学科一般~過去問私的解説&ヒント~第54回気象予報士試験

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問10:成層圏について

問題文

成層圏について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a)1月の成層圏上部においては、一般に北極付近が全球の中で最も気温が低い。

(b)1月の北半球の成層圏上部では、プラネタリー波の対流圏からの伝播により、アリューシャン列島付近に高気圧がしばしば現れる。

(c)対流圏から成層圏へプラネタリー波が伝播するのは、成層圏が西風になっているときである。

(d)成層圏に伝播するプラネタリー波は、地形や海陸の熱的効果により励起され、2000km程度の波長を持つ。

答えは①! (a)と(b)と(c)が正しくて、(d)が誤りです!

(a)成層圏の気温について

イラスト図解よくわかる気象学」の370ページ
一般気象学」だと251ページにある図を見てください。

成層圏上部っていうのは、高度50kmくらいです。

1月…つまり北半球が冬半球になるとき、成層圏界面付近では南極付近が一番気温が高く、北極付近の方は気温が低くなっています。

だから(a)の「1月の成層圏上部においては、一般に北極付近が全球の中で最も気温が低い。」は正しい!

(b)プラネタリー波とアリューシャン高気圧について

1月…北半球が冬季、上部成層圏(高度25km〜30km)でアリューシャン上空に高気圧が卓越します。

はれの
はれの

このアリューシャン高気圧の成因は、ユーラシア大陸に起因する波数1のプラネタリー波の鉛直伝播。

だから(b)の「1月の北半球の成層圏上部では、プラネタリー波の対流圏からの伝播により、アリューシャン列島付近に高気圧がしばしば現れる。」は正しい!

(c)プラネタリー波の鉛直伝播について

プラネタリー波は超長波のことで成層圏が東風の時は鉛直方向に伝播しません。

成層圏まで伝播するのは「成層圏が西風」の時。

だから(c)の「対流圏から成層圏へプラネタリー波が伝播するのは、成層圏が西風になっているときである。」は正しい!

(d)プラネタリー波のスケールについて

プラネタリー波は大規模な地形の影響で対流圏で発生する、波長が1万km以上の定常的な波です。

だから(d)の「成層圏に伝播するプラネタリー波は、地形や海陸の熱的効果により励起され、2000km程度の波長を持つ。」は誤り!

2000km程度って、マックスのメソスケール現象ですね。温帯低気圧とか。

ここに書いてあるよ
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