす現象を予測することを主要な目的としている。 |
局地モデルの利用 | メソモデルより細かい水平格子間隔(2km)と高い頻度(1日24回(毎時))で10時間先までの予測計算。 目先数時間程度の局地的な大雨の発生ポテンシャルの把握に利用。 |
第47回出題:数値予報プロダクトについて
気象庁が提供している数値予報プロダクトについて述べた次の文 (a) 〜 (c) の正 誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1〜5の中から一つ選べ。
(a) 数値予報プロダクトの格子点値は,格子点に対応する地点の値をピンポイントで表しているのではなく,その格子点付近の空間の代表的な値を表して いる。
(b) 数値予報プロダクトとして出力される降水量は,予想対象時刻における降 水強度を表している。
(c) 数値予報プロダクトとして出力される地上気温は,モデル大気の最下層の 標高と実際の地表面の標高の差に基づいて,モデル最下層の気温を高度補正 した値である。
③ (a)正, (b)誤, (c)誤
数値予報プロダクトっていうのは、要するに数値予報によって予測される数値ってとこですね。
数値予報によって計算された結果、出てきた格子点の値は、格子点に対応する地点の値をピンポイントで表しているのではないです。
そもそも格子点の初期値は、前回の数値予報の結果と周囲の観測値から内挿して求められている観測値を客観解析して求められている値。
ということは、数値予報プロダクトの格子点値は、その格子点ピンポイントの値ではなく、格子点周囲の代表みたいなものですよね。
だから(a)の「 数値予報プロダクトの格子点値は,格子点に対応する地点の値をピンポイントで表しているのではなく,その格子点付近の空間の代表的な値を表して いる。」は正しい!
数値予報プロダクトにおける予測降水量は「10mm/3h以上」のようにある時刻までの積算雨量を予測した値です。
つまり、「その時刻の降水強度」ではなく「積算降水量」なので
(b)の「数値予報プロダクトとして出力される降水量は,予想対象時刻における降水強度を表している。」は誤り!
数値予報プロダクトとして出力される「地上気温」は・・・
- モデル大気の最下層の標高に高度補正された値←⭕️!
- 実際の地表面の標高に高度補正された値。←❌!
- 「モデルの値」を実際の高度に合わせて補正している。←❌!
でもガイダンスでは、実際の地表面の標高に高度補正してます。
※「モデルの値」と「実際の値」の誤差は「系統的誤差」なので、ガイダンスで補正されます。
だから(c) の「数値予報プロダクトとして出力される地上気温は,モデル大気の最下層の 標高と実際の地表面の標高の差に基づいて,モデル最下層の気温を高度補正した値である。」は誤り!
ポイントをまとめよう
格子点値の意味 | 格子点付近の空間の代表的な値 |
出力される降水量 | 積算降水量(〇mm/h) 降水強度を表しているのではない。 |
系統的誤差の補正 | 補正してません。 (ガイダンスで補正されます。) |
第47回出題:週間アンサンブル予報
次ページの図A〜Cは4月のある日に作成された,120時間後,144時間後, 168 時間後の週間アンサンブル予想図である。また,図ア〜ウはそれらに対応す る週間予報支援図 ( アンサンブル ) のうち 500hPa 特定高度線,降水量予想頻度 分布 (%) の予想であり,順不同で並んでいる。
図 A 〜 C に対応する図ア〜ウの組み合わせとして正しいものを,下記の1〜5 の中から一つ選べ。
ア〜ウ:週間予報支援図 ( アンサンブル ) の500hPa 特定高度線,降水量予想頻度分布 (%)
週間アンサンブル予想図
実線 : 気圧,網掛け域:降水域 ( 前 24 時間降水量≧ 5mm) T= で表す数値は予想時間
週間予報支援図 ( アンサンブル ) の500hPa 特定高度線,降水量予想頻度分布 (%)
実線 : 特定高度 (5400m,5700m,5880m) のクラスタ平均 破線:降水量予想頻度 (% )( 網掛け域≧ 50% )
② (a)イ, (b)ア, (c)ウ
まず注目するのはこれ
- A,B,C の低気圧&高気圧の位置
- ア,イ,ウ のトラフ&リッジ
この問題は、この↑2つで十分解けますが・・・
降水域も確認しておきます。
まずア,イ,ウ のトラフ&リッジの位置を確認♪
A,B,C の低気圧&高気圧の位置はこれ
- A:500hPaで本州はリッジの前面になってるはず。
- B:500hPaで日本付近にトラフが近づいているはず。
- C:500hPaで本州はトラフの前面になってるはず。
ということは↓のような順番になりそうですよね。
ポイントをまとめよう
発達中の温帯低気圧では
500hPaのトラフは地上低気圧の中心の西側に位置する。
発達の最盛期を迎えた温帯低気圧では
500hPaのトラフは地上低気圧の中心の真上に位置する。
第47回出題:竜巻発生確度ナウキャストについて
気象庁が発表している竜巻発生確度ナウキャストについて述べた次の文(a)〜(c) の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1〜5の中から一つ選べ。
(a) 竜巻発生確度ナウキャストでは,気象ドップラーレーダーの観測結果など をもとに「竜巻が今にも発生する ( または発生している ) 可能性の程度」を 推定し,これを発生確度として表す。
(b) 発生確度 1 と 2 では,竜巻が発生するまでの時間的な切迫度に違いがある。
(c) 発生確度 1 となった地域には,竜巻注意情報が発表される。
③ (a)正, (b)誤, (c)誤
竜巻発生確度ナウキャストの基礎的な知識を問われてる問題です。
使っている情報 | 気象ドップラーレーダーなどの観測結果。 |
竜巻発生確度ナウキャストで推定しているもの | 「竜巻が今にも発生する(または発生している)可能性の程度」を推定し、これを発生確度という用語で表している。 |
「発生確度」とは | 発生する「確実さ」のことであり、「発生する確かさの度合い」のこと。 |
だから(a)の「竜巻発生確度ナウキャストでは,気象ドップラーレーダーの観測結果など をもとに「竜巻が今にも発生する ( または発生している ) 可能性の程度」を 推定し,これを発生確度として表す。」は正しい!
発生確度の違いをまとめると、こうなります。
発生確度1 | 適中率1~7%, 捕捉率80% |
発生確度2 | 適中率7~14%, 捕捉率50~70% |
竜巻発生確度ナウキャストの「適中率」とは、「予報が的中している割合」であり、竜巻発生確度ナウキャストにおいては「竜巻などの激しい突風が発生する割合」のこと。
要するに「予報通り竜巻などの突風が発生する確率」のこと!
竜巻発生確度ナウキャストの「捕捉率」とは、「竜巻などの激しい突風をどれだけ予報で捉えられていたかを表す割合」のこと。
要するに「実際に発生した竜巻などの突風を予報できた割合」のこと!
発生確度は「時間的な切迫度に違いがある」ではなく
「適中率と捕捉率に違いがある!」ですよね。
だから(b)の 「 発生確度 1 と 2 では,竜巻が発生するまでの時間的な切迫度に違いがある。」は誤り!
発生確度 2 となった地域には、竜巻注意情報が発表されます。
発生確度 1じゃなくて、発生確度 2です。
だから(c)の「発生確度 1 となった地域には,竜巻注意情報が発表される。」は誤り!
ポイントをまとめよう
使っている情報 | 気象ドップラーレーダーなどの観測結果。 |
竜巻発生確度ナウキャストで推定しているもの | 「竜巻が今にも発生する(または発生している)可能性の程度」を推定し、これを発生確度という用語で表している。 |
「発生確度」とは | 発生する「確実さ」のことであり、「発生する確かさの度合い」のこと。 |
発生確度1 | 適中率1~7%, 捕捉率80% |
発生確度2 | 適中率7~14%, 捕捉率50~70% 竜巻注意情報が発表される。 |
第47回出題:1ヶ月予報について
1か月予報の気温の予報で発表される「高い」の確率について述べた次の文(a)〜(c) の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1〜5の中から一つ選べ。
(a) 「高い」の確率が 50% のときは,「低い」の確率も 50% であることを表し ている。
(b) 「高い」の確率が 40% のときは,「高い」階級が出現する確率が,気候的 出現率より大きいことを表している。
(c) 「高い」の確率が 50% の予報は,これと同じ予報を 100 回発表したとき, そのうち約 50 回は実際の気温が「高い」階級になると予測していることを 意味している。
③ (a)誤, (b)正, (c)正
1か月予報の気温の予報で発表される「高い」の確率が50%っていうのは、こういうこと!
引用:気象庁
北日本で「高い」の確率が50%です。
残りの50%は「低い」が20%で「平年並」が30%です。
つまり1か月予報の気温の予報は
- 高い
- 低い
だけではなく
- 高い
- 平年並
- 低い
の3択なんですね。
だから「(a) 「高い」の確率が 50% のときは,「低い」の確率も 50% であることを表し ている。」は誤り!
気候的出現率とは、過去30年分(2020年までの予報には1981年~2010年の30年間を用いる)の値を3当分して3つの階級「低い(少ない)」・「平年並」・「高い(多い)」に分けたもの。
3つの階級それぞれを3当分するのでこうなります。
低い(少ない)方から 1〜10番目 | 11〜20番目 | 高い(多い)方から 21〜30番目 |
---|---|---|
低い(少ない) | 平年並み | 高い(多い) |
つまり、「気候的出現率」= 33%
だから(b)の 「「高い」の確率が 40% のときは,「高い」階級が出現する確率が,気候的出現率より大きいことを表している。」は正しい!
確率50%は、降水確率の確率と同じで
「降水確率50%は、同じ予報を100回やった場合、50回は1mm以上の雨降ります!」
ってことです。
だから「(c) 「高い」の確率が 50% の予報は,これと同じ予報を 100 回発表したとき, そのうち約 50 回は実際の気温が「高い」階級になると予測していることを 意味している。」は正しい!
ポイントをまとめよう
1ヶ月予報の気温の予想ってどんなの? | 「高い」「平年並」「低い」の3つの階級に分けて、確率で表現する。 |
気候的出現率とは? | 過去30年分の値を3当分して3つの階級「低い(少ない)」・「平年並」・「高い(多い)」に分けたもので 33%になる。 |
「高い」の確率が 50%の意味 | 同じ予報を 100 回発表したとき, そのうち約 50 回は実際の気温が「高い」階級になると予測していることを 意味する。 |
気象予報士試験第48回・第47回で出題された「予報」についての問題をお伝えしました。
次は第46回に出題された「予報」についての問題もまとめようかな〜(о´∀`о)
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