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問9:積乱雲
孤立した積乱雲と複数の積乱雲が組織化したマルチセル型のメソ対流系を比較して述べた次の文章の下線部(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①~⑤の中から1つ選べ。
孤立した積乱雲は,発生から衰弱までの時間が一般的に(a)10分間から20分間程度である。このように寿命が短い主な理由は,積乱雲の発達が進むとともに,積乱雲の内部において(b)降水粒子の荷重や融解・蒸発にともなう冷却により,上昇流が維持できなくなるためである。
組織化されたマルチセル型のメソ対流系は,孤立した積乱雲が発生するときよりも,一般風の鉛直シアーが(c)小さいときに形成されることが多い。マルチセル型のメソ対流系では,(d)対流系内の積乱雲の下降流域から吹き出した気流が周辺の高温高湿な気流とぶつかって空気を持ち上げ,新たな対流雲が発生・発達して積乱雲に成長し,世代交代が持続的に起きる。この結果,マルチセル型のメソ対流系は孤立した積乱雲より長寿命となる。
③ (a)誤, (b)正, (c)誤, (d)正
孤立した積乱雲の発生から衰弱までにかかる時間は、30分〜60分です。
だから(a)の「10分間から20分間程度である。」は誤り!
積乱雲が30分〜60分で衰弱する理由は、次のようなものです。
- 降水粒子が落下の際に、周囲の空気を引きずり下ろす。
- 落下する降水粒子(氷)が解ける際に、周囲の空気を冷やす。
- 雲底下の空気は飽和していないから、降水粒子が蒸発するときに周囲の空気を冷やす。
だから(b)の「降水粒子の荷重や融解・蒸発にともなう冷却により,上昇流が維持できなくなるためである。」は正しい。
ちなみに、孤立した積乱雲が発達するときは、鉛直シアが弱い(小さい)ときです。
逆に鉛直シアが強い(大きい)ときに発達するのが、マルチセル型のメソ対流系です。
だから(c)の「小さいときに形成されることが多い。」は誤り!
マルチセル型のメソ対流系ができるしくみは、すでに発達した積乱雲からの冷たい下降流が、周囲の暖湿な空気を押し上げて新たな積乱雲を発生させるというものです。
だから(d)の「対流系内の積乱雲の下降流域から吹き出した気流が周辺の高温高湿な気流とぶつかって空気を持ち上げ,」は正しい!