この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
問6:太陽放射・地球放射
太陽放射や地球放射について述べたつぎの文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a)大気は、太陽放射のうち波長が0.3μmより短い紫外線の大部分を、地表面に達する前に吸収する。
(b)雲は、太陽放射を反射し地表の冷却に寄与する一方で、地表面等からの赤外線を吸収し、自らの温度に応じた赤外線を射出することにより地表面を加熱する放射効果をあわせて持っている。
(c)大気は、「大気の窓」と呼ばれる波長域以外では、地球放射をほとんど吸収しない。
答えは②! (a)と(b)が正しくて、(c)が誤りです!
では一つずつ解説します!
地球の大気は可視光線についてはほとんど透明ですが、波長が0.31μmより小さな紫外線は対流圏界面に達する前に、酸素分子やオゾンよってほぼ吸収されています。
だから(a)の「大気は、太陽放射のうち波長が0.3μmより短い紫外線の大部分を、地表面に達する前に吸収する。」は正しい!
雲は太陽放射を反射するので、地球を冷却する効果があります。
雲で地上の気温が下がって恐竜が絶滅した説もありますよね!
さらに雲には、地球からの赤外線放射を吸収し、地上を保温する鍋の蓋のような働きもあります。
雲のある夜〜朝は気温の低下が少ないので、放射冷却による放射霧も発生する可能性低いですよね!
だから(b)の「雲は、太陽放射を反射し地表の冷却に寄与する一方で、地表面等からの赤外線を吸収し、自らの温度に応じた赤外線を射出することにより地表面を加熱する放射効果をあわせて持っている。」は正しい!
大気が波長11μm前後(8~12μm)の電磁波を吸収しないことを「大気の窓」といいます。
だから(c)の「大気は、「大気の窓」と呼ばれる波長域以外では、地球放射をほとんど吸収しない。」は間違い!
ちなみに波長11μm前後(8~12μm)というと、遠赤外線ですね。
問7:ダウンバーストの風速
図はダウンバーストの模式図である。
積乱雲からの下降流は円柱状に生じており、その下降流は地表付近に達するとほぼ水平に、地表面から高度50mまでの範囲で高さ方向に一様な風速で、図のように軸対称に広がるものとする。
高さhにおける円柱の半径を500m、下降流の速さを円柱内で一様に20m/sとする時、地表面近くで下降流の中心から1000m離れた地点Rにおける地表面から高さ50mまでの範囲の水平風速として最も適切なものを、次の①~⑤の中から1つ選べ。
ただし、定常状態を仮定し、高さhおよび地点Rの空気の密度は同じで、地表面との摩擦およびここに述べた以外の風は考慮しないものとする。
①20m/s
②40m/s
③50m/s
④60m/s
⑤80m/s
答えは③の50m/s!
まず情報を整理しますね。
求めるのは、地点Rの水平風速。
与えられた条件は
- 下降流は半径500mの円柱状
- 下降流の速度は20m/s
- 地点Rは中心から1000m離れている
- 地点Rの水平風は50mの厚みがある
とりあえず難しい条件は入ってないので、小学校の算数〜中学校の数学レベルの計算ができればOK!
地点Rでの風速を求める方法は、心太を想像してください!
1秒間に流れる空気の量を、面積と速度を使って求めます。
まず、半径500mの円を通る空気の速度は20m/sなので、1秒間に流れる空気の量は
500×500π×20m/s
=500×500×20π(m3/s)・・・①
地点Rを通る時、空気の通る面積はこの側面の部分だから
この側面の面積を求めるのは簡単♪
面積は円周×高さなので
2×1000×50π(m2)
風速はわからないのでVにして、1秒間に地点Rを通る空気の量は
2×1000×50Vπ(m3/s)・・・②
①と②は等しいので
500×500×20π(m3/s)= 2×1000×50Vπ(m3/s)
風速は50m/s!
ほとんど計算しなくても、答えが出ましたね。
他の解き方もありますよ〜(うちの息子の場合)
①の面積は→500×500π×m2=25×104m2
②の面積は→2×1000×50πm2=105m2
①:②=5:2
入り口①より出口②は2/5狭いから、5/2倍のスピードになると考えて・・・
20×5/2=50m/s
どっちの計算でも、答えは同じ!
問8:温帯低気圧について!
中緯度の温帯低気圧が発達し、その発達過程が終了した段階における特徴について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a)対流圏上層に、切離した低気圧があることが多い。
(b)南半球においては、発達時に上空に向かって東に傾いていた気圧の谷の軸がほぼ鉛直となる。
(c)地上低気圧の上空には、対流圏界面の高度が周囲より低いところがある。
答えは③! (a)と(c)が正しくて、(b)が誤りです!
温帯低気圧の衰退期ってどんなだったかな?
温帯低気圧の発達期が終わった時、対流圏上層に切離した低気圧・・・あること多いよね!
だから(a)の「対流圏上層に、切離した低気圧があることが多い。」は正しい!
南半球ではコリオリの力が左向きに働きますが、「温帯低気圧発達期に気圧の谷尾軸が上空に向かって傾いている」のは北半球と一緒のはずだし、傾きの方向は南半球でも西になるはず・・・
だから(b)の「南半球においては、発達時に上空に向かって東に傾いていた気圧の谷の軸がほぼ鉛直となる。」は誤り!
低気圧の上空は、気層ごと対流圏界面も下がっている(成層圏が落ちてきてる?)イメージでOK。
だから(c)の「地上低気圧の上空には、対流圏界面の高度が周囲より低いところがある。」は正しい!
318~324ページ(直接の答えが書かれているわけではありません。)
一般気象学では、183ページ
問9:台風について
台風について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a)台風は、積雲対流によって放出される潜熱をエネルギー源として発達するとともに、そのエネルギー源により勢力が維持される。
(b)最盛期の台風の中心付近の中上層には、周辺より気温の高い暖気核が存在する。
(c)各高度における台風の最大風速は、一般的には、地表面から対流圏界面まで高さとともに増大する。
答えは①! (a)と(b)が正しくて、(c)が誤りです!
台風のエネルギー源は、水蒸気の潜熱。
台風の勢力維持のエネルギー源も、水蒸気の潜熱。
だから(a)の「台風は、積雲対流によって放出される潜熱をエネルギー源として発達するとともに、そのエネルギー源により勢力が維持される。」は正しい!
発達した台風は、中心の上層(300hPaを中心に)暖気核を持っています。
だから(b)の「最盛期の台風の中心付近の中上層には、周辺より気温の高い暖気核が存在する。」は正しい!
台風の最大風速は、大気境界層の上、高度2kmあたりで最大になります。
だから(c)の「各高度における台風の最大風速は、一般的には、地表面から対流圏界面まで高さとともに増大する。」は誤り!
問10:成層圏について
成層圏について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a)1月の成層圏上部においては、一般に北極付近が全球の中で最も気温が低い。
(b)1月の北半球の成層圏上部では、プラネタリー波の対流圏からの伝播により、アリューシャン列島付近に高気圧がしばしば現れる。
(c)対流圏から成層圏へプラネタリー波が伝播するのは、成層圏が西風になっているときである。
(d)成層圏に伝播するプラネタリー波は、地形や海陸の熱的効果により励起され、2000km程度の波長を持つ。
答えは①! (a)と(b)と(c)が正しくて、(d)が誤りです!
「イラスト図解よくわかる気象学」の370ページ
「一般気象学」だと251ページにある図を見てください。
成層圏上部っていうのは、高度50kmくらいです。
1月…つまり北半球が冬半球になるとき、成層圏界面付近では南極付近が一番気温が高く、北極付近の方は気温が低くなっています。
だから(a)の「1月の成層圏上部においては、一般に北極付近が全球の中で最も気温が低い。」は正しい!
1月…北半球が冬季、上部成層圏(高度25km〜30km)でアリューシャン上空に高気圧が卓越します。
このアリューシャン高気圧の成因は、ユーラシア大陸に起因する波数1のプラネタリー波の鉛直伝播。
だから(b)の「1月の北半球の成層圏上部では、プラネタリー波の対流圏からの伝播により、アリューシャン列島付近に高気圧がしばしば現れる。」は正しい!
プラネタリー波は超長波のことで成層圏が東風の時は鉛直方向に伝播しません。
成層圏まで伝播するのは「成層圏が西風」の時。
だから(c)の「対流圏から成層圏へプラネタリー波が伝播するのは、成層圏が西風になっているときである。」は正しい!
プラネタリー波は大規模な地形の影響で対流圏で発生する、波長が1万km以上の定常的な波です。
だから(d)の「成層圏に伝播するプラネタリー波は、地形や海陸の熱的効果により励起され、2000km程度の波長を持つ。」は誤り!
2000km程度って、マックスのメソスケール現象ですね。温帯低気圧とか。
▼問11以降は次のページをご覧ください。