学科専門~過去問私的解説&ヒント~第57回気象予報士試験

問7:寒冷低気圧

問題文

日本付近の寒冷低気圧について述べた次の文章の下線部(a)〜(d)の正誤について、下記の①〜⑤の中から正しいものを1つ選べ。

寒冷低気圧は、(a)偏西風帯のジェット気流がほぼ東西方向に流れている時に形成される。対流圏では、周辺より気温が低い寒気核を持ち、(b)寒気核は対流圏の中・上層より下層の方が顕著である。また、(c)寒冷低気圧の中心を結ぶ軸は、上層ほど大きく西に傾いていることが多い

夏季に日本付近に進んでくる寒冷低気圧においては、東から南東象限の下層に暖かく湿った気塊が流入することが多く、そのようなときは大気の成層が不安定となり対流雲が組織的に発達するが、(d)寒冷低気圧は一般に動きが速いため、成層が不安定な状態は半日程度で解消することが多い

① (a)のみ正しい
② (b)のみ正しい
③ (c)のみ正しい
④ (d)のみ正しい
⑤  すべて誤り

⑤  すべて誤り

寒冷低気圧は偏西風帯のジェット気流が南北に蛇行するときに形成されるので、(a)の「偏西風帯のジェット気流がほぼ東西方向に流れている時に形成される。」は誤り。

そして対流圏上層ほど周囲と比べて気温が低いので、(b)の「寒気核は対流圏の中・上層より下層の方が顕著である。」も誤り。

はれの
はれの

成層圏下部では周囲より気温が高くなってます。

また、寒冷低気圧の中心を結ぶ軸は普通の温帯低気圧と違い、あまり傾きは見られませんよね。

だから(c)の「寒冷低気圧の中心を結ぶ軸は、上層ほど大きく西に傾いていることが多い。」は誤り。

最後に、寒冷低気圧はジェット気流の流れから切り離され一般的に移動速度は遅く、なかなか東に流れてくれませんから、(d)の「寒冷低気圧は一般に動きが速いため、成層が不安定な状態は半日程度で解消することが多い。」も誤り!

はれの
はれの

最近はテレビの天気予報でも、詳しく解説してますよね。

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問8:冬季の日本周辺の降水に関わる現象

問題文

冬季の日本周辺の降水に関わる現象について述べた次の文(a)〜(d)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)冬型の気圧配置のときに、日本海上で筋状の対流雲ができ始める地点と大陸の海岸線との間の距離は、海面水温や風速などの他の条件が同じならば、大陸から吹き出す大気の下層の気温が低いほど短い

(b)冬型の気圧配置のとき、大陸からの寒気の吹き出しにより形成される筋状の対流雲は、強い不安定により発達して雲頂が対流圏界面に達することが多い

(c)上層の気圧の谷が日本列島の東に抜け、低気圧が日本の東海上や千島方面で発達して、本州付近では上空に寒気が入り、地上の等圧線が南北の縦縞に並ぶ時には、日本海側の山沿いの地方を中心に山雪型と呼ばれる大雪になることが多い

(d)地上気温が0℃以上であっても降雨ではなく降雪となることがある。この場合、降雨になるか降雪になるかは、地上付近の気温とともに湿度も影響し、気温が同じであれば湿度が低いほど雪になる可能性が高くなる

② (a)正,(b)誤,(c)正,(d)正

(a)筋状の対流雲

筋状の対流雲は、大陸から吹き出す冷たい空気と温かい日本海との温度差で発生します。

つまり気温差が大きいほど対流雲は発生しやすいので、海面水温と風速が同じ場合、大気の下層の気温が低いほど、大陸に近い位置から対流雲が発生します。

だから(a)の「冬型の気圧配置のときに、日本海上で筋状の対流雲ができ始める地点と大陸の海岸線との間の距離は、海面水温や風速などの他の条件が同じならば、大陸から吹き出す大気の下層の気温が低いほど短い。」は正しい!

(b)筋状の対流雲の高度は低い

冬型の気圧配置により日本海に現れる筋状の対流雲の雲頂高度は高くありません。

書籍には、だいたい2〜3kmと書かれていますね。

赤外画像で見るとよくわかるのですが、筋状の対流雲は発達した積乱雲などの白さよりずっと灰色です。

これは日本海上の対流雲の上に逆転層があるためです。(大陸で放射冷却によって生まれた冷たい空気は、下層の方が低温な逆転層になっているからですね。)

そんなわけで(b)の「冬型の気圧配置のとき、大陸からの寒気の吹き出しにより形成される筋状の対流雲は、強い不安定により発達して雲頂が対流圏界面に達することが多い。」は誤り!

(c)山雪型

雪が降る時の大気の特徴として「里雪型」と「山雪型」はご存知ですよね。

この二つは地上天気図で見ると等圧線の向きに特徴があります。

  • 里雪型:等圧線は垂直より西に傾いている(ちょっと斜め)。
    トラフは朝鮮半島付近。
  • 山雪型:等圧線が南北方向に走り、ほぼ垂直。
    トラフは日本列島の東。

だから(c)の「上層の気圧の谷が日本列島の東に抜け、低気圧が日本の東海上や千島方面で発達して、本州付近では上空に寒気が入り、地上の等圧線が南北の縦縞に並ぶ時には、日本海側の山沿いの地方を中心に山雪型と呼ばれる大雪になることが多い。」は正しい!

(d)湿度が低い方が雪になりがち

最近はテレビの天気予報でも「地上付近の湿度で雪になるのか雨になるのかが・・・」という解説を聞けるようになりましたね。

はれの
はれの

乾燥している→降水粒子が蒸発→周囲の空気の熱を奪う→気温が下がる→雪になる!

と覚えておけばOK。

だから(d)の「地上気温が0℃以上であっても降雨ではなく降雪となることがある。この場合、降雨になるか降雪になるかは、地上付近の気温とともに湿度も影響し、気温が同じであれば湿度が低いほど雪になる可能性が高くなる。」は正しい!

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問9:気象衛星観測

問題文

次ページの図は、前線を伴う発達した低気圧が本州付近を通過している3月のある日の12時の気象衛星画像(赤外画像(上),可視画像(下))である。破線で示した領域について述べた文(a)〜(d)の正誤について、下記の①〜⑤の中から正しいものを1つ選べ。

(a)領域 A には、オホーツク海の海面で冷やされて発生した海霧が広く分布している。

(b)領域 B には、薄い巻雲の下に霧または下層雲が分布している。

(c)領域 C には、低気圧の寒冷前線に対応する雲バンドの中に積乱雲を含む対流雲域がみられる。

(d)領域 D には、寒気の吹き出しに伴う筋状雲やクローズドセルがみられる。

① (a)のみ誤り
② (b)のみ誤り
③ (c)のみ誤り
④ (d)のみ誤り
⑤  すべて正しい

① (a)のみ誤り

(a)海氷

オホーツク海にあるAは赤外画像では下層の層雲のように見えるので、霧?とも思いましたが、可視画像で層雲のようには思えない形をしています。

「層」って感じではないの、わかりますかね?

わりと輪郭(境界)がはっきりしているけど、対流雲とも違い、水の上に油を落として作ったマーブル模様のような形(模様?)です。

さらに3月のオホーツク海ってことも考慮して、これは海氷だと思います。

だから(a)の「領域 A には、オホーツク海の海面で冷やされて発生した海霧が広く分布している。」は誤り!

(b)二重になってる

赤外画像で明灰色、可視画像で積乱雲ほどではないけど明度高めです。

ということは、雲頂高度はほどほどだけど、厚みがそこそこある…

おまけに赤外画像と可視画像で形が違います。

ということは雲が二重になっている可能性があるので(b)の「領域 B には、薄い巻雲の下に霧または下層雲が分布している。」は正しい!

(c)赤外・可視ともに明度高い雲

赤外画像でも可視画像でも明度の高いCの雲は、形から見ても温帯低気圧の寒冷前線に沿って発達した積乱雲を含んでいる雲域です。

だから(c)の「領域 C には、低気圧の寒冷前線に対応する雲バンドの中に積乱雲を含む対流雲域がみられる。」は正しい!

(d)雲頂高度低めの対流雲

Dは可視画像で明るいく輪郭がはっきりし、赤外画像で暗めなので、雲頂高度がそれほど高くない対流雲だとわかります。

形状はクローズドセル。で、やや筋っぽい部分もあり。

そして低気圧の後面だし(d)の「領域 D には、寒気の吹き出しに伴う筋状雲やクローズドセルがみられる。」は正しいと思います。

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