学科専門~過去問私的解説&ヒント~第57回気象予報士試験

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問10:台風

問題文

台風について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)台風が発生するのは、主に海面水温が26〜27℃以上の海域で、特に北緯5°以南の赤道付近では平均的な発生数が多い。

(b)発生したばかりの台風では眼ははっきりしないが、眼ができ始めるところから、中心気圧は急速に低下していくことが多い。

(c)台風の中心に近い領域では、地表面摩擦の影響により、地表面(海面)近くで中心に吹き込む気流が生じ、その収束による上昇流が複数の積乱雲を組織化して壁雲を形成している。

(d)台風の発達期において、積乱雲が上昇流を維持し続けるためには、水平風の鉛直シアーが強い必要があることから、水平風の鉛直シアーが強いほど台風が発達しやすい。

③ (a)誤,(b)正,(c)正,(d)誤

(a)コリオリの力も必要

台風発生の主な条件として、海面水温26 ~ 27℃以上ってのはその通りなんですが、赤道に近すぎるとコリオリの力が小さくなるので台風は発生しにくいんです。

だから(a)の「台風が発生するのは、主に海面水温が26〜27℃以上の海域で、特に北緯5°以南の赤道付近では平均的な発生数が多い。」は誤り!

(b)台風の眼

(b)の「発生したばかりの台風では眼ははっきりしないが、眼ができ始めるところから、中心気圧は急速に低下していくことが多い。」はその通り。正しい!

はれの
はれの

台風の眼は小さくハッキリしているほど、中心付近の風速は強くなりますね。

(c)渦から生まれる

一般気象学にも書かれていますが、渦運動が地表面摩擦による収束を生み、収束が上昇流を生み、上昇流が積乱雲群を発達させます。

だから(c)の「台風の中心に近い領域では、地表面摩擦の影響により、地表面(海面)近くで中心に吹き込む気流が生じ、その収束による上昇流が複数の積乱雲を組織化して壁雲を形成している。」は正しい!

(d)水平風の鉛直シアーと台風

水平風の鉛直シアーが強い」というのは、水平方向の風(普段私たちが感じてる横向きの風)が地上と上空で差が大きいことを意味します。

はれの
はれの

台風の発達条件の一つに、この水平風の鉛直シアが小さいことってのがあります。

上空ほど強い風が吹いてたら、台風の渦ができずに水平方向に形が崩れるってイメージしてOKだと思います。

つまり「水平風の鉛直シアーが強い」という環境は、台風の発達を妨げるので(d)の「台風の発達期において、積乱雲が上昇流を維持し続けるためには、水平風の鉛直シアーが強い必要があることから、水平風の鉛直シアーが強いほど台風が発達しやすい。」は誤り!

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