学科一般~過去問私的解説&考察~第60回気象予報士試験・問10

10:大気境界層の特徴

 風の弱い晴れた日の平坦な陸上で見られる大気境界層(接地境界層と対流混合層)の一般的な特徴について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a) 正午頃の接地境界層では、気温は乾燥断熱減率で高度とともに低下している。

(b) 接地逆転層は昼過ぎに現れ、日の入りの頃、厚さが最大となる。

(c) 正午頃の対流混合層では、水蒸気の混合比及び相対湿度は、高度によらずほぼ一様である。

(d) 正午頃の接地境界層では風速は高度とともに増加しているが、対流混合層ではほぼ一様である。

⑤ (a)誤,(b)誤,(c)誤,(d)正

第55回の試験でもよく似た内容で出題されましたね。

(a)正午ごろの気温

接地境界層って大気境界層の接地層のことですね。

大気境界層の正午ごろの気温は、下図のような分布になっています。

晴天日の正午における大気境界層内の気温

接地境界層では日中は地面から温められ、高度が高くなるとともに温度は下がっていますが、乾燥断熱減率と一致しません。

絶対不安定の状態です。(下図参照)

だから(a)の「 正午頃の接地境界層では、気温は乾燥断熱減率で高度とともに低下している。」は誤り。

はれの
はれの

温度が乾燥断熱減率で高度と共に低下しているのは、混合層です。

(b)接地逆転層は通常夜間から早朝に現れる

接地逆転層は、夜間〜早朝の放射冷却などによって現れる逆転層です。

だから(b)の「 接地逆転層は昼過ぎに現れ、日の入りの頃、厚さが最大となる。」は誤り。

(c)対流混合層

対流混合層では混合比は、高度によらずほぼ一様なのですが、相対湿度は違います。

温度が高度とともに乾燥気温減率で下がる層なので…

温度とともに飽和水蒸気圧も減少するので、相対湿度は増大するはず。

だから(c)の「 正午頃の対流混合層では、水蒸気の混合比及び相対湿度は、高度によらずほぼ一様である。」は誤り。

(d)風速

正午ごろの接地境界層〜対流混合層での風速は

  • 接地境界層:高度とともに増加
  • 対流混合層:高度によらずほぼ一様
晴天日の正午における大気境界層内の風速

だから(d)の「 正午頃の接地境界層では風速は高度とともに増加しているが、対流混合層ではほぼ一様である。」は正しい。

ここに書いてあるよ

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