学科一般~過去問私的解説&考察~第63回気象予報士試験・問11

11:

エルニーニョ現象およびウォーカー循環について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。なお、タヒチとダーウィンの位置は下図のとおりである。

(a) エルニーニョ現象時には、インドネシアやオーストラリア北部などの西部太平洋熱帯域で、降水量が平年に比べて少ない傾向がみられる。

(b) エルニーニョ現象時には、ダーウィンの海面気圧は通常よりも低く、タヒチの海面気圧は通常よりも高くなる傾向がある。

(c) エルニーニョ現象時には、太平洋赤道域でウォーカー循環に伴う東風が通常よりも強くなる。

③ (a)正, (b)誤, (c)誤

(a)降雨域の移動

エルニーニョ現象が起きている時は、赤道付近の降水域が、通常より東にずれます。

つまり、インドネシアやオーストラリア北部などの西部太平洋熱帯域より東にずれるので・・・

(a)の「エルニーニョ現象時には、インドネシアやオーストラリア北部などの西部太平洋熱帯域で、降水量が平年に比べて少ない傾向がみられる。」は正しい!

(b)気圧変化

エルニーニョ発生時に気圧がどう変化するのか、単純な図で考えてみます。

上図のように考えると、エルニーニョ発生時はダーウィンの海面気温は通常より高くなり、タヒチの海面気圧は通常よりも低くなりそうですね。

よって(b)の「エルニーニョ現象時には、ダーウィンの海面気圧は通常よりも低く、タヒチの海面気圧は通常よりも高くなる傾向がある。」は誤り!

ちなみに、気象庁のHPでも解説されています。

引用:気象庁「エルニーニョ/ラニーニャ現象とは」

(c)ウォーカー循環

ウォーカー循環は、簡単に言ってしまうと、赤道付近の東西方向の風の循環のことです。

インドネシア付近の太平洋赤道域西部で上昇した空気は対流圏上層を西から東に向かい、太平洋東部で下降します。
いわゆるエルニーニョ現象が起きていない時の循環ですね。

よって(c)の「エルニーニョ現象時には、太平洋赤道域でウォーカー循環に伴う東風が通常よりも強くなる。」は誤り。

正しくは「弱くなる」です。

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