学科専門~過去問私的解説&考察~第62回気象予報士試験・問9

9:発達中の低気圧・低気圧に伴う前線

北半球中緯度の発達中の低気圧や低気圧に伴う前線について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a) 地上天気図の寒冷前線は、温度の異なる気団の間の遷移層の寒気側の境界が地表面と交わるところに描かれている。

(b)寒冷前線に伴う降水域は、温暖前線の降水域に比べて幅が広いことが多く、積乱雲が発生して雷や突風などの現象を伴うことがある。

(c) 温暖前線と寒冷前線の間の暖域では、低気圧の中心に向かう暖かな空気の流れ込みにより、気象衛星の水蒸気画像でドライスロットと呼ばれる暗域が見られる。

(d) 一般に、寒冷前線の東側では下層の暖湿な空気が高緯度側に向かい、温暖前線面の上を上昇して対流圏上層に達し、低気圧の進行方向前面の上層雲域を形成する。

⑤ (a)誤,(b)誤,(c)誤,(d)正

(a)遷移層と前線

前線は遷移層の暖気側の境界なので・・・

(a)の「 地上天気図の寒冷前線は、温度の異なる気団の間の遷移層の寒気側の境界が地表面と交わるところに描かれている。」は誤り!

(b)寒冷前線と温暖前線の幅

寒冷前線に伴う降水域は、温暖前線の降水域に比べて幅が狭いことが多いので・・・

(b)の「 寒冷前線に伴う降水域は、温暖前線の降水域に比べて幅が広いことが多く、積乱雲が発生して雷や突風などの現象を伴うことがある。」は誤り!

(c)ドライスロット

ドライスロットは低気圧中心に向かって寒冷前線の後面から流れ込む乾燥気塊の流れのことなので・・・

(c)の「  温暖前線と寒冷前線の間の暖域では、低気圧の中心に向かう暖かな空気の流れ込みにより、気象衛星の水蒸気画像でドライスロットと呼ばれる暗域が見られる。」は誤り!

▶︎用語集「ドライスロット」

(d)温帯低気圧に伴う暖湿気の流れ

(d)の「  一般に、寒冷前線の東側では下層の暖湿な空気が高緯度側に向かい、温暖前線面の上を上昇して対流圏上層に達し、低気圧の進行方向前面の上層雲域を形成する。」は、その通り。

正しいです!

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