学科専門~過去問私的解説&ヒント~第59回気象予報士試験

目次

13:キキクル

問題文

気象庁が発表する大雨警報や洪水警報の危険度分布(キキクル)について述べた次の文(a)〜(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。なお、文中の「指数」とは、土壌雨量指数、流域雨量指数、表面雨量指数を示す。

(a)危険度分布とは、土砂災害、浸水害、洪水害発生の危険度を地図上で5段階に色分けして表示したもので、災害リスクの高まりを示す「指数」等と過去の災害に基づき設定した「基準」を用いて、危険度を判定している。なお、洪水害に関しては、指定河川洪水予報の発表状況も併せて表示している。

(b)危険度分布の「危険」(色分けでは紫)は、危険な場所からの避難が必要とされる警戒レベル4に相当する。市町村からの避難指示等の発令に留意するとともに、避難指示等が発令されていなくても住民自ら避難の判断をすることが求められている。

(c)危険度分布の危険度の判定には、災害発生の危険度を確実に把握するため、「指数」等の予測値は用いず、実況値を用いている

② (a)正, (b)正, (c)誤

(a)危険度の判定

災害リスクの高まりを示す「指数」等と過去の災害に基づき設定した「基準」を用いている。←OK

上記の基準により、危険度を判定している。←OK

だから(a)は正しい。

(b)紫は警戒レベル4

(b)の「危険な場所からの避難が必要とされる警戒レベル4に相当する。」も、その通り!

引用元:気象庁キキクル

(c)予想です!

気象庁ホームページでキキクルの紹介として

さらに、警報・注意報が発表されたときに、実際にどこで「指数」の予測値が警報・注意報の基準に到達すると予想されているのかが一目で分かる「キキクル(危険度分布)」の提供を開始しました。

引用元:気象庁 知識・解説 キキクル

と記載されてるので、(c)の「災害発生の危険度を確実に把握するため、「指数」等の予測値は用いず、実況値を用いている。」は誤り。

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14:予報精度

問題文

表はある期間の予報区A、Bにおける、1mm以上の降水の有無の予報、降水の確率予報および実況を示したものである。これらの予報の評価について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。ただし、実況の、「降水あり(●)」は予報区内の全ての地点で降水(1mm以上)があったものとし、「降水なし(〇)」は予報区内の全ての地点で降水(1mm以上)がなかったものとする。

(a)この期間の降水の有無の適中率は、予報区Bの方が予報区Aより高い。

(b)この期間の降水ありの予報のスレットスコアは、予報区Aと予報区Bで同じである。

(c)この期間の降水確率予報をブライアスコアを使って評価すると、予報区Bの方が予報区Aより予報精度が高い。

② (a)正, (b)正, (c)誤

(a)適中率

降水の有無の適中率を求めます。

予報区A予報・降水あり予報・降水なし
実況・降水あり31
実況・降水なし21
予報区B予報・降水あり予報・降水なし
実況・降水あり21
実況・降水なし13

予報区Bの適中率は予報区Aより高いので、(a)は正しい!

(b)スレットスコア

降水ありの予報のスレットスコアを求めます。

ということで(b)も正しい。

(c)ブライアスコア

降水確率予報をブライアスコアを使って評価します!

  • F(i):予報値
  • A(i):実況値(観測値)
  • N:予報回数

予報区AとBのブライアスコアは同じ値になりました。だから(c)の「この期間の降水確率予報をブライアスコアを使って評価すると、予報区Bの方が予報区Aより予報精度が高い。」は誤り。

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15:季節予報

問題文

図1はある年の6月から9月にかけてのフィリピン付近の外向き長波放射量の変動を示し、図2はこの年を含む2つの異なる年の8月の月平均海面気圧と平年偏差を示したものである。これに関連する日本の天候について述べた次の文(a)〜(d)に当てはまる語句や記号の組み合わせとして適切なものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

この年の7月のフィリピン付近の大流活動は平年より(a)だったが、8月に入ると一転して(b)となった。フィリピン付近の対流活動は日本付近への太平洋高気圧の張り出しに影響することが知られており、この年の8月の海面気圧分布は図2の(ア)(イ)のうち、(c)で、東・西日本では平年と比べて(d)天候となった。

⑤ (a)活発, (b)不活発, (c)(ア), (d)曇りや雨の日が多い

外向き長波放射量(OLR)とは、「宇宙に向かって放射される赤外線の強さ」のことです。

また、「熱帯域でOLRが小さい=対流活動が活発」を意味しています。

OLRが小さい=対流活動が活発=降水が多い

また、夏季のフィリピン付近と日本付近の気候には、テレコネクション的な気候の関係があります。

それは、「夏季にフィリピン付近で対流活動が活発な時は、日本の本州付近の高気圧が強まり、暑い夏になる傾向がある」という関係です。

という前提があって、図1を見ると・・・

図1

7月のOLRは平年値より低い

7月のフィリピン付近では対流活動が活発で降水が多い

8月は7月と逆の現象が起きている

ということがわかるので、(a)活発,(b)不活発 です。

ここで①と②は候補から消えました。

残るは③,④,⑤です。

次に、この年の8月の日本付近は、高気圧が弱まり、冷夏の傾向があると考えられるので・・・

(c)は「ア」なので、③は候補から消えました。

残るは④,⑤。

そして8月の日本付近は、「高気圧が弱まり冷夏の傾向」なので(d)は「曇りや雨の日が多い」でしょう。

というわけで、答えは⑤!

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さいごに

私・晴野はれのが第59回の気象予報士試験の学科試験「予報業務に関する専門知識」を解答する場合の考え方を紹介しました!

試験の内容も、気象業務支援センターに一報入れて、書かせてもらってます。
※解説内容は気象業務支援センターとは関係ありません。晴野独自のものです。

またこの記事の内容は、どの機関のチェックも受けておりません。

ですから、もしかしたら間違っている可能性もあります。

もし「ここおかしいよ!」と思う箇所があれば、遠慮せずに「お問い合わせ」からご連絡いただけましたら、ありがたく学ばせていただきます。m(*_ _)m

はれの
はれの

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます(о´∀`о)♡

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