学科専門【過去問私的解説&ヒント】第54回気象予報士試験

ここでわかること

令和2年8月の第54回気象予報士試験の学科専門知識の問題を、はれのだったらこう解く!という考え方や解き方をまとめています。

あなたが次に似たような問題を解く時、「ヒント」となるような内容を目指してます!!!

問1から順番に見る

はれの
はれの

この記事は、令和2年8月の第54回気象予報士試験の学科専門知識の問題と解答を持っている人向けの内容です。

※私個人の試験問題を解く時の思考例です。(気象業務支援センターとは関係ございません。)

もし第54回気象予報士試験の学科一般の問題と解答を持っていなければ、まずこちらでダウンロードしてください。

\ まずはダウンロード! /

1:気象庁の地上気象観測について

問題文

気象庁が行う地上気象観測における天気について述べた次の文(a)~(d)の正誤について、下記の①~⑤の中から正しいものを1つ選べ。

ただしここに記述されていない雲や大気現象は発現していないものとし、天気は「快晴、晴、薄曇、曇、雨、雪、地ふぶき」の中から選ばれているものとする。

(a)層積雲が全天の8割を覆っている場合、天気は「曇」である。

(b)高積雲が全天の6割を覆い、その上には巻層雲が広がっていて、全雲量が10-の場合、天気は「薄曇」である。

(c)積乱雲が全天の9割を覆い、観測点では雨は降っていないが視界内に降雨が認められる場合は、天気は「雨」である。

(d)全天に雲はなく、地面に積もった雪が風で吹き上げられている場合、天気は「雪」である。

①(a)のみ正しい
②(b)のみ正しい
③(c)のみ正しい
④(d)のみ正しい
⑤すべて誤り

答えは・・・⑤! すべて誤りです!

はれの
はれの

一つずつ説明しますね♪

(a)雲が全天の8割の場合は晴

気象庁の天気概況用語説明によると、雲量2以上8以下の状態が「晴」なので

層積雲ってことは青空が見えない雲で、全天の8割を雲が覆っているわけだから・・・晴です!

だから(a)の「層積雲が全天の8割を覆っている場合、天気は「曇」である。」は誤り!

(b)薄曇りとは

「薄曇」とは、「雲量9以上であり、上層雲量が中・下層雲量よりも多く、降水現象がない状態。」のことです。

高積雲は中層雲で、中層雲が6割。それ以外は上層雲ということは中層雲の方が多いですよね。

だから(b)の「高積雲が全天の6割を覆い、その上には巻層雲が広がっていて、全雲量が10-の場合、天気は「薄曇」である。」は誤り!

(c)そもそも降ってないよね?

「雨」とは、「雨を観測した場合。」のことですが、あくまでも観測点で雨を観測した場合でないと、雨が見えたら降ってなくても雨ってオカシイ。

だから(c)の「積乱雲が全天の9割を覆い、観測点では雨は降っていないが視界内に降雨が認められる場合は、天気は「雨」である。」は誤り!

(d)そもそも降ってないよね?(2回目)

(c)とは違うパターンだけど、そもそも降ってないので!

(d)の「全天に雲はなく、地面に積もった雪が風で吹き上げられている場合、天気は「雪」である。」は誤り!

はれの
はれの

天気概況については、気象庁のHPでいつでも見れます♪
▶︎気象庁

イラスト図解よくわかる気象学【専門知識編】の何ページに書いてある?

26ページ
32ページ

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2:アメダスの観測について

問題文

気象庁が気象台等の気象官署とアメダスで行っている気温、降水量、風速の観測について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

ただし、ここでアメダスとは気象官署以外の地域気象観測所をさす。

(a)気温の観測については、気象官署では電動ファンを用いて強制的に温度計に通風を行っているが、アメダスでは電動ファンを使用せず自然通風としている。

(b)降水量の観測については、気象官署では0.5mm単位で観測を行っているが、アメダスでは1mm単位で観測を行っている。

(c)風速の観測については、気象官署では10分間平均風速と瞬間風速の観測を行っているが、アメダスでは瞬間風速の観測は行なっていない。

答えは・・・⑤! 全て誤り!

はれの
はれの

アメダスについての知識は基本中の基本!

はりきっていってみよー!

(a)気温の観測について

アメダスの温度計も電動ファンを使った通風筒を使用して観測しています。

だから(a)の「気温の観測については、気象官署では電動ファンを用いて強制的に温度計に通風を行っているが、アメダスでは電動ファンを使用せず自然通風としている。」は誤り!

(b)降水量の観測について

降水量の観測、アメダスと気象官署の観測単位が違ったら困ります〜(。ŏ﹏ŏ)

だから(b)の「降水量の観測については、気象官署では0.5mm単位で観測を行っているが、アメダスでは1mm単位で観測を行っている。」は誤り!

(c)風速の観測について

風速は1秒間に4回観測してます。

  • 瞬間風速→3秒間平均の風速
  • 風速→10分間平均風速

この観測方法は、気象官署のみじゃなくてアメダスでも同じなので・・・

(c)の「風速の観測については、気象官署では10分間平均風速と瞬間風速の観測を行っているが、アメダスでは瞬間風速の観測は行なっていない。」は誤り!

イラスト図解よくわかる気象学【専門知識編】の何ページに書いてある?

18ページ(風速)
42ページ(気温)
45ページ(降水量)

3:ラジオゾンデについて

問題文

ラジオゾンデを用いた高層気象観測について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

ラジオゾンデによる高層気象観測は、世界各地で毎日決まった時刻(日本標準時09時・21時)に行われて(a)高層気象観測を行う各国においては、現地時刻の9時と21時に観測を行うこととされている。

(b)気象庁では、GPSゾンデと呼ばれる観測機器を使用しており、風向・風速の観測データは、GPS信号を利用して算出されている。

(c)気象庁では、全ての気象台と海洋気象観測船で高層気象観測を行なっている。

(d)気象庁のラジオゾンデによる高層気象観測の観測範囲は地上から上部成層圏までだが、稀に中間圏までラジオゾンデが到達することがある。

答えは・・・④! (b)だけ正しい!

はれの
はれの

ラジオゾンデはデジタル&アナログ技術のハイブリット!

1つ1つ、しっかり覚えよう!

(a)ラジオゾンデの観測時間について

ラジオゾンデを使った高層気象観測は、世界各地で毎日決まった時刻で観測します。

ただ観測時刻は「世界標準時0時と12時」って決まってます。(日本標準時09時・21時)

「現地時間の9時と21時」ではないです。

だから(a)の「高層気象観測を行う各国においては、現地時刻の9時と21時に観測を行うこととされている。」は誤り!

(b)GPSゾンデについて

GPSゾンデとは、「ラジオゾンデのうち、GPS信号を用いて風向・風速を計算するもの」のこと。

風向・風速の観測データは、複数のGPS衛星の電波を受信して、GPSゾンデそのものの移動によって生じる「GPS衛星信号の周波数のずれ」を使って求めます。

だから(b)の「気象庁では、GPSゾンデと呼ばれる観測機器を使用しており、風向・風速の観測データは、GPS信号を利用して算出されている。」は正しい!

(c)高層気象観測してる場所について

高層気象観測(ラジオゾンデ)を行っているのは「全ての気象台」じゃなくて、以下のところ。

  • 全国16か所の気象官署
  • 昭和基地(南極)
  • 海洋気象観測船

だから(c)の「気象庁では、全ての気象台と海洋気象観測船で高層気象観測を行なっている。」は誤り!

(d)高層気象観測の観測範囲について

ラジオゾンデの観測範囲(高度)は地上から高度30kmくらいまで。

高度30kmっていうと、成層圏の中層くらい。

それ以上の高度になると、低い気圧によってラジオゾンデの気球が破裂して観測できません。

だから(d)の「気象庁のラジオゾンデによる高層気象観測の観測範囲は地上から上部成層圏までだが、稀に中間圏までラジオゾンデが到達することがある。」は誤り!

イラスト図解よくわかる気象学【専門知識編】の何ページに書いてある?

78ページ〜

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4:全球モデルの初期値を作成する客観解析について

問題文

気象庁の全球モデルの初期値を作成する客観解析について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a)ラジオゾンデによる高層気象観測データは大気を直接観測しており精度が高いため、観測地点の直近の格子点では、この観測データそのものを解析値としている。

(b)台風周辺の初期値の精度向上のため、台風の中心気圧や強風半径の情報に基づいて推定された台風周辺の気圧や風の分布が、擬似的な観測データとして客観解析に利用されている。

(c)観測データは第一推定値と比較され、その差が定められた基準を超える場合は客観解析には利用されない。

答えは・・・③! (a)だけ誤り!

はれの
はれの

モデルの違いを覚えるのはややこしいけど、頑張って!💦

(a)初期値と観測値について

数値予報モデルの格子点の直近に観測地点があったとしても!観測データそのものを解析値とすることはありません!(大気のカオス的性質のため)

だから(a)の「ラジオゾンデによる高層気象観測データは大気を直接観測しており精度が高いため、観測地点の直近の格子点では、この観測データそのものを解析値としている。」は誤り!

(b)台風周辺の客観解析について

「台風の中心気圧や強風半径の情報に基づいて推定された台風周辺の気圧や風の分布」とは、「台風ボーカス」のことだと思います。

この台風ボーカスは、台風周辺の全球モデルの客観解析に使われています。

だから(b)の「台風周辺の初期値の精度向上のため、台風の中心気圧や強風半径の情報に基づいて推定された台風周辺の気圧や風の分布が、擬似的な観測データとして客観解析に利用されている。」は正しい!

▶︎全球モデル(GSM)における台風の進路予測精度の向上について~

(c)観測データは第一推定値が離れていたら?

客観解析では、観測データが第一推定値よりかけ離れているとReject(排除)となります。

だから(c)の「観測データは第一推定値と比較され、その差が定められた基準を超える場合は客観解析には利用されない。」は正しい!

イラスト図解よくわかる気象学【専門知識編】の何ページに書いてある?

5:アンサンブル予報について

問題文

アンサンブル予報について述べた次の文(a)~(d)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

ただし、アンサンブル予報は同一の数値予報モデルを用いているものとする。

(a)初期値に含まれる誤差によって生じる予測の不確実性の情報を得るため、アンサンブル予報では、摂動を加えた少しずつ異なる多数の初期値について、予測を行っている。

(b)予報結果のアンサンブル平均をとることで、数値予報モデルが持つ系統的な誤差を除去することができる。

(c)アンサンブル予報のスプレッドが大きい場合は、小さい場合に比べて予報の信頼度が高い。

(d)アンサンブル予報などによる確率予報の評価指標の1つであるブライアスコアは、現象の気候学的出現率の影響を受けるため、出現率の異なる現象に対する確率予報の精度の比較には適さない。

答えは・・・③! (a)(d)が正しくて、(b)と(c)は誤り!

はれの
はれの

では一つずつ理由も説明しますね〜

(a)初期値の誤差について

予報の精度が時間と共に低くなるのは、初期値に誤差が含まれるからです。

だから初期値に含まれる誤差の範囲内で、少しずつ違う値を用意することができますね。

「摂動」っていうのは「小さな攪乱(かくらん)・ずれ」という意味だから…

(a)の「初期値に含まれる誤差によって生じる予測の不確実性の情報を得るため、アンサンブル予報では、摂動を加えた少しずつ異なる多数の初期値について、予測を行っている。」の下線部は正しい!

(b)系統的な誤差(バイアス)は除去できない

予測の結果を平均することで、個々のアンサンブルメンバー(予測結果の値)に含まれる誤差が打ち消されて、予測精度が向上します。

「系統的な誤差」というのは「偶然じゃない、一定の傾向を持つ誤差のこと」。

今のアンサンブル予報では、実況との差に系統的な誤差(バイアス)が少なからず存在します。

つまり「除去できてない」。

だから(b)の予報結果のアンサンブル平均をとることで、数値予報モデルが持つ系統的な誤差を除去することができる。」の下線部は間違い!

(c)アンサンブル予報のスプレッドについて

「アンサンブル予報のスプレッドが大きい」ということは、わずかな初期値の違いで個々の予測結果が大きく違うということです。

大きな差がある予測結果を平均すれば、精度が下がることは想像できますよね?

だから(c)の「アンサンブル予報のスプレッドが大きい場合は、小さい場合に比べて予報の信頼度が高い。」の下線部は間違い!

(d)ブライアスコアについて

ブライアスコアは、現象の気候学的出現率の影響を受けます。

だから「異なる標本」や「出現率の異なる現象」に対する予測の精度を比較するのには適しません。

(d)の「アンサンブル予報などによる確率予報の評価指標の1つであるブライアスコアは、現象の気候学的出現率の影響を受けるため、出現率の異なる現象に対する確率予報の精度の比較には適さない。」の下線部そのまんまなので、正しい!

はれの
はれの

テキストだけでは知識不足。

過去問と気象庁の情報を上手に使おう!

イラスト図解よくわかる気象学【専門知識編】の何ページに書いてある?

324ページ〜

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