学科一般~過去問私的解説&ヒント~第52回気象予報士試験

6:傾度風について問う!

問題文

北半球中緯度の自由大気中における低気圧周辺の傾度風と地衡風について述べた次の 文章の下線部(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1〜5の中から 一つ選べ。ただし,コリオリパラメーターと空気密度は低気圧周辺で一定とする。

等圧線が等間隔で低気圧の中心の周りを同心円状に囲んでいる場合を考える。この 低気圧周辺のある地点における傾度風の風向は (a)等圧線に沿った方向である。一方, その風速は,同じ地点における地衡風に比べて (b)大きい。また,傾度風の風速は, 低気圧の中心から離れるにしたがって (c)小さくなる。

傾度風は理論上、等圧線に沿って吹く風なので、(a)は〇!

地衡風と違って曲線になっている等圧線沿いに吹く傾度風には、気圧傾度力プラス遠心力も働きます。

はれの
はれの

低気圧の場合は、気圧傾度力と遠心力は逆向きなので、地衡風より風速が弱まりますね!

つまり同じ地点における地衡風に比べて、傾度風の方が小さくなるので(b)は間違い。

(c)の「低気圧の中心から離れると傾度風の風速は・・・?」について。

傾度風は

  • 気圧傾度力
  • 遠心力

で風速が決まります。

低気圧の傾度風の風速は、この計算↓

風速=気圧傾度力ー遠心力

で、遠心力ってこんな数式で計算します。↓

遠心力は円の半径に反比例するので、低気圧の中心からの距離との関係を考えると・・・

  • 低気圧の中心から近い=rが小さい遠心力は大きくなる
  • 低気圧の中心から遠い=rが大きい遠心力は小さくなる

ということになります。

じゃあ、傾度風はどうなるかというと…

  • 低気圧の中心から近い=rが小さい
    遠心力は大きくなる
    低気圧の傾度風は小さくなる。
  • 低気圧の中心から遠い=rが大きい
    遠心力は小さくなる
    低気圧の傾度風は大きくなる。

というわけで、(c)は「傾度風の風速は、低気圧の中心から離れるにしたがって大きくなる」ので間違い!

だから答えは③ですね。

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