学科専門~過去問私的解説&ヒント~第57回気象予報士試験

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問6:大気海洋結合モデル

問題文

気象庁で運用している大気海洋結合モデルについて述べた次の文(a)〜(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)予報期間が1ヶ月を超える予報では、エルニーニョ・ラニーニャ現象のような海洋の変動と大気の変動を併せて予測し、大気と海洋の間の相互作用を考慮することが必要であるため、大気海洋結合モデルを用いている

(b)大気のみのモデルで数日を超える予報を行う場合、「アンサンブル予報」という手法を用いるが、大気海洋結合モデルを用いると、海洋と大気が相互に及ぼし合う影響を取り込むことにより、単一の初期値でも精度の良い予報を得ることができるため、アンサンブル予報の手法は用いていない

(c)大気海洋結合モデルでは、熱帯の海洋による大気への影響を特に詳細に計算することで予報の精度を上げている。一方、全体の計算量が増えないよう、北極域や南極域は予報領域に含まれていない

③ (a)正,(b)誤,(c)誤

(a)1ヶ月を超える予報は海洋の影響も考慮

(a)の「予報期間が1ヶ月を超える予報では、エルニーニョ・ラニーニャ現象のような海洋の変動と大気の変動を併せて予測し、大気と海洋の間の相互作用を考慮することが必要であるため、大気海洋結合モデルを用いている。」はその通り。

ちなみに1ヶ月先までは「大気モデル」を用います。

  • 1か月先までの予報→大気モデル
  • 1か月を超える予報→大気モデル+海洋モデル(大気海洋結合モデル)

(b)季節アンサンブル予報システム

大気海洋結合モデルが利用されているのは、季節アンサンブル予報システムです。

また大気海洋結合モデルを用いたとしても、初期値の誤差が時間とともに増大するのを防げないので、アンサンブル予報を行う必要があるのです。

だから(b)の「大気のみのモデルで数日を超える予報を行う場合、「アンサンブル予報」という手法を用いるが、大気海洋結合モデルを用いると、海洋と大気が相互に及ぼし合う影響を取り込むことにより、単一の初期値でも精度の良い予報を得ることができるため、アンサンブル予報の手法は用いていない。」は誤り!

(c)予報領域

大気も海洋もつながっています。

大気海洋結合モデルは温暖化の予測にも利用されるし、っっっっっっっっっっっっっっっh北極域や南極域を無視するなんてあり得ませんよね。

だから(c)の「大気海洋結合モデルでは、熱帯の海洋による大気への影響を特に詳細に計算することで予報の精度を上げている。一方、全体の計算量が増えないよう、北極域や南極域は予報領域に含まれていない。」は誤りでしょう!

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