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問5:数値予報の客観解析
気象庁が行っている数値予報の客観解析について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a)客観解析は、数値予報モデルの予報値である第一推定値を観測データによって修正する処理であり、修正量は観測データと第一推定値のそれぞれが持つ誤差の大きさ等を考慮して決めている。
(b)全球モデルの初期値を作成する全球解析の 4 次元変分法には、アンサンブル予報から見積もられる予報誤差を組み込んだハイブリットデータ同化手法が用いられている。
(c)全球解析、メソ解析及び局地解析に取り込まれる解析データには、同じ解析対象時刻・同じ領域で比べても、違いがある。その理由の一つは、各客観解析によって、解析対象時刻から計算処理を開始するまでの時間が異なることである。
(d)4 次元変分法による解析では、数値予報モデルを実行することで大気状態の時間変化を考慮するため、3 次元変分法による解析に比べて計算量が多くなる。
① (a)正, (b)正, (c)正, (d)正
客観解析とは「過去に予報した現在時刻の予報値(第一推定値)を、現在の観測データで補正して値を決める作業」のこと。
解析の際、観測データは、格子点周辺の複数の観測値と距離の関係から、重みを加えて用います。
だから(a)の「客観解析は、数値予報モデルの予報値である第一推定値を観測データによって修正する処理であり、修正量は観測データと第一推定値のそれぞれが持つ誤差の大きさ等を考慮して決めている。」は表現の方向が違うけど…正しい。
「それぞれの関係から、重みを加えている」と「誤差の大きさ等を考慮して決めている」は、同じ意味に感じます。(ややこしいな!)
全球解析では大気の解析手法として4次元変分法が使用され、
4次元変分法をベースにアンサンブル予報から見積もられる予報誤差を組み込むハイブリッドデータ同化が用いられています。(気象庁の数値予報解説資料集より)
だから(b)の「全球モデルの初期値を作成する全球解析の 4 次元変分法には、アンサンブル予報から見積もられる予報誤差を組み込んだハイブリットデータ同化手法が用いられている。」は正しい。
ちなみに・・・
「ハイブリット同化法」とは、「従来のデータ同化システムをベースに、アンサンブル予報から見積もられる予報誤差を利用する同化システム」のことです。
全球解析、メソ解析、局地解析の各解析に取り込まれる観測データは、同じ時刻・同じ領域で比較しても等しい値にはなりません。
その理由の一つに、観測データの待ち受け時間の違いがあります。
この「観測データの待ち受け時間の違い」が、解析対象時刻・領域が同じでも「観測データが違う」ということに繋がっています。
問題文にある「解析対象時刻から計算処理を開始するまでの時間」は、上記の「待ち受け時間」のことでしょうから
(c)の「全球解析、メソ解析及び局地解析に取り込まれる解析データには、同じ解析対象時刻・同じ領域で比べても、違いがある。その理由の一つは、各客観解析によって、解析対象時刻から計算処理を開始するまでの時間が異なることである。」は正しい、となりますね。
観測データの待ち受け時間は、長ければ精度の良くなりますが、迅速性を優先するなら短い方が良いわけです。
このような理由で、予報の目的別に待ち受け時間が違うのですね。
各解析の待ち受け時間です。↓(令和4年度数値予報解説資料集より)
待ち受け時間 | |
全球解析 (速報解析) | 2時間20分 |
全球解析 (サイクル解析) | 11時間50分(初期時刻00,12UTC) 7時間50分(初期時刻06,18UTC) |
メソ解析 | 50分 |
局地解析 | 30分 |
4次元変分法では3次元変分法と違い、非定時における値の変化の推移も盛り込みます。
情報量が多いわけなので、予報の精度も上がります。
でも計算量が膨大になるのが難点。
だから(d)の「4 次元変分法による解析では、数値予報モデルを実行することで大気状態の時間変化を考慮するため、3 次元変分法による解析に比べて計算量が多くなる。」は正しいです。
イラスト図解 よくわかる気象学【専門知識編】p 220〜
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