学科専門~過去問私的解説&ヒント~第58回気象予報士試験

問7:降水短時間予報

問題文

気象庁が発表している降水短時間予報について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)降水短時間予報は、1時間降水量を、6時間先までの予測では10分間隔で発表し、7時間先から15時間先までの予測では1時間間隔で発表している。

(b)降水短時間予報の6時間先までの予測には、気象レーダー観測のエコー強度データを直接用いており、解析雨量は利用していない。

(c)降水短時間予報の6時間先までの予測では、数値予報モデルによる予測結果は用いていない。

(d)降水短時間予報の7時間先から15時間先までの予測では、メソモデルの予測結果を用いて降水を予測しているが、局地モデルの予測結果は用いていない。

③ (a)正,(b)誤,(c)誤,(d)誤

(a)発表時間の間隔

(a)の「降水短時間予報は、1時間降水量を、6時間先までの予測では10分間隔で発表し、7時間先から15時間先までの予測では1時間間隔で発表している。」は、その通りです。

気象庁の解説ページに全く同じ内容が書かれています。

(b)6時間先までの予測

降水短時間予報の予測には、気象レーダー観測のエコー強度データを直接用いているのではなく、解析雨量を用いています。

解析雨量は、気象レーダーと雨量計の観測データを組み合わせ、降水量分布を1km四方の細かさで解析したものです。

だから(b)の「降水短時間予報の6時間先までの予測には、気象レーダー観測のエコー強度データを直接用いており、解析雨量は利用していない。」は誤り。

問題文では「6時間先までの予測には」と限定していますが・・・

はれの
はれの

7時間先からの予測に用いるメソモデルと局地モデルでも、初期値に解析雨量を使われてるはずですよ。

(c)降水短時間予報とモデル

6時間先までの降水短時間予報は、初期時刻に近い時刻の予報ほど、実況からの補外型で予測しています。

でも時間の経過と共に実況からの補外型の予想だけでは予測精度が落ちていくんです。

はれの
はれの

この予測制度を保つために、徐々に数値予報の結果も加味しながら予測していきます。

だから(c)の「降水短時間予報の6時間先までの予測では、数値予報モデルによる予測結果は用いていない。」は誤り!

(d)7時間先から15時間先までの予測

降水短時間予報の7時間先から15時間先までの予測では、メソモデルと局地モデルを用いています。

だから(d)の「降水短時間予報の7時間先から15時間先までの予測では、メソモデルの予測結果を用いて降水を予測しているが、局地モデルの予測結果は用いていない。」は誤り!

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問8:日本周辺の高気圧

問題文

日本周辺に現れる高気圧について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)冬にシベリア付近に現れるシベリア高気圧は、対流圏の下層から上層まで寒冷な空気で満たされた、背の高い高気圧である。

(b)春や秋に日本付近を西から東に通過する移動性高気圧は、高気圧の中心の西側では上・中層雲が広がっていることがしばしばある。

(c)初夏にオホーツク海付近に現れるオホーツク海高気圧は、下層に低温・湿潤な気団を伴った停滞性の高気圧であるが、上空にはブロッキング高気圧が存在することが多く、通常、このブロッキング高気圧の中心付近は周辺と比べて高温になっている。

④ (a)誤, (b)正, (c)正

(a)シベリア高気圧

寒いシベリアの大地では、地上付近で冷えた空気の密度が高くなり、高気圧となります。

これがシベリア高気圧。

つまり、対流圏下層で生まれる背が低い高気圧です。

だから(a)は「冬にシベリア付近に現れるシベリア高気圧は、対流圏の下層から上層まで寒冷な空気で満たされた、背の高い高気圧である。」は誤り。

(b)移動性高気圧

「上・中層雲が広がっている」というのは温帯低気圧により、徐々に天気が崩れようとしている…ということを示しているのでしょう。

移動性高気圧は傾圧不安定波のリッジに対応しています。

そしてリッジの西側にはトラフがあり、そのトラフに対応して温帯低気圧が発生しています。

だから(b)の「春や秋に日本付近を西から東に通過する移動性高気圧は、高気圧の中心の西側では上・中層雲が広がっていることがしばしばある。」は、正しい。

(c)オホーツク海高気圧

オホーツク海高気圧は、陸と海の影響により発生し、下層が低温・湿潤なのはその通り。

停滞性の高気圧なのも、その通り。

上空にブロッキング高気圧が存在することが多いのもその通り。

また、ブロッキング高気圧は上空のジェット気流のリッジ部分に発生するため、周辺より高温になりますね。

以上のことから(c)の「初夏にオホーツク海付近に現れるオホーツク海高気圧は、下層に低温・湿潤な気団を伴った停滞性の高気圧であるが、上空にはブロッキング高気圧が存在することが多く、通常、このブロッキング高気圧の中心付近は周辺と比べて高温になっている。」は正しい。

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問9:積乱雲

問題文

日本付近で発生する積乱雲について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)成長期において積乱雲が上方にのびていくとき、積乱雲の内部はほぼ上昇流となっており、雲の中の温度はまわりより高くなっている。

(b)積乱雲が成熟期に入り、積乱雲の中に下降流ができると、下降流域の地表面付近では冷気プールが形成され、局所的な高気圧が見られることがある。

(c)夏季に地表付近が高温となることにより発達する積乱雲では、降水過程に氷粒子が関わらない「暖かい雨」であることが多い。

(d)積乱雲の雲頂が大流圏界面に到達すると、積乱雲の雲頂からの流出流と上空の一般風との収束により、かなとこ雲を形成する巻雲は主に風上側に広がる。

② (a)正, (b)正, (c)誤, (d)誤

(a)成長期

成長期の積乱雲は、雲の中はすべて上昇流で温度は周りより高いです。

だから(a)の「成長期において積乱雲が上方にのびていくとき、積乱雲の内部はほぼ上昇流となっており、雲の中の温度はまわりより高くなっている。」は、正しい。

(b)成熟期

成熟期の積乱雲では、こんなこと↓が起きています。

雲の中で水や氷の粒子(降水)が落下し始める。
水や氷の粒子(降水)が周囲の空気を引きずりながら落下。

下降流の発生

下降しながら氷粒子が融解し、さらに周囲の空気を冷やす。

下降流が強まる

雨粒がさらに落下して雲底を離れる。
未飽和な雲底下で、雨粒が蒸発し、周囲の空気を冷やす。
冷気プールの形成

冷気プールは周囲より気温が低いため、気圧が高くなる。

だから(b)の「積乱雲が成熟期に入り、積乱雲の中に下降流ができると、下降流域の地表面付近では冷気プールが形成され、局所的な高気圧が見られることがある。」は、正しい!

(c)暖かい雨

夏でも積乱雲の中では氷粒子が形成されます。

雷は氷粒子がぶつかり合ってできる静電気ですしね。

他に、夏でも雹が降ることありますよね。

だから(c)の「夏季に地表付近が高温となることにより発達する積乱雲では、降水過程に氷粒子が関わらない「暖かい雨」であることが多い。」は、誤り。

「暖かい雨」は、雲の中が氷点下にならないような条件でないと降らないはずだから・・・熱帯域の積雲からの雨かな。

はれの
はれの

熱帯地域で毎日軽く(?)降る雨は、暖かい雨だと思います。

旅行で行った時、本当に毎日降るから感動しましたw

(d)かなとこ雲

かなとこ雲は積乱雲が圏界面まで成長し、上層の風の風下側に流れ出して形成されます。

だから(d)の「積乱雲の雲頂が大流圏界面に到達すると、積乱雲の雲頂からの流出流と上空の一般風との収束により、かなとこ雲を形成する巻雲は主に風上側に広がる。」は、誤りです。

風上側にできる雲は、マルチセルとかだよね。

ここに書いてあるよ

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