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問6:天気予報ガイダンスについて
気象庁の天気予報ガイダンスについて述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a)数値予報モデルで予想された降水域の位置が実際の位置から外れている場合、降水量ガイダンスにより、その位置のずれを修正し誤差を大幅に減らすことは困難である。
(b)風ガイダンスにより、数値予報の風速の予測誤差を低減することはできるが、風向の予測誤差を低減することは困難である。
(c)発雷確率ガイダンスは、対象領域内での発雷数の多寡を予想するガイダンスである。
答えは・・・③! (a)だけ正しい!
1つずつ説明しますね。
降水量ガイダンスに「降水域の位置のずれを修正し、誤差を大幅に減らす」ことができるのか?
この「降水域の位置のずれ」っていうのは「系統的な誤差」ではなく、「ランダム誤差」にあたります。
で、この「ランダム誤差」は、まだ修正不可能なんです。
だから(a)の「数値予報モデルで予想された降水域の位置が実際の位置から外れている場合、降水量ガイダンスにより、その位置のずれを修正し誤差を大幅に減らすことは困難である。」は正しい!
風ガイダンスの
- 風速の予測誤差を低減できる?
- 風向の予測誤差を低減できる?
という問題です。
風向・風速の予測誤差は、モデルと実際の地形が違うなどの系統的誤差なので、誤差は低減できます。
だから(b)の風ガイダンスにより、数値予報の風速の予測誤差を低減することはできるが、風向の予測誤差を低減することは困難である。」は誤り!
風向も風速も誤差は修正してますよ〜
発雷確率ガイダンスが「発雷数の多寡を予想する」ガイダンスなのか?という問題です。
「発雷確率ガイダンス」は降水確率と同じで、発雷数が多いか少ないかではなく、発雷するかどうかの確率を予測するガイダンスです。
だから(c)の「発雷確率ガイダンスは、対象領域内での発雷数の多寡を予想するガイダンスである。」は誤り!
280ページ〜
過去問と気象庁の情報も、どんどん利用しよう!
参考ベージ ▶︎ガイダンスの解説
問7:解析雨量について
解析雨量について述べた次の文(a)~(d)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a)解析雨量は、気象レーダーと雨量計の観測データを組み合わせ、降水量分布を1km四方の細かさで解析したもので、面的に雨量を推定できる気象レーダーと、正確な雨量を観測できる雨量計の両方の長所を活かしたものである。
(b)海上の解析雨量は、陸上の雨量計から得られた情報を用いて気象レーダーの観測データを補正しているため、陸上よりも一般に誤差が大きい。
(c)解析雨量は実測値ではないことから、土壌雨量指数や表面雨量指数の算出の際の入力データとしては利用されない。
(d)解析雨量には、30分ごとに1時間雨量を算出するものと、10分ごとに1時間雨量を算出する速報版がある。後者は前者より、利用する雨量計データの数が少ないため精度は若干低いが、更新頻度が高く、観測から提供まで要する時間が短い。
答えは・・・②! (a)(b)(d)が正しくて(c)が誤り!
では個別に「正しい」「誤り」の根拠をお伝えします!
解析雨量は、「面的に雨量を推定できる気象レーダー」と「正確な雨量を観測できる雨量計」の両方の長所を活かしたものである。
はいまったくその通り!
だから(a)の「解析雨量は、気象レーダーと雨量計の観測データを組み合わせ、降水量分布を1km四方の細かさで解析したもので、面的に雨量を推定できる気象レーダーと、正確な雨量を観測できる雨量計の両方の長所を活かしたものである。」の下線部は正しい!
海上では、陸上のような実際の雨量を観測するって難しいですよね。
だから陸上の「レーダーのデータを実際の雨量で補正」と同じことを「実際の雨量の値」がないけど補正してます。
するとどうしても、陸上の解析雨量より誤差は大きくなります。
というわけで(b)の「海上の解析雨量は、陸上の雨量計から得られた情報を用いて気象レーダーの観測データを補正しているため、陸上よりも一般に誤差が大きい。」の下線部は正しい!
解析雨量は、土壌雨量指数、表面雨量指数、流域雨量指数の算出や、これらを用いた大雨・洪水警報の危険度分布を求めるためにも利用されます。▶︎気象庁
だから(c)の「解析雨量は実測値ではないことから、土壌雨量指数や表面雨量指数の算出の際の入力データとしては利用されない。」の下線部は誤り!
解析雨量には以下のものがあります。
- 10分ごとに1時間雨量を算出→速報版解析雨量図
- 30分ごとに1時間雨量を算出→解析雨量図
速報版解析雨量は算出処理の所要時間を短縮しているので、雨量の算出に利用できる雨量計の数に制限があります。
だから算出処理の所要時間がより長くより多くの雨量計を用いて雨量を解析している速報版じゃない「解析雨量」の方が精度が高くなります。
というわけで(d)の「解析雨量には、30分ごとに1時間雨量を算出するものと、10分ごとに1時間雨量を算出する速報版がある。後者は前者より、利用する雨量計データの数が少ないため精度は若干低いが、更新頻度が高く、観測から提供まで要する時間が短い。」の下線部は正しい!
参考資料 ▶︎速報版解析雨量・速報版降水短時間予報
190ページ〜
問8:台風について
図は西日本に上陸し、その後勢力を弱めて日本海に進んだ台風の気象衛星赤外画像である。このような台風について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a)この台風は、眼が不明瞭化し軸対称性も崩れてきているが、周辺には活発な対流雲を伴っているため、引き続き大雨への警戒が必要である。
(b)この台風のように、台風が上陸後に勢力を弱める主な原因は、水蒸気の供給が減少し、また、陸上の摩擦によりエネルギーが失われるためである。
(c)この図のように台風が日本付近を北上するときに、台風の軸対称性が崩れる主な原因は、北上するにつれてコリオリ力が大きくなり、傾度風のバランスが変化するためである。
(d)この図のような、日本列島に接近・上陸し大きな影響を及ぼす可能性が非常に高い台風については、気象庁は1日先までの台風の予報を最短1時間ごとに発表する。
答えは・・・②! (a)と(b)が正しくて(c)と(d)が誤り!
台風の問題はわかりやすいと思う!
台風の目が不明瞭になったり軸対称性が崩れるということは、台風としてのエネルギー補給が減ったとか、寒気や乾燥した空気が中心部に入ってくるとかあるんですが・・・
イコール「対流雲ができ続ける条件が崩れた」ではないです。
対流雲ができ続けているなら、その下では降水も多いと考えて大雨への警戒をしましょう!
というわけで(a)の「この台風は、眼が不明瞭化し軸対称性も崩れてきているが、周辺には活発な対流雲を伴っているため、引き続き大雨への警戒が必要である。」は正しい!
台風のエネルギー源は水蒸気の潜熱です。
また平坦な海上に比べて、地上では下層の摩擦も大きくなって風速が弱まります。
だから(b)の「この台風のように、台風が上陸後に勢力を弱める主な原因は、水蒸気の供給が減少し、また、陸上の摩擦によりエネルギーが失われるためである。」は正しい!
台風の軸対称性が崩れるのは、コリオリ力は関係ありません。
極地域でも台風そっくりのポーラーロウなどの発生もありますしね。
というわけで(c)の「この図のように台風が日本付近を北上するときに、台風の軸対称性が崩れる主な原因は、北上するにつれてコリオリ力が大きくなり、傾度風のバランスが変化するためである。」は誤り!
台風の実況と24時間先までの予報は3時間毎、120時間先までの予報は6時間毎の発表ですが・・・
実況と予想 | 発表 |
---|---|
実況 | 3時間毎の発表 |
24時間先までの予報 | 3時間毎の発表 |
120時間先までの予報 | 6時間毎の発表 |
台風が日本に接近し、災害が発生するおそれが出てきた場合には、実況と1時間後の推定位置を1時間毎に発表します。
実況と予想 | 発表 |
---|---|
実況 | 1時間毎 |
1時間後の推定位置 | 1時間毎 |
問題文のように、台風の予想の発表は最短1時間毎にはなりますが、「1日先までの」ではなく、「1時間毎に実況と1時間後の推定位置を発表する」ので
(d)の「この図のような、日本列島に接近・上陸し大きな影響を及ぼす可能性が非常に高い台風については、気象庁は1日先までの台風の予報を最短1時間ごとに発表する。」は誤り!
予報のルールはここをチェック! ▶︎気象庁
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問9:ポーラーロウについて
冬季に日本付近に発生するポーラーロウについて述べた次の文(a)~(d)の正誤について、下記の①~⑤の中から正しいものを1つ選べ。
(a)多くのポーラーロウは対流生の雲を伴い、コンマ状や渦状、台風に似た眼を伴ったらせん状の形をしている。
(b)寒冷渦に伴って日本海に発生することが多く、地上天気図にはメソスケールの低気圧や気圧の谷として解析されることが多い。
(c)台風や温帯低気圧に比べて水平スケールは小さいが、しばしば強風や大雪などの悪天候を伴うので注意が必要である。
(d)一般に、発達して眼(渦の中心の雲のない部分)を伴ったポーラーロウでは、眼の中の気温は周囲より高い。
①(a)のみ誤り
②(b)のみ誤り
③(c)のみ誤り
④(d)のみ誤り
⑤すべて正しい
答えは・・・⑤! すべて正しいです!
一つずつ確認していきましょう!
ポーラーロウには次のような雲パターンがあります。
- スパイラル状の雲パターン
- 目を持つパターン
- コンマ型(低気圧の中心から一本の長い尾が伸びた雲パターン)
だから(a)の「多くのポーラーロウは対流生の雲を伴い、コンマ状や渦状、台風に似た眼を伴ったらせん状の形をしている。」は正しい!
日本海で発生するポーラーロウは、冬季に西高東低の冬型の気圧配置となった時に、さらに冷たい空気を運ぶ気圧の谷通る時に発生しやすいです。
だから(b)の「寒冷渦に伴って日本海に発生することが多く、地上天気図にはメソスケールの低気圧や気圧の谷として解析されることが多い。」は正しい!
(c)の「台風や温帯低気圧に比べて水平スケールは小さいが、しばしば強風や大雪などの悪天候を伴うので注意が必要である。」は本当にそのまんまです!
正しい!
ポーラーロウは台風と同じ水蒸気が凝結する際の潜熱と、温帯低気圧と同じ傾圧不安定の仕組みで発達します。
台風とよく似た構造(中心に雲のない領域:眼を持つ)のポーラーロウは、中心に暖気核をもっています。
だから(d)の「一般に、発達して眼(渦の中心の雲のない部分)を伴ったポーラーロウでは、眼の中の気温は周囲より高い。」は正しい!
問10:温帯低気圧について
北半球の偏西風帯における温帯低気圧について述べた次の文(a)~(d)の正誤について正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a)台風から変わった温帯低気圧では、温帯低気圧になった時点から中心気圧が低くなることはない。
(b)発達中の低気圧では、低気圧の東側で暖気が北上し、西側で寒気が南下するため、熱は北向きに輸送される。
(c)気象衛星の赤外画像でみると、低気圧の発達期には、地上低気圧中心の東側の雲域は、その北縁が寒気側にふくらむ。
(d)地上低気圧の中心と上層のトラフとを結ぶ軸が上層ほど西に傾いていると低気圧は発達するが、閉塞過程に入るとこの軸は次第に直立するようになる。
①(a)のみ誤り
②(b)のみ誤り
③(c)のみ誤り
④(d)のみ誤り
⑤すべて正しい
答えは・・・①! (a)のみ誤り!(b)(c)(d)は正しい!
温帯低気圧のことなら、身近で答えやすいですよね!
では一つずつ掘り下げまーす(о´∀`о)
台風から温帯低気圧に変わると、エネルギーの供給源が「水蒸気の凝結による潜熱→寒気と暖気の位置エネルギー→運動エネルギー」に変わります。
つまり供給エネルギーが多ければ、再び中心気圧が下がって再発達します。
ニュースでも「台風は温帯低気圧に変わって、再び発達する見込みです。」なんて聞いたことありますよね?
だから(a)の「台風から変わった温帯低気圧では、温帯低気圧になった時点から中心気圧が低くなることはない。」は誤り!
発達中の低気圧では、低気圧中心の東側で暖気が北上し、西側で寒気が南下します。
だから(b)の「発達中の低気圧では、低気圧の東側で暖気が北上し、西側で寒気が南下するため、熱は北向きに輸送される。」は正しい!
温帯低気圧の発達時、北側(寒気側)にバルジができますよね。
だから(c)の「気象衛星の赤外画像でみると、低気圧の発達期には、地上低気圧中心の東側の雲域は、その北縁が寒気側にふくらむ。」は正しい!
発達中の温帯低気圧は、地上の低気圧中心と上層のトラフを結ぶ軸が、上空にいくほど西に傾いています。
そして地上の低気圧中心と上層のトラフを結ぶ軸が垂直になるころに、温帯低気圧の成長は終了。
そして衰退期に入る・・・って基本ですよね。
だから(d)の「地上低気圧の中心と上層のトラフとを結ぶ軸が上層ほど西に傾いていると低気圧は発達するが、閉塞過程に入るとこの軸は次第に直立するようになる。」は正しい!
問10の内容は、一般知識で学ぶ内容でしたね。
320ページ
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