目次
問10:台風経路
表のA〜Dの地点の地上気象観測データは、ある台風が八重山・宮古島地方を北上して通過した日の与那国島、西表島、石垣島、宮古島のいずれかの地点(図中の●印)の海面気圧と風の観測データである。この観測データから台風の移動経路を考察し、下図の台風経路①〜⑤の中から最も適切なものを1つ選べ。なお、図中の✖︎印は06時、▲印は18時の台風の位置を示す。


③
06時の風向から、A,B,C,Dの位置がわかります。

A:石垣島
B:宮古島
C:与那国島
D:西表島
次に気圧から、台風の経路に近かったのは
1位:石垣島
2位:西表島
ということがわかります。
(台風の中心が最も近づいたのは、11時〜12時頃)
だから答えは③です。
問11:熱的低気圧(ヒートロウ)
日本で発生する熱的低気圧(ヒートロウ)について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a)熱的低気圧は、春から夏の晴れた日などに、昼間の地表面の加熱に伴い中部山岳地帯などの内陸部に発生し、夜間には消滅する。
(b)中部山岳地帯などで発生する熱的低気圧において、気圧が低下しているのは下層だけであり、その気圧低下量と気温上昇量との関係は、気体の状態方程式と静力学平衡の式でほぼ表現される。
(c)中部山岳地帯の谷や盆地では、谷風循環の補償流としての下降気流によって断熱昇温が起こるため、平野部に比べて気圧低下量が大きい。

① (a)正, (b)正, (c)正
熱的低気圧は、次のような過程で生じます。
海風の時の地表面の状態と同じですね。
では(a)〜(c)を読みます。
中部山岳地帯などの熱的低気圧の発生は、暖候期なので「春から夏の晴れた日などに」はOK。
「昼間の地表面の加熱に伴い」←これもOK。
「中部山岳地帯などの内陸部に発生し、夜間には消滅する。」←これもOK。
だから(a)の「熱的低気圧は、春から夏の晴れた日などに、昼間の地表面の加熱に伴い中部山岳地帯などの内陸部に発生し、夜間には消滅する。」は正しい。
中部山岳地帯に発生する熱的低気圧は、まぁまぁ規模の大きな熱的低気圧です。
中部山岳地帯などで発生する熱的低気圧では、地表面から暖められます。
その結果、気温上昇により気圧が低下するのは下層だけです。
またそのとき、「気圧低下量」と「気温上昇量」との関係は
気体の状態方程式と静力学平衡でほぼ表現できるので、(b)は正しいです。
気圧が一定なら、気温が高いと空気の密度は小さくなることが、気体の状態方程式で説明できます。

高度差が一定なら、空気の密度が小さくなると、気層の気圧差が小さくなることが、静力学平衡の式で説明できます。

盆地では山の斜面で発生した谷風(谷から山頂に向かう風)により、空気の循環が起きる。(足りなくなったところに足すイメージ)
これが問題文に登場した「補償流」。
上昇流の補償流は、「下降流」です。
下降流は断熱昇温しますね。
断熱昇温により、盆地の方が平野部より気圧低下量が大きくなります。
よって(c)は正しい〜!
問12:台風によって発生する災害
日本に影響を及ぼす台風によって発生する災害について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a)台風が沿岸に接近する際には、気圧の低下によって海水が吸い上げられる効果(吸い上げ効果)や、強風が岸に向かって吹いて海水が岸に寄せられる効果(吹き寄せ効果)、波浪が沿岸に到達してくずれる砕破による効果(波浪効果)などにより、沿岸で潮位が上昇する。
(b)台風が日本のはるか南の海上にある場合でも、台風によって発生した波がうねりとなって日本の太平洋沿岸まで伝わってくることがある。うねりは水深の浅いところでは風浪よりも海底の影響を受けやすく、海岸付近で急激に高波になることがある。
(c)高潮が河口から河川を遡り、被害が発生するおそれがある場合、海岸から離れた地域に対しても高潮警報や高潮注意報が発表される。

① (a)正, (b)正, (c)正
「台風が沿岸に接近する際には、気圧の低下によって海水が吸い上げられる効果(吸い上げ効果)や、強風が岸に向かって吹いて海水が岸に寄せられる効果(吹き寄せ効果)、波浪が沿岸に到達してくずれる砕破による効果(波浪効果)などにより、沿岸で潮位が上昇する。」はその通り、正しいですね。
「台風が日本のはるか南の海上にある場合でも、台風によって発生した波がうねりとなって日本の太平洋沿岸まで伝わってくることがある。うねりは水深の浅いところでは風浪よりも海底の影響を受けやすく、海岸付近で急激に高波になることがある。」も正しい!
「高潮が河口から河川を遡り、被害が発生するおそれがある場合、海岸から離れた地域に対しても高潮警報や高潮注意報が発表される。」も正しい!

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