学科専門~過去問私的解説&ヒント~第54回気象予報士試験

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8:台風について

問題文

図は西日本に上陸し、その後勢力を弱めて日本海に進んだ台風の気象衛星赤外画像である。このような台風について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a)この台風は、眼が不明瞭化し軸対称性も崩れてきているが、周辺には活発な対流雲を伴っているため、引き続き大雨への警戒が必要である。

(b)この台風のように、台風が上陸後に勢力を弱める主な原因は、水蒸気の供給が減少し、また、陸上の摩擦によりエネルギーが失われるためである。

(c)この図のように台風が日本付近を北上するときに、台風の軸対称性が崩れる主な原因は、北上するにつれてコリオリ力が大きくなり、傾度風のバランスが変化するためである。

(d)この図のような、日本列島に接近・上陸し大きな影響を及ぼす可能性が非常に高い台風については、気象庁は1日先までの台風の予報を最短1時間ごとに発表する。

答えは・・・②! (a)と(b)が正しくて(c)と(d)が誤り!

はれの
はれの

台風の問題はわかりやすいと思う!

(a)大雨への警戒が必要なポイントは対流雲

台風の目が不明瞭になったり軸対称性が崩れるということは、台風としてのエネルギー補給が減ったとか、寒気や乾燥した空気が中心部に入ってくるとかあるんですが・・・

イコール「対流雲ができ続ける条件が崩れた」ではないです。

対流雲ができ続けているなら、その下では降水も多いと考えて大雨への警戒をしましょう!

というわけで(a)の「この台風は、眼が不明瞭化し軸対称性も崩れてきているが、周辺には活発な対流雲を伴っているため、引き続き大雨への警戒が必要である。」は正しい!

(b)上陸した台風はどうなるのか

台風のエネルギー源は水蒸気の潜熱です。

また平坦な海上に比べて、地上では下層の摩擦も大きくなって風速が弱まります。

だから(b)の「この台風のように、台風が上陸後に勢力を弱める主な原因は、水蒸気の供給が減少し、また、陸上の摩擦によりエネルギーが失われるためである。」は正しい!

(c)軸対称性が崩れる理由はコリオリ力じゃない

台風の軸対称性が崩れるのは、コリオリ力は関係ありません。

はれの
はれの

極地域でも台風そっくりのポーラーロウなどの発生もありますしね。

というわけで(c)の「この図のように台風が日本付近を北上するときに、台風の軸対称性が崩れる主な原因は、北上するにつれてコリオリ力が大きくなり、傾度風のバランスが変化するためである。」は誤り!

(d)要注意な台風について

台風の実況と24時間先までの予報は3時間毎、120時間先までの予報は6時間毎の発表ですが・・・

実況と予想発表
実況3時間毎の発表
24時間先までの予報3時間毎の発表
120時間先までの予報6時間毎の発表

台風が日本に接近し、災害が発生するおそれが出てきた場合には、実況と1時間後の推定位置を1時間毎に発表します。

実況と予想発表
実況1時間毎
1時間後の推定位置1時間毎

問題文のように、台風の予想の発表は最短1時間毎にはなりますが、「1日先までの」ではなく、「1時間毎に実況と1時間後の推定位置を発表する」ので

(d)の「この図のような、日本列島に接近・上陸し大きな影響を及ぼす可能性が非常に高い台風については、気象庁は1日先までの台風の予報を最短1時間ごとに発表する。」は誤り!

予報のルールはここをチェック! ▶︎気象庁

はれの
はれの

台風の専門的な知識を学べるのはこの本がおすすめ(о´∀`о)

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