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問8:冬季の日本周辺の降水に関わる現象
冬季の日本周辺の降水に関わる現象について述べた次の文(a)〜(d)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a)冬型の気圧配置のときに、日本海上で筋状の対流雲ができ始める地点と大陸の海岸線との間の距離は、海面水温や風速などの他の条件が同じならば、大陸から吹き出す大気の下層の気温が低いほど短い。
(b)冬型の気圧配置のとき、大陸からの寒気の吹き出しにより形成される筋状の対流雲は、強い不安定により発達して雲頂が対流圏界面に達することが多い。
(c)上層の気圧の谷が日本列島の東に抜け、低気圧が日本の東海上や千島方面で発達して、本州付近では上空に寒気が入り、地上の等圧線が南北の縦縞に並ぶ時には、日本海側の山沿いの地方を中心に山雪型と呼ばれる大雪になることが多い。
(d)地上気温が0℃以上であっても降雨ではなく降雪となることがある。この場合、降雨になるか降雪になるかは、地上付近の気温とともに湿度も影響し、気温が同じであれば湿度が低いほど雪になる可能性が高くなる。
② (a)正,(b)誤,(c)正,(d)正
筋状の対流雲は、大陸から吹き出す冷たい空気と温かい日本海との温度差で発生します。
つまり気温差が大きいほど対流雲は発生しやすいので、海面水温と風速が同じ場合、大気の下層の気温が低いほど、大陸に近い位置から対流雲が発生します。
だから(a)の「冬型の気圧配置のときに、日本海上で筋状の対流雲ができ始める地点と大陸の海岸線との間の距離は、海面水温や風速などの他の条件が同じならば、大陸から吹き出す大気の下層の気温が低いほど短い。」は正しい!
冬型の気圧配置により日本海に現れる筋状の対流雲の雲頂高度は高くありません。
書籍には、だいたい2〜3kmと書かれていますね。
赤外画像で見るとよくわかるのですが、筋状の対流雲は発達した積乱雲などの白さよりずっと灰色です。
これは日本海上の対流雲の上に逆転層があるためです。(大陸で放射冷却によって生まれた冷たい空気は、下層の方が低温な逆転層になっているからですね。)
そんなわけで(b)の「冬型の気圧配置のとき、大陸からの寒気の吹き出しにより形成される筋状の対流雲は、強い不安定により発達して雲頂が対流圏界面に達することが多い。」は誤り!
雪が降る時の大気の特徴として「里雪型」と「山雪型」はご存知ですよね。
この二つは地上天気図で見ると等圧線の向きに特徴があります。
- 里雪型:等圧線は垂直より西に傾いている(ちょっと斜め)。
トラフは朝鮮半島付近。 - 山雪型:等圧線が南北方向に走り、ほぼ垂直。
トラフは日本列島の東。
だから(c)の「上層の気圧の谷が日本列島の東に抜け、低気圧が日本の東海上や千島方面で発達して、本州付近では上空に寒気が入り、地上の等圧線が南北の縦縞に並ぶ時には、日本海側の山沿いの地方を中心に山雪型と呼ばれる大雪になることが多い。」は正しい!
最近はテレビの天気予報でも「地上付近の湿度で雪になるのか雨になるのかが・・・」という解説を聞けるようになりましたね。
乾燥している→降水粒子が蒸発→周囲の空気の熱を奪う→気温が下がる→雪になる!
と覚えておけばOK。
だから(d)の「地上気温が0℃以上であっても降雨ではなく降雪となることがある。この場合、降雨になるか降雪になるかは、地上付近の気温とともに湿度も影響し、気温が同じであれば湿度が低いほど雪になる可能性が高くなる。」は正しい!
イラスト図解 よくわかる気象学【専門知識編】p 509 〜 517