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問7:サービス問題(簡単計算)
東西方向、南北方向の長さがそれぞれ2kmと1kmで、平坦な地表面からの厚さが0.5kmの直方体の大気の領域において、4つの側面に垂直な風向の風速がそれぞれ図に示す通りであったとき、上面での鉛直方向の風速の絶対値として適切なものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。ただし、風速は各面において一様であり、大気の密度は一定とする。また、地表面の摩擦は無視できるものとする。
① 0m/s
② 0.5m/s
③ 1.0m/s
④ 1.5m/s
⑤ 2.0m/s
② 0.5m/s
問われているのは「上面での鉛直方向の風速の絶対値」です。
「絶対値」なので、この時点では上昇流か下降流かはわかりませんね。
ちょっと計算してみましょうか。
この直方体の水平方向の風は、西からの風のみ直方体の中に入るので、空気の出入り的にはプラス(+)と考えました。
直方体西側の断面は、0.5km × 1km = 0.5km2 です。
そして東側,北側,南側では直方体の外側に向けて風が吹いているので(ー)と考えました。
直方体東側の断面は、西側と同じく 0.5km × 1km = 0.5km2
直方体南北側の断面は、 0.5km × 2km = 1.0km2
それぞれの風速と合わせて、直方体の中の空気の出入りを考えると・・・
+ 10m/s × 0.5km2 = + 5(単位は省略っていうか考えません。)
ー 4m/s × 0.5km2 = ー 2
ー 2m/s × 1.0km2 = ー 2
ー 2m/s × 1.0km2 = ー 2
上記の値を足していくと、「ー 1」になります。ってことは下降流ですね。
そして直方体上方向断面の面積は、 1km × 2km = 2km2 。
下降流を a m/s とすると、「a m/s × 2km2 = ー 1」なので、「a = ー 0.5」。
つまり絶対値は「0.5 m/s」となり、答えは②となります。
空気ではなく水で想像するとわかりやすいかも〜
問8:単位覚えてる?
一般に、物理量の次元は質量をM、長さをL、 時間をTとするとMaLbTcの形式で表すことができる。例えば、重力加速度の次元はM0L1T-2となる。気圧およびコリオリパラメータの次元をこの形式で表すとき、a,bおよびcの数値の組み合わせとして適切なものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
④
気圧 | コリオリパラメータ | |
a | 1 | 0 |
b | – 1 | 0 |
c | – 2 | – 1 |
「物理量の次元」なんて耳慣れない(?)言葉で言われると「???」となりますが、問われている要素の単位を知っていれば解ける問題です。(о´∀`о)
重力加速度は、あなたもご存知の通り「 g = 9.8 ms-2 」なので
- 質量M=なし(0)
- 長さL= m(1)
- 時間T= s-2(-2)
気圧pは「 1Pa(パスカル)= 1Nm-2 = 1kgm-1s-2」なので
- 質量M=kg(1)
- 長さL= m-1(-1)
- 時間T= s-2(-2)
p = ρRT で考えても同じ結果になるよ。
次にコリオリパラメータは 「 f = 2ΩsinΦ 」であり、単位は「 s-1 」なので
- 質量M=なし(0)
- 長さL= なし(0)
- 時間T= s-1(-1)
コリオリパラメータに速度をかけると、コリオリの力になるよね。
問9:大規模な大気の運動
図は経度方向に平均した年降水量(P)と年蒸発量(E)並びに両者の差PーEの緯度分布である。この図のA~Dで示す緯度帯について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a)緯度帯Aの降水量の極大は、主に熱帯域で発生した台風などの熱帯低気圧の降水により形成される。
(b)緯度帯Bは大規模子午面循環であるハドレー循環の下降流域に対応しており、地上では亜熱帯高圧帯が見られる。
(c)緯度帯Cでは南北両半球からの貿易風が収束して積乱雲が発生している。
(d)緯度帯Dでは、水蒸気は主に極側に向かって輸送されている。
③ (a)誤, (b)正, (c)正, (d)誤
緯度帯Aは緯度30度〜60度なので、南は日本の九州から北はカムチャツカ辺りまで。
ということは身近な緯度帯なので、想像できますよね。
ここでは主に温帯低気圧に伴う降水があります。
というわけで(a)の「緯度帯Aの降水量の極大は、主に熱帯域で発生した台風などの熱帯低気圧の降水により形成される。」は誤り!
緯度帯Bは亜熱帯高圧帯ですね。
雲が発生しにくくて、砂漠や乾燥した気候となります。
だから(b)の「緯度帯Bは大規模子午面循環であるハドレー循環の下降流域に対応しており、地上では亜熱帯高圧帯が見られる。」は正しい!
熱帯収束帯では大流活動が盛んで、対流雲による降水が多いです。
これは太陽エネルギーで温められるからだけではなく、貿易風の収束帯でもあるからですね。
だから(c)の「緯度帯Cでは南北両半球からの貿易風が収束して積乱雲が発生している。」は正しい!
この地域はハドレー循環のど真ん中。
下層では赤道方向への流れ,上層では極方向への流れになります。
水蒸気が多いのは下層の方ってこともあるし(d)の「緯度帯Dでは、水蒸気は主に極側に向かって輸送されている。」は誤りですね。
ちなみに全ての水蒸気が熱帯収束帯に運ばれるのではなく、一部は中緯度に運ばれ温帯低気圧に伴う降水となります。
「一般気象学(第2版)」 p175
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