学科専門~過去問私的解説&ヒント~第55回気象予報士試験

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8:北半球の温帯低気圧の特徴(発達中)

問題文

北半球の発達中の低気圧に伴う前線の一般的な特徴について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1〜5の中から 1 つ選べ。

(a) 温暖前線では,寒気の上を暖気が滑昇しており,寒気と暖気の間には鉛直方向に成層が不安定な転移層が見られる。

(b) 地上天気図では,寒冷前線の転移層が地表面と交わる寒気側の境界を寒冷前線とする。

(c) 温暖前線面の傾きは寒冷前線面より緩やかで気塊がゆっくり上昇するので,温暖 前線面上では層状の雲が形成されやすい。

(d) 温暖前線のすぐ北側にある地点では,高度があがるとともに風向は時計回りに変 化している。

④ (a)誤, (b)誤, (c)正, (d)正

(a)転移層ではどうなってんの?

転移層(遷移層)は前線にできる層(前線層)のことなんだけど…。

  • 温暖前線では,寒気の上を暖気が滑昇している?
    • その通り!
  • 温暖前線では、寒気と暖気の間には鉛直方向に成層が不安定な転移層が見られる?
    • 転移層が見られるのはその通りなんだけど、「鉛直方向に安定」なんです。

だから(a) 温暖前線では,寒気の上を暖気が滑昇しており,寒気と暖気の間には鉛直方向に成層が不安定な転移層が見られる。」は誤り!

(b)前線は転移層のどっち側の縁?

前線は等温線が密集した部分(転移層)の南側の縁なので、暖気側ですね!

だから(b) の「地上天気図では,寒冷前線の転移層が地表面と交わる寒気側の境界を寒冷前線とする。」は誤り!

(c)寒冷前線より温暖前線の傾斜の方が緩やか

温暖前線は寒冷前線に比べて前線の傾きが緩やかで、層状の雲ができやすいのは、脊髄反射でわかりますよね!

だから(c)の 「温暖前線面の傾きは寒冷前線面より緩やかで気塊がゆっくり上昇するので,温暖 前線面上では層状の雲が形成されやすい。」は正しい!

おまけ

  • 温暖前線の傾き:1/100 ~ 1/200
  • 寒冷前線の傾き:1/50 ~ 1/100

(d)温暖前線の北側は〇気移流だから…

温暖前線の北側は、教科書的には上空にいくほど暖気移流になってるはず。

ということは、風向は順転(時計回り)してる。←温度風を思い出して!

だから(d) の「温暖前線のすぐ北側にある地点では,高度があがるとともに風向は時計回りに変 化している。」は正しい!

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