学科専門~過去問私的解説&ヒント~第57回気象予報士試験

問14:流域雨量指数

問題文

気象庁が作成している流域雨量指数について述べた次の文(a)〜(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)流域雨量指数とは、河川の上流域に降った雨により、対象地点の洪水リスクがどの程度高まるかを把握するための指標で、洪水警報の「危険度分布」に用いられている

(b)流域雨量指数は、降った雨が地表面や地中を通って河川に流れ出す量をタンクモデルで計算し、河川を流下する量を運動方程式を用いて計算したもので、降った雨が時間をかけて河川に流れ出し、対象地点に流下するまでの時間差を表現することができる

(c)現在の洪水警報・洪水注意報の発表基準の気象要素には、流域雨量指数が用いられており、雨量は用いられていない。基準値は過去の洪水災害発生時の流域雨量指数の値をもとに設定されており、流域雨量指数の実況地や予測値とこの基準値を比較することにより、洪水リスクの高まりを把握することができる

① (a)正,(b)正,(c)正

(a)定義

流域雨量指数は洪水による災害発生の危険性を把握するための指標で、洪水注意報・警報に用いられています。

だから(a)の「流域雨量指数とは、河川の上流域に降った雨により、対象地点の洪水リスクがどの程度高まるかを把握するための指標で、洪水警報の「危険度分布」に用いられている。」は正しい!

(b)雨が降ってから河川に流れだす時間差

洪水の危険度は、降雨の状況やその地域の形状によっても変わります。

流域雨量指数はタンクモデルで計算した後、運動方程式や連続の式を使って河川を流れる量も計算します。

この方法は対象地点に流下するまでの時間差も表現できるので、(b)の「流域雨量指数は、降った雨が地表面や地中を通って河川に流れ出す量をタンクモデルで計算し、河川を流下する量を運動方程式を用いて計算したもので、降った雨が時間をかけて河川に流れ出し、対象地点に流下するまでの時間差を表現することができる。」は正しい!

(c)洪水リスクの高まりを把握

流域雨量指数が登場する以前は、洪水警報・注意報の基準に雨量を用いていましたが、現在は雨量を用いず、流域雨量指数・土壌雨量指数を導入しています。

また洪水警報・注意報の基準値は、過去に洪水災害が発生した時の流域雨量指数値から設定されています。

加えて流域雨量指数の現在の値と予測される値と、過去の災害時の値を比較し、洪水リスクを把握することができます。

だから(c)の「現在の洪水警報・洪水注意報の発表基準の気象要素には、流域雨量指数が用いられており、雨量は用いられていない。基準値は過去の洪水災害発生時の流域雨量指数の値をもとに設定されており、流域雨量指数の実況地や予測値とこの基準値を比較することにより、洪水リスクの高まりを把握することができる。」は正しい!

はれの
はれの

気象庁の解説ページがわかりやすいですよ〜

▶︎気象庁「流域雨量指数」

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