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問10:成層圏について
成層圏について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a)1月の成層圏上部においては、一般に北極付近が全球の中で最も気温が低い。
(b)1月の北半球の成層圏上部では、プラネタリー波の対流圏からの伝播により、アリューシャン列島付近に高気圧がしばしば現れる。
(c)対流圏から成層圏へプラネタリー波が伝播するのは、成層圏が西風になっているときである。
(d)成層圏に伝播するプラネタリー波は、地形や海陸の熱的効果により励起され、2000km程度の波長を持つ。
答えは①! (a)と(b)と(c)が正しくて、(d)が誤りです!
「イラスト図解よくわかる気象学」の370ページ
「一般気象学」だと251ページにある図を見てください。
成層圏上部っていうのは、高度50kmくらいです。
1月…つまり北半球が冬半球になるとき、成層圏界面付近では南極付近が一番気温が高く、北極付近の方は気温が低くなっています。
だから(a)の「1月の成層圏上部においては、一般に北極付近が全球の中で最も気温が低い。」は正しい!
1月…北半球が冬季、上部成層圏(高度25km〜30km)でアリューシャン上空に高気圧が卓越します。
このアリューシャン高気圧の成因は、ユーラシア大陸に起因する波数1のプラネタリー波の鉛直伝播。
だから(b)の「1月の北半球の成層圏上部では、プラネタリー波の対流圏からの伝播により、アリューシャン列島付近に高気圧がしばしば現れる。」は正しい!
プラネタリー波は超長波のことで成層圏が東風の時は鉛直方向に伝播しません。
成層圏まで伝播するのは「成層圏が西風」の時。
だから(c)の「対流圏から成層圏へプラネタリー波が伝播するのは、成層圏が西風になっているときである。」は正しい!
プラネタリー波は大規模な地形の影響で対流圏で発生する、波長が1万km以上の定常的な波です。
だから(d)の「成層圏に伝播するプラネタリー波は、地形や海陸の熱的効果により励起され、2000km程度の波長を持つ。」は誤り!
2000km程度って、マックスのメソスケール現象ですね。温帯低気圧とか。