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問6:傾度風について問う!
北半球中緯度の自由大気中における低気圧周辺の傾度風と地衡風について述べた次の 文章の下線部(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1〜5の中から 一つ選べ。ただし,コリオリパラメーターと空気密度は低気圧周辺で一定とする。
等圧線が等間隔で低気圧の中心の周りを同心円状に囲んでいる場合を考える。この 低気圧周辺のある地点における傾度風の風向は (a)等圧線に沿った方向である。一方, その風速は,同じ地点における地衡風に比べて (b)大きい。また,傾度風の風速は, 低気圧の中心から離れるにしたがって (c)小さくなる。
傾度風は理論上、等圧線に沿って吹く風なので、(a)は〇!
地衡風と違って曲線になっている等圧線沿いに吹く傾度風には、気圧傾度力プラス遠心力も働きます。
低気圧の場合は、気圧傾度力と遠心力は逆向きなので、地衡風より風速が弱まりますね!
つまり同じ地点における地衡風に比べて、傾度風の方が小さくなるので(b)は間違い。
(c)の「低気圧の中心から離れると傾度風の風速は・・・?」について。
傾度風は
- 気圧傾度力
- 遠心力
で風速が決まります。
低気圧の傾度風の風速は、この計算↓
風速=気圧傾度力ー遠心力
で、遠心力ってこんな数式で計算します。↓
遠心力は円の半径に反比例するので、低気圧の中心からの距離との関係を考えると・・・
- 低気圧の中心から近い=rが小さい遠心力は大きくなる
- 低気圧の中心から遠い=rが大きい遠心力は小さくなる
ということになります。
じゃあ、傾度風はどうなるかというと…
- 低気圧の中心から近い=rが小さい
遠心力は大きくなる
低気圧の傾度風は小さくなる。 - 低気圧の中心から遠い=rが大きい
遠心力は小さくなる
低気圧の傾度風は大きくなる。
というわけで、(c)は「傾度風の風速は、低気圧の中心から離れるにしたがって大きくなる」ので間違い!
だから答えは③ですね。
問7:温度風のベクトルをマスターしてるか?!
下図は静力学平衡と地衡風平衡が成り立つ北半球中緯度の大気における850hPa 等圧面 の等高度線図であり,南の方が高度が高い。一方,500hPa 等圧面では,全域で同じ風速の 南風が吹いている。このとき,次の文(a)~(d)の正誤について,下記の1~5の中から 正しいものを一つ選べ。ただし,850hPa 等圧面から 500hPa 等圧面にかけての風向の変化 は 180°以内とする。
温度風、ややこしくて脳みそ解けそうですよね。
それと、下層から上層までの風向の変化が
- 時計回りなら暖気移流
- 反時計回りなら寒気移流
という問題も出題頻度高いです!
850hPa 面の風速の絶対値は,南側ほど大きい。
850hPaの等高度線は南側ほど混んでるので、風速の絶対値は南側が大きいですね。
〇!
850hPa面と500hPa面の間の気層の平均気温は、東西方向で比較すると東側ほど高い 。
850hPaと500hPaの間は、下層から上空に反時計回りに風向が変化していて、温度風のベクトルは、だいたいですが「南東から北西」のイメージですよね。
温度風のベクトルの右側に暖気があって、左側に寒気があるので・・・
東側の平均気温が高いってことになります。
だから(b)は〇!
850hPa面と500hPa面の間の気層の平均気温は,南北方向で比較すると北側ほど高い。
今度は850hPaと500hPaの間の南北方向の気温比較問題です!
温度風のベクトルは、だいたいですが「南東から北西」のイメージなので・・・
- 北側が気温が高くて
- 南側が気温が低い
ですね♪
だから(c)も〇!
850hPa 面と 500hPa 面の間の気層では,平均すると暖気移流となっている。
(d)は間違いですね。
850hPaで西風で、500hPaで南風なので、風は上空に向かって反時計回りに変化してます。
ということは、正解は寒気移流です!
問8:サービス問題・大規模な大気現象
この問題はサービス問題なので、時短のためにもサクサク解いてしまいましょう!
(a) 低緯度域のハドレー循環は,主に東西方向に熱を輸送している。→間違い
(b) 発達中の温帯低気圧の東進にともない,対応する気圧の谷の西側では冷たい乾燥した空気が上昇し,東側では暖かい湿った空気が下降する。→間違い
(c) 温帯低気圧は極向きに熱を輸送し,その結果,極と熱帯地方の間の平均的な南北方向 の温度傾度を強化している。→間違い
(a)のハドレー循環は、南北方向に熱を輸送してるので、「東西方向」は間違いです!
(b)の温帯低気圧について。
西側で冷たい乾燥した空気は下降するし、東側で湿った暖かい空気は上昇するし、問題文の記述は間違い!
(c)、温帯低気圧は「南北方向の温度傾向を弱めるために存在してる」わけなので、間違い!
だから答えは⑤ですね!
問9:嵐の将軍・積乱雲について問う!
孤立した積乱雲について述べた次の文章の下線部(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして 正しいものを,下記の1〜5の中から一つ選べ。
条件付不安定の成層状態では,地表面付近の未飽和の湿潤空気塊が何らかの原因で (a)持ち上げ凝結高度→誤より上まで上昇すると,空気塊の温度はいつも周囲の気温より 高いため,空気塊はさらに上昇して雲の成⻑が始まる。
積乱雲が発達して雲内で雨粒や,あられや雪などの氷粒子が形成されるようになると, これらの降水粒子の落下と蒸発・融解により下降流が作り出される。この下降流は (b)降水をもたらした積乱雲へ下層の空気が流入することを妨げ→正,積乱雲は上昇流を 維持できず次第に衰弱する。このような積乱雲の寿命は,(c)2 時間程度→誤である。
嵐の帝王じゃなくて、嵐の将軍・積乱雲についての愛を問われる問題です。
(a)「空気塊の温度がいつも周囲の空気より高い」…これは持ち上げ凝結高度ではなく、「自由対流高度」のことです!
(b)は正しい!
積乱雲で生まれる下降気流は、下層からのエネルギー源となる空気の流入を妨げてしまって、上昇気流が弱くなり・・・積乱雲は次第に衰退していきます。
(c)積乱雲の寿命は30分から1時間。(1時間と覚えてOK)
だから「積乱雲の寿命が2時間」っていうのは間違い!
問10:成層圏の主に気温について
1 月の成層圏に関する次の文(a)〜(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを, 下記の1〜5の中から一つ選べ。
(a) オゾン全量が最も多いのは,赤道周辺である。→誤
(b) 成層圏上部で気温が最も高いのは,南極周辺である。→正
(c) 成層圏上部の北極周辺では,⻄風が卓越する。→正
(a)成層圏の下層には、赤道から極方向に吹く風があります。↓
低緯度で作られたオゾンは、風によって冬極方向に運搬されます。
だから赤道周辺で多いってのは、間違い!
(b)成層圏の上部は、夏極の方が気温が高いです。
1月は南半球が夏なので、南極周辺が一番高温だから〇!
(c)成層圏上部の北極周辺、つまり冬極周辺では、西風が卓越します。〇!
▼問11以降は次のページをご覧ください。