学科一般~過去問私的解説&ヒント~第55回気象予報士試験

問11:気候変動について

問題文

気候変動について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下 記の1〜5の中から 1 つ選べ。

(a) 大規模な火山噴火により成層圏に放出された亜硫酸ガスが化学変化してできた微 小な液滴のエーロゾルが全球に広がると,日射を散乱するために気温が低下する。

(b) 気温が低下して地球表面の雪や氷の面積が増大すると,アルベドが大きくなって 太陽からの放射エネルギーの吸収が減り,さらに気温低下をもたらす。

(c) 大気中の二酸化炭素が増加すると,二酸化炭素が可視光線域に強い吸収帯を持つ ために,太陽からの短波放射の吸収量が増えて気温が上昇し,地球温暖化が引き起 こされる。

(d) 地球温暖化により永久凍土が融解すると,温室効果ガスのひとつであるメタンが 大気中に放出され,気温がさらに上昇する。

② (a)正, (b)正, (c)誤, (d)正

(a)火山噴火と気温低下

火山噴火により排出された亜硫酸ガスは成層圏に2 ~ 3 年滞留し、日射を散乱して気温を低下させます。

亜硫酸ガスは対流圏なら雲や雨で除去されますが、成層圏では除去してくれる雲や雨がないので長期間止まってしまうのです。

30歳以上の方なら覚えてるかな?

1991年にフィリピンのピナツボ火山が噴火し、1993年の夏は記録的な冷夏となりました。

はれの
はれの

日本の美味しいお米を食べれなくなり、パサパサしたブレンド米を食べた記憶があります。

そんなわけで、(a)の「(a) 大規模な火山噴火により成層圏に放出された亜硫酸ガスが化学変化してできた微小な液滴のエーロゾルが全球に広がると,日射を散乱するために気温が低下する。」は正しい!

ここに書いてあるよ

(b)アルベドの気温

地球表面の雪や氷が増えると太陽から入射したエネルギーを反射し、アルベドの増加に繋がります。

アルベドが増加すると地球が太陽から受け取るエネルギーも減るので、気温が下がるわけです。

この現象が暴走すると、スノーボールアースになるって考えられてますよね。

だから(b)の「 気温が低下して地球表面の雪や氷の面積が増大すると,アルベドが大きくなって 太陽からの放射エネルギーの吸収が減り,さらに気温低下をもたらす。」は正しい!

(c)温暖化と電磁波の波長

二酸化炭素が強い吸収帯を持っているのは、赤外線です!

「可視光線に強い吸収帯などもっている」ってのは間違いです。

だから(c)の「 大気中の二酸化炭素が増加すると,二酸化炭素が可視光線域に強い吸収帯を持つ ために,太陽からの短波放射の吸収量が増えて気温が上昇し,地球温暖化が引き起 こされる。」は誤り!

ここに書いてあるよ

(d)メタンと温暖化

永久凍土の融解でメタンが出て温暖化が加速〜というのも、温暖化界隈では有名な話ですよね。

だから(d)の「 地球温暖化により永久凍土が融解すると,温室効果ガスのひとつであるメタンが 大気中に放出され,気温がさらに上昇する。」は正しい!

はれの
はれの

温暖化に関する情報は、情報源をチェックしつつ、内容も注意深くキャッチしたいものです。

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