学科専門~過去問私的解説&ヒント~第58回気象予報士試験

問4:メソスケールの数値予報

問題文

強い降水を伴うメソスケール現象を対象とする数値予報について述べた次の文章の空欄(a)〜(d)に入る語句または数値の組み合わせとして最も適切なものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

数値予報モデルを用いてメソスケールの現象による強い降水の予測精度を向上させるために、数値予報モデルの格子間隔を(a)とともに、(b)方程式系が用いられている。

数値予報モデルで表現できる現象のスケールは、モデルの格子間隔の(c)倍以上であることから、水平格子間隔が(d)kmの数値予報モデルの場合、予測対象とするのは局地的な低気圧や組織化された積乱雲群およびそれより大きなスケールの現象である。

② (a)小さくする,(b)非静力学, (c)5 ~ 8, (d)5

メソスケール現象の予測精度を向上させるためなんだから、(a)は「大きくする」わけないので④と⑤は除外。

メソスケール現象を対象とする数値予報で用いる方程式は「非静力学方程式」なので、③も除外。

数値予報で表現できる現象のスケールは、モデルの格子間隔の 5 ~ 8 倍以上なので、①も除外。

だから答えは②。

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問5:パラメタリゼーション

問題文

気象庁が行っている数値予報のパラメタリゼーションについて述べられた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)パラメタリゼーションは、数値予報モデルの格子スケールより小さい現象が格子点の物理量に影響する効果を見積もって、格子点の物理量に反映させることをいう。

(b)数値予報モデルでは、すべての予報対象期間について格子点の気象要素の値が出力された後から、パラメタリゼーションを用いて小さいスケールの現象の効果を格子点の値に反映している。

(c)メソモデルでは、大気境界層における乱流による運動量や熱の輸送の効果については、パラメタリゼーションを用いていない。

(d)積雲対流パラメタリゼーションは、全球モデルに用いられているが、メソモデルには用いられていない。

③ (a)正,(b)誤, (c)誤, (d)誤

(a)パラメタリゼーションとは

「パラメタリゼーションは、数値予報モデルの格子スケールより小さい現象が格子点の物理量に影響する効果を見積もって、格子点の物理量に反映させることをいう。」はその通り。正しい。

(b)パラメタリゼーションを用いるタイミング

スケールの小さな現象からなる物理効果を計算に取り込み、格子点の値を出力します。

つまり、「パラメタリゼーションを用いる」のは、格子点の値を出力する前ということになります。

だから(b)の「数値予報モデルでは、すべての予報対象期間について格子点の気象要素の値が出力された後から、パラメタリゼーションを用いて小さいスケールの現象の効果を格子点の値に反映している。」は、誤り。

(c)パラメタリゼーションで見積もられていること

(c)の「メソモデルでは、大気境界層における乱流による運動量や熱の輸送の効果については、パラメタリゼーションを用いていない。」は誤り。

大気境界層における乱流による運動量→見積もられています。

熱の輸送の効果について→見積もられています。

(d)積雲対流パラメタリゼーション

(d)の「積雲対流パラメタリゼーションは、全球モデルに用いられているが、メソモデルには用いられていない。」は誤り。

積雲対流はスケールが小さい擾乱なので、メソモデルでも表現できません。

だからパラメタリゼーションとして見積もられているので、「メソモデルには用いられていない。」が違います。

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問6:数値予報の誤差の低減

問題文

気象庁の天気予報ガイダンスによる数値予報の誤差の低減について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)気温ガイダンスにより、寒冷前線の通過のタイミングが数値予報モデルの予想と異なることによって生じる気温の予測誤差を低減することが期待できる。

(b)降水量ガイダンスにより、数値予報モデルに組み込まれている地形と実際の地形の違いによって生じるモデルの降水量の予測誤差を低減することが期待できる。

(c)風ガイダンスにより、数値予報モデルの風速の予測誤差を低減することはできるが、風向の予測誤差を低減することは困難である。

⑤ (a)誤, (b)正, (c)誤

(a)前線の予測位置の誤差

前線通過のタイミングが予想と異なるってことは、予測の位置と実況の位置が違ったってことですよね。

これはランダム誤差にあたり、残念ながらガイダンスでは修正できません。

だから(a)の「気温ガイダンスにより、寒冷前線の通過のタイミングが数値予報モデルの予想と異なることによって生じる気温の予測誤差を低減することが期待できる。」は誤り。

(b)降水量の予測誤差

モデルと実際の地形の違いによる誤差は「系統的誤差」といって、毎回同じような誤差が生じるわけなので、誤差の低減はできますね。

だから(b)の「降水量ガイダンスにより、数値予報モデルに組み込まれている地形と実際の地形の違いによって生じるモデルの降水量の予測誤差を低減することが期待できる」は正しい。

(c)風向の予測誤差

風についてもモデルと実際の地形により誤差が生じます。

この誤差は風速だけではなく風向も含まれますが、結局地形による誤差であり、系統的誤差です。

系統的誤差なので、予測誤差は適切に補正されます。

だから(c)の「風ガイダンスにより、数値予報モデルの風速の予測誤差を低減することはできるが、風向の予測誤差を低減することは困難である。」は誤り!

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