学科専門~過去問私的解説&考察~第63回気象予報士試験・問7

問7:解析積雪深・降雪短時間予報

気象庁が発表している解析積雪深・降雪短時間予報について述べた次の文(a)~(d)の下線部の正誤について、下記の①~⑤の中から正しいものを1つ選べ。

(a) 解析積雪深は、解析雨量や数値予報モデルの気温や日射量などを積雪変質モデル(約1km格子)に与えて積雪の深さを推定し、その値をアメダスの積雪深計の観測値により補正した上で、約5km四方の平均的な値として作成されている

(b) 解析積雪深は、雪が風に流され移動する効果を考慮していないため、風が強い場合は解析の精度が低下する可能性がある

(c)降雪短時間予報における1時間降雪量は、降水短時間予報の予測値などを入力値とし積雪変質モデルを用いて得られた積雪の深さの1時間毎の増加量を表しており、減少が予測される場合は0となる

(d)降雪短時間予報は、主に地上気温・湿度により雨雪の判別を行っているため、数値予報モデルで地上よりも少し高い百mから1000m程度の高度に、地上より暖かい空気が予想されている場合は、予測の精度が低下する可能性がある

① (a)のみ誤り

② (b)のみ誤り

③ (c)のみ誤り

④ (d)のみ誤り

⑤ すべて正しい

⑤ すべて正しい

「解析なんちゃら」とか「短時間なんちゃら」とか混乱しちゃうので、とりあえず整理します!

解析積雪深・解析降雪量・降雪短時間予報

では・・・いざ問題文へ!

(a)アメダスで補正

解析積雪深は、数値予報の値を値をアメダスの値で補正して作成されます。

はれの
はれの

解析雨量の積雪版ですね。

※気象庁ホームページの「今後の雪(降雪短時間予報)」で見ることができます。

予報される格子間隔などは以下の表の通りです。

メッシュ間隔内容
解析積雪深
解析降雪量
約5km四方1時間ごと積雪の深さと降雪量の実況

よって、(a)の「解析積雪深は、解析雨量や数値予報モデルの気温や日射量などを積雪変質モデル(約1km格子)に与えて積雪の深さを推定し、その値をアメダスの積雪深計の観測値により補正した上で、約5km四方の平均的な値として作成されている。」は正しい!

(b)風と精度の関係

解析積雪深は、風が強い場合、解析・予報の精度が低下する可能性があります。

はれの
はれの

雪が風で流されて、実際の値と解析値の差が大きくなるんです。

よって(b)の「解析積雪深は、雪が風に流され移動する効果を考慮していないため、風が強い場合は解析の精度が低下する可能性がある。」は正しい!

(c)積雪の深さ

降雪短時間予報は、1〜6時間先の降雪短時間予報を1時間間隔で発表します。

メッシュ間隔予報の内容
降雪短時間予報約5km四方1時間ごと積雪の深さと降雪量

降雪量は積雪の深さの1時間毎の増加量を表し、減少が予測される場合は0となります

よって(c)の「降雪短時間予報における1時間降雪量は、降水短時間予報の予測値などを入力値とし積雪変質モデルを用いて得られた積雪の深さの1時間毎の増加量を表しており、減少が予測される場合は0となる。」は正しい。

(d)上空の気温と予測の精度

降雪短時間予報は、上空に温かい空気が入っている場合、解析・予報の精度が低下する可能性があります。

はれの
はれの

上空で雪がとけてしまうため、予測が難しいのです。

よって(d)の「降雪短時間予報は、主に地上気温・湿度により雨雪の判別を行っているため、数値予報モデルで地上よりも少し高い百mから1000m程度の高度に、地上より暖かい空気が予想されている場合は、予測の精度が低下する可能性がある。」は正しい!

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