目次
問7:渦度
絶対渦度の保存について述べた次の文章の空欄(a)〜(c)に入る数値及び語句の組み合わせとして適切なものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。ただし、渦度はその鉛直成分を指し、緯度φにある空気塊の地球の自転による渦度は 1.46 × 10-4sinφ /s、sin30°=0.5である。
一般に、地球上の空気塊の絶対渦度は、地球の自転による渦度と相対渦度の和で表され、粘性や水平収束・発散がなければ近似的に保存される。北極点にある10km四方の領域内の空気塊を考え、その周りの風の分布が図のように与えられているとする。この領域の中では空気塊の相対渦度が一様とすると、空気塊の相対渦度は(a)である。また、この空気塊が絶対渦度を保存したまま北緯30°まで南下したとき、空気塊の相対渦度は約(b)とする。すなわち空気塊の相対渦度は北緯30°に南下すると(c)ことがわかる。


④ (a)2.0 × 10-4/s,(b)2.7 × 10-4/s,(c)強まる

絶対渦度とは、惑星渦度と相対渦度を足したものです。
(a)は渦度の計算式で計算すれば、すぐわかります。


(a)は 「 2.0 × 10-4/s 」
なので、①と②の可能性はなくなりました。
惑星渦度は、問題文より「 1.46 × 10-4sinφ /s、sin30°=0.5 」なので
北極点では
1.46 × 10-4sinφ /s = 1.46 × 10-4/s
北緯30°では
1.46 × 10-4sinφ /s = 0.73 × 10-4 /s
絶対渦度 = 惑星渦度 + 相対渦度
で、絶対渦度は保存されるので・・・
北極での(惑星渦度+相対渦度)= 緯度30°での(惑星渦度+相対渦度)
ということは
2.0 × 10-4/s + 1.46 × 10-4/s = 0.73 × 10-4/s + 緯度30°での相対渦度
緯度30°での相対渦度 = 2.0 × 10-4/s + 1.46 × 10-4/s – 0.73 × 10-4/s
= 2.73 × 10-4/s
だから(b)「 2.7 × 10-4/s 」となり、相対渦度は北緯30°まで南下すると(c)「 強まる 」ことがわかります。
よって、答えは④に決まり!

問8:温帯低気圧
温帯低気圧について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a)発達中の温帯低気圧では、極向きに熱が輸送されており、気圧の谷の軸は上空ほど東に傾いている。
(b)発達中の温帯低気圧では、暖かい空気が上昇し、冷たい空気が下降することに伴い、環境場の有効位置エネルギーが増加している。
(c)発達しきった最盛期の温帯低気圧の上空では、対流圏界面が周囲より高くなっている。

⑤ (a)誤,(b)誤,(c)誤
発達中の温帯低気圧は、極向きに熱を輸送しているのはその通りですが・・・
気圧の谷の軸は上空ほど西に傾いています。
だから(a)の「発達中の温帯低気圧では、極向きに熱が輸送されており、気圧の谷の軸は上空ほど東に傾いている。」は誤り。
発達中の温帯低気圧は、暖かい空気が上昇し、冷たい空気が下降することに伴い、位置エネルギーを運動エネルギーに変換しています。
だから(b)の「発達中の温帯低気圧では、暖かい空気が上昇し、冷たい空気が下降することに伴い、環境場の有効位置エネルギーが増加している。」は誤り。
最盛期の温帯低気圧の上空では、周囲より気圧が低くなっているので、対流圏界面が周囲より低くなりますよね。
だから(c)の「発達しきった最盛期の温帯低気圧の上空では、対流圏界面が周囲より高くなっている。」は誤り。

これはサービス問題だったかな?

問9:ガストフロント
ガストフロントについて述べた次の文章の下線部(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
発達した積乱雲の中で降水を伴う下降流が生じ、地表面まで達すると外出流となって周囲に広がっていくことがある。ガストフロントは(a)この外出流の先端が周囲の空気と衝突する部分に形成される。ガストフロントに沿って地表では突風が吹くことがあり、また、アーク雲と呼ばれる雲が発生することがある。ガストフロントの通過とともに地表では(b)気圧が下降する。積乱雲直下からのガストフロントの到達距離は(c)最大で3km程度である。

③ (a)正,(b)誤,(c)誤
問題文の通りです。
ガストフロントは発達した積乱雲の中で生じた冷気が下降流となります。
下降流は地表面にぶつかった後、水平方向に広がり、その先端が周囲の空気とぶつかる部分が「ガストフロント」なのです。

ちなみにアーク雲は、ガストフロントによって持ち上げられた(相対的な)暖気によって形成され、上空から見たら弧のような形状になる雲のことです。


あなたは理解されてるとは思いますが、アークの形は状況によりオリジナルな形になります。(下の動画を参照してください。)
ガストフロントは冷気による突風なので、気圧は下がるのではなく、上がると想像できます。
「一般気象学」によると、最大で4hPa上昇した記録があるようです。
ガストフロントは発生位置より数十km先まで到達することがあります。
「最大で3km」は短すぎですね。

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