学科専門~過去問私的解説&考察~第63回気象予報士試験・問6

6:メソアンサンブル予報システムから作成したガイダンス

気象庁のメソアンサンブル予報システムから作成したガイダンスについて述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a)メソアンサンブル予報システムの各メンバーから作成した降水量ガイダンスのアンサンブル平均は、各メンバーの予測値が平化されるため、一般に、強雨の分布や最大降水量を捉えるのには適していない

(b)降水量や発雷確率のガイダンスにおいて、メソアンサンブル予報システムの各メンバーから作成したガイダンスの最大値(アンサンブル最大)は、単独のメソモデルから作成したガイダンスと比べて、顕著現象の捕捉率が高く、顕著現象の可能性を把握する上で有用である

(c) メソアンサンブル予報システムの各メンバーから作成した風ガイダンスのアンサンブル平均は、一般に、単独のメソモデルから作成した風ガイダンスより予測精度が低い

② (a)正, (b)正, (c)誤

(a)強雨の分布

アンサンブル平均は、複数の予測値の平均を取ることで、予測の不確実性を考慮し、より安定した予測を得るための手法です。

しかし、平均化の過程で、個々のメンバーが予測した極端な値(強い降水など)が平滑化されてしまうため、強雨の分布やピークを捉えるには不向きです。

よって(a)メソアンサンブル予報システムの各メンバーから作成した降水量ガイダンスのアンサンブル平均は、各メンバーの予測値が平化されるため、一般に、強雨の分布や最大降水量を捉えるのには適していない。」は正しい!

(b)顕著現象の捕捉率

アンサンブル最大については単一の予測結果と比較して捕捉率が高く、顕著現象のポテンシャルを把握する上で有効な資料の 1 つとなると考えられます。

よって(b)の「降水量や発雷確率のガイダンスにおいて、メソアンサンブル予報システムの各メンバーから作成したガイダンスの最大値(アンサンブル最大)は、単独のメソモデルから作成したガイダンスと比べて、顕著現象の捕捉率が高く、顕著現象の可能性を把握する上で有用である。」は正しい!

はれの
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ただし、空振り率が高い点には十分に留意が必要。

(c)単独のメソモデルとの比較

アンサンブル平均は、複数の予測結果を統合することで、予測の不確実性を考慮した、より信頼性の高い予測をすることができます。

気象庁の資料などでも、アンサンブル平均はランダム誤差を軽減する効果があるため、単独のメソモデルより精度を上回る傾向がみられるとされています。

よって(c)の「メソアンサンブル予報システムの各メンバーから作成した風ガイダンスのアンサンブル平均は、一般に、単独のメソモデルから作成した風ガイダンスより予測精度が低い。」は誤り!

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