学科専門~過去問私的解説&ヒント~第57回気象予報士試験

問9:気象衛星観測

問題文

次ページの図は、前線を伴う発達した低気圧が本州付近を通過している3月のある日の12時の気象衛星画像(赤外画像(上),可視画像(下))である。破線で示した領域について述べた文(a)〜(d)の正誤について、下記の①〜⑤の中から正しいものを1つ選べ。

(a)領域 A には、オホーツク海の海面で冷やされて発生した海霧が広く分布している。

(b)領域 B には、薄い巻雲の下に霧または下層雲が分布している。

(c)領域 C には、低気圧の寒冷前線に対応する雲バンドの中に積乱雲を含む対流雲域がみられる。

(d)領域 D には、寒気の吹き出しに伴う筋状雲やクローズドセルがみられる。

① (a)のみ誤り
② (b)のみ誤り
③ (c)のみ誤り
④ (d)のみ誤り
⑤  すべて正しい

① (a)のみ誤り

(a)海氷

オホーツク海にあるAは赤外画像では下層の層雲のように見えるので、霧?とも思いましたが、可視画像で層雲のようには思えない形をしています。

「層」って感じではないの、わかりますかね?

わりと輪郭(境界)がはっきりしているけど、対流雲とも違い、水の上に油を落として作ったマーブル模様のような形(模様?)です。

さらに3月のオホーツク海ってことも考慮して、これは海氷だと思います。

だから(a)の「領域 A には、オホーツク海の海面で冷やされて発生した海霧が広く分布している。」は誤り!

(b)二重になってる

赤外画像で明灰色、可視画像で積乱雲ほどではないけど明度高めです。

ということは、雲頂高度はほどほどだけど、厚みがそこそこある…

おまけに赤外画像と可視画像で形が違います。

ということは雲が二重になっている可能性があるので(b)の「領域 B には、薄い巻雲の下に霧または下層雲が分布している。」は正しい!

(c)赤外・可視ともに明度高い雲

赤外画像でも可視画像でも明度の高いCの雲は、形から見ても温帯低気圧の寒冷前線に沿って発達した積乱雲を含んでいる雲域です。

だから(c)の「領域 C には、低気圧の寒冷前線に対応する雲バンドの中に積乱雲を含む対流雲域がみられる。」は正しい!

(d)雲頂高度低めの対流雲

Dは可視画像で明るいく輪郭がはっきりし、赤外画像で暗めなので、雲頂高度がそれほど高くない対流雲だとわかります。

形状はクローズドセル。で、やや筋っぽい部分もあり。

そして低気圧の後面だし(d)の「領域 D には、寒気の吹き出しに伴う筋状雲やクローズドセルがみられる。」は正しいと思います。

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