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問5:アンサンブル予報について
アンサンブル予報について述べた次の文(a)~(d)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
ただし、アンサンブル予報は同一の数値予報モデルを用いているものとする。
(a)初期値に含まれる誤差によって生じる予測の不確実性の情報を得るため、アンサンブル予報では、摂動を加えた少しずつ異なる多数の初期値について、予測を行っている。
(b)予報結果のアンサンブル平均をとることで、数値予報モデルが持つ系統的な誤差を除去することができる。
(c)アンサンブル予報のスプレッドが大きい場合は、小さい場合に比べて予報の信頼度が高い。
(d)アンサンブル予報などによる確率予報の評価指標の1つであるブライアスコアは、現象の気候学的出現率の影響を受けるため、出現率の異なる現象に対する確率予報の精度の比較には適さない。
答えは・・・③! (a)(d)が正しくて、(b)と(c)は誤り!
では一つずつ理由も説明しますね〜
予報の精度が時間と共に低くなるのは、初期値に誤差が含まれるからです。
だから初期値に含まれる誤差の範囲内で、少しずつ違う値を用意することができますね。
「摂動」っていうのは「小さな攪乱(かくらん)・ずれ」という意味だから…
(a)の「初期値に含まれる誤差によって生じる予測の不確実性の情報を得るため、アンサンブル予報では、摂動を加えた少しずつ異なる多数の初期値について、予測を行っている。」の下線部は正しい!
予測の結果を平均することで、個々のアンサンブルメンバー(予測結果の値)に含まれる誤差が打ち消されて、予測精度が向上します。
「系統的な誤差」というのは「偶然じゃない、一定の傾向を持つ誤差のこと」。
今のアンサンブル予報では、実況との差に系統的な誤差(バイアス)が少なからず存在します。
つまり「除去できてない」。
だから(b)の予報結果のアンサンブル平均をとることで、数値予報モデルが持つ系統的な誤差を除去することができる。」の下線部は間違い!
「アンサンブル予報のスプレッドが大きい」ということは、わずかな初期値の違いで個々の予測結果が大きく違うということです。
大きな差がある予測結果を平均すれば、精度が下がることは想像できますよね?
だから(c)の「アンサンブル予報のスプレッドが大きい場合は、小さい場合に比べて予報の信頼度が高い。」の下線部は間違い!
ブライアスコアは、現象の気候学的出現率の影響を受けます。
だから「異なる標本」や「出現率の異なる現象」に対する予測の精度を比較するのには適しません。
(d)の「アンサンブル予報などによる確率予報の評価指標の1つであるブライアスコアは、現象の気候学的出現率の影響を受けるため、出現率の異なる現象に対する確率予報の精度の比較には適さない。」の下線部そのまんまなので、正しい!
テキストだけでは知識不足。
過去問と気象庁の情報を上手に使おう!
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